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診療科のご案内

 
 

手術治療の流れ

手術治療の実際

手術室に入ると患者さんは手術台に上がった後、点滴や心電図、各種モニターを体につけます。全身麻酔は静脈点滴で始まり患者さんは眠ります。 次に患者さんが目を覚ますのは、手術が終了して集中治療室に戻り全身状態や呼吸状態が安定した後になります。全身麻酔が開始された後、全身を消毒し手術が始まります。

A:正中切開による手術(基部再建、上行弓部置換等)
  1. 手術開始から体外循環
    胸部の中央に20cmほどの縦の皮膚切開を置き、続いて胸の正中にある胸骨を縦に切開します。胸骨の下には心嚢膜という膜があり、これを開くと心臓に達します。 大動脈と大静脈に体外循環装置(手術中に心臓と肺の働きを代用する装置)のための送血管(血液を送る側)と脱血管(血液を抜く側)を挿入し体外循環を開始します。体外循環装置で還流させている血液の温度を徐々に下げ、体温が20~25℃となった時点で体外循環を一時停止します。 心臓には心筋を保護する薬剤を還流させ、脳血管には体外循環装置による血流を再開します。この二つの方法(低体温と還流による保護)により、心臓と脳は安全に保護されます。
  2. 脳保護から大動脈瘤の切除・人工血管の吻合
    上行大動脈から弓部大動脈にかけて大動脈を切開、その後大動脈瘤を切除します。大動脈瘤は多くの場合周辺の臓器・組織と癒着しているため、周辺組織を損傷しないように大動脈瘤を切離します。 大動脈の内腔は多くの場合、動脈硬化(粥状変性)によりアテローム(粥状変性の結果生じるヘドロのような状態)が付着しているため、これらを洗浄・除去し、人工血管を大動脈断端に吻合していきます。 吻合方法は当院ではすべて2重縫合による吻合であり、高度な動脈硬化を伴う血管においても、吻合部からの出血等はほとんどありません。例えば大動脈弓部人工血管置換手術の場合、吻合箇所は2箇所の大動脈と3本の脳血管の合計5箇所になります。 また、基部再建手術の場合、大動脈弁・人工血管の吻合、左右冠動脈の吻合、大動脈の吻合の4箇所になります。
  3. 血流再開・体外循環終了
    全ての吻合が終了したら、大動脈の血流を再開します。心臓の拍動が再開し徐々に心収縮が安定します。 血液温が回復し循環動態が安定したら徐々に体外循環の流量を減少させ、最終的に体外循環を終了します。剥離面と吻合部からの出血のないことを確認し、胸骨をワイヤーで固定し創部を閉鎖します。
    手術が終了したら、確認のための胸部X線撮影を行なった後に、持続点滴や心電図・血圧モニターを準備し集中治療室のベッドに移動します。 集中治療室では全ての点滴、注入薬剤、心電図、血行動体、呼吸状態を確認し、医師から看護師への申し送りが行われた後に、ご家族との面会を行なっていただきます。
    弓部置換手術

B:左開胸による手術(下行置換・胸腹部置換)
  1. 手術開始から体外循環
    左側胸部の肋間に沿って皮膚切開を行い、肋間より開胸します。肋骨は一部後方で切断します。肋間を開いて胸腔内に達し、肺と大動脈を剥離します。左足の付け根(大腿部)の動脈から送血菅を挿入し、胸腔内の左肺静脈に脱血菅を挿入します。 左開胸手術の場合の体外循環は正中切開の場合の体外循環とは異なり、左心バイパス法という方法を用います。この方法は呼吸(血液への酸素の取り込み)を人工心肺装置に依存するのではなく自身の肺によって行うため、手術中にも心臓を停止させる必要がなく、短時間での手術が可能となります。
    下行置換手術


    胸腹部置換手術


    腹部置換手術

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