薩摩川内市下甑手打診療所
- 所在地:
- 鹿児島県薩摩川内市下甑町手打956番地
- 診療科目:
- 外科・内科・小児科
- 病床数:
- 19床
下甑島について
下甑島(しもこしきじま)は、鹿児島県の西の沖合約45kmにある甑島列島の南部にある離島です。
釣りやダイビングのスポットとしても知られ、島の沿岸部では激しい海の波や地層の隆起によって形成された海食岸、リアス式海岸が多く見られ、ダイナミックな自然の光景が楽しめます。
手打診療所での研修について
指導医の先生や他病院からの研修医・医学実習生と共に研修を行います。診療所にはレントゲン・CT・エコー・透析等、主要な医療設備が揃っています。研修の内容は多岐にわたり、外来診療や入院診療の他に研修医自らがレントゲンやCTの撮影も行います。
希望があれば胃カメラなども研修医自ら実施することができます。島内2か所の出張所を管理しており、そちらでの出張診療も行います。
また、研修医のための設備も整っており、研修医専用の住居や研修医室があります。
豊かな自然に囲まれた環境で、充実した研修を行うことが可能です。
下甑島
手打診療所外観
診察室
病棟からの景色
宿舎の目の前の海
粟田 裕治 医師(2015年度入職 現在は消化器内科シニアレジデント)
研修期間:2017年1月4日~1月31日
印象に残った症例・エピソード
週に1回出張診療へ行くのですが、出張診療先で患者さんが「瀬戸上先生の顔見たら何か元気になっちゃった。」と笑顔で話されている様子がとても印象的でした。瀬戸上先生が、38年間という長い時間をかけて作り上げた島民の厚い信頼関係というものを肌で感じました。
甑島での思い出
診療所の近くのスナックによく行っていました。島民の皆さんと楽しい時間を過ごす事ができました。皆さん優しくてお酒が好きで歌がとても上手でした。初めてスナックに行った次の日に診療所の看護師さんから「先生昨日スナックに行ったんだって?」と言われた時には島では隠し事はできないなと思いました(笑)あとは夕焼け、星空、海辺の景色が本当に綺麗でした。
出張診療先の風景
島にいた1カ月間で一番綺麗な夕日
宿舎から徒歩30秒の綺麗な砂浜
医学生に向けて一言
離島医療は救急医療に並ぶ程の医療の原点だと思いました。 専門科が細分化されている現代の医療の現場とは異なり、すべての診療科の症状や疾患を島という医療資源の限られた環境下で診療していくという事の難しさとやりがいの大きさを感じました。 1カ月という短期間ではありますが、本当に勉強になる事も多く、島民の方々との想い出もたくさんできました。 こんな貴重な経験をするチャンスはそう多くないです。学生の皆さん、ぜひ初期研修医の間に離島研修を!
能中 陽平 医師(2017年度入職)
研修期間:2018年6月1日~6月30日
印象に残った症例・エピソード
僕が研修した時は他にもう一人研修医がいたため、病棟業務と外来に分かれて仕事をしていました。外来業務では診療所をまわって島の方々を診察して内服薬を調整したり、小中学校の健康診断を行ったりと、
普段の救急外来とは異なる経験をすることができ、もちろん健康状態を見ることも大切ですが、ゆっくりお話しながら患者さんと接することの大切さを学ぶことができました。
一番の思い出は上の先生が出張で島外に出ており、研修医二人しかいない日に朝方強い腹痛を訴える方が運ばれ、採血・CT・内視鏡するも異常なく、原因がわからず二人で頭を抱えながらドクターヘリで鹿児島市内に搬送したことです。
あとから返事をいただき診断は「小腸アニサキス」だったとのこと。魚の美味しい甑島ならではの症例でした。
Dr.ヘリ
Dr.ヘリ救急患者搬送
下甑の風景
甑島での思い出
研修医二人で休日に下甑島一周旅をしたことが楽しかったです。レンタカーを使い下甑の北から南まで余すことなく堪能できました。6月の甑島は新緑の香り漂い、川崎にない空気を吸うことができてよいリフレッシュとなりました。
他にも地域のソフトバレーボール大会に参加したり、そこで仲良くなった中学校の先生と磯釣りに行ったりと充実した休日を送ることができました。
医学生に向けて一言
地域研修をするならば是非一度離島で働いてみたいという思いで、甑島研修を選択しましたが、この1か月間は今後の医療人生でも忘れられない時間となりました。
また他の病院から研修にくる先生方と共に医療を行うことで、自分の研修を見つめ直すいい機会となりました。
少しでも興味を持った方がいれば是非行ってみてください。とても有意義なひと時を送れると思いますよ。
手打診療所からの眺め
ナポレオン岩
下甑島 島内巡り
中島 祥裕 医師(2017年度入職)
研修期間:2018年8月1日~8月31日
印象に残った症例・エピソード
島での最初の印象は思っていたよりCTやレントゲンなどの医療用具があるなという印象でした。しかし、技師はいないので、自分で立ち上げて撮影をしなければならないという医療資源の少ない離島ならではのことで初めは驚きましたが、良い経験になりました。
一番印象に残っているのは、手打診療所が全ての島民の医療を支えており、一人一人に寄り添い、患者の生活に根付いた診療を行う先生方は素晴らしいと思いました。
甑島での思い出
自然豊かで海が近く毎日が気持ちよく生活できました。明かりが少ないため夜空の星が信じられないくらい綺麗であったことを覚えています。また地域の方々はみなさんが患者なので先生といって毎日気持ちよく挨拶してくださりました。地域でのバーベキューなども楽しかったです。
医学生に向けて一言
離島での研修は普段の診療と違い、より生活に根ざした診療が必要であり、また限られた環境の中で診療を行わなければいけないため、非常に良い経験になったと思います。
今後の人生の中で、離島で診療をする機会はなかなかないと思うので、研修医のうちに一度は経験をするといい勉強になると思います。幸病院で研修するなら離島研修を選択するのをお勧めします。
漫画Dr.コトーに出てくる石碑
ナポレオン岩
地元の人に誘われ、定置網漁へ
原田 龍之助 医師(2017年度入職)
研修期間:2018年9月1日~9月30日
印象に残った症例・エピソード
離島の診療所に来る患者さんは、高齢の方も多く、修中に来た80代の患者さんは、
宿便による腹痛にて緊急入院となりました。腹痛は改善傾向にありましたが、下腹部痛の憎悪によりCT施行し、回腸末端周囲にfree airを認めたため、ドクターヘリを緊急要請し、鹿児島市内の病院に搬送し、連携した診療を行うことができました。
医療の面については、医療資源や人手が足りない中、自分でX線やCTを撮影するなど普段の病院勤務では考えられないような様々なことを経験することができました。
また、先生をはじめコメディカルの方々、地域の方々も気さくに声をかけてくださり、お休みの日には定置網漁に同行させていただいたり、とても楽しく研修することができました。
みなさんも島での貴重な臨床研修を体験してみてはいかがでしょうか。
寮から診療所まで徒歩10分
釣掛埼灯台
釣りに連れて行ってもらいました。