川崎幸病院 臨床研修センター

研修理念

川崎幸病院は初期研修・後期研修のための教育体制の強化に力を入れています。

ご挨拶

川崎幸病院 臨床研修部

川崎幸病院は、年間1万台近くの救急車を受け入れる急性期病院です。初期臨床研修中の研修医は、救急部でのファーストタッチを担当し、2年間の研修期間を通じて都市型救急疾患のプライマリ・ケアを実際に経験し、習得する機会を得ます。 また、脳血管センター、川崎大動脈センター、川崎心臓病センター、消化器病センターでは高度医療を実践していますが、初期臨床研修の目標は、これらの高度医療を支えるための基礎的診断能力と基本的技術をしっかりと身につけることです。

医師には、人間としての規律ある基本姿勢と人格が求められます。また、医療人としての職業意識(プロフェッショナリズム)を持ち、他の医療職を牽引できる責任感、協調性、積極性も重要です。 そのためには、まず臨床の基礎となる基本的診療能力や社会人としてのコミュニケーションスキルを身につけ、他職種からの信頼を得ることが必要です。さらに、将来専門分野に進んだ後も、医療知識や技術の習得を怠らず、自己研鑽に励む姿勢を持つことが求められます。 謙虚で真摯な態度で医学・医療に徹し、臨床経験を通じて自らの未来像とビジョンを明確にすることを目標としています。

川崎幸病院では、研修医の教育指導および研修生活のサポートを行う部門として、2018年7月に臨床研修センターを開設しました。初期研修医は、医師としての基本的技術の習得を目標としており、専門性の高い医療については必要最小限の経験としています。 2年間の研修期間を通じて、研修医に対して社会人および医師としての立ち振る舞いを指導し、研修到達目標達成度や医師としての人生設計をバックアップするために、上級医がTutorとしてマンツーマンで研修医を健康面、精神面を含めてサポートします。

川崎幸病院
初 期 研 修
の 魅 力

初期研修医 プログラム概要

プログラム概要

川崎幸病院では、研修医の多様なニーズと将来のキャリア目標に応じた3つの初期臨床研修プログラムを用意しています。各コースは、医師としての基本的価値観(プロフェッショナリズム)を養いつつ、基本的な総合診療能力の習得に重きを置きつつ、専門分野の知識と技術の入り口まで、バランスの取れた教育プログラムを提供し、研修医が優れた医療人として成長することを支援します。

医師1年目の最初の8週間は基礎臨床研修期間としています。この期間中には、病院主催の各種オリエンテーションや臨床研修センター主催のレクチャーが行われ、感染対策、医療安全、他部署の業務内容の把握などの講義が開かれます。さらに、グラム染色実習、ICLS(救急救命講習)、結紮・縫合の実習が開催され、Tutorから電子カルテの使い方や採血の方法についての指導も行われます。
各初期研修医には1名のTutorが選任されます。Tutorはmentorの役割に加え、基礎臨床研修期間中の基本的な診療行為の指導、カンファレンス等での発表準備の相談、選択科目を決める際の相談などを担当します。これはローテーション先の診療科での指導医とは別に、2年間の初期研修期間を通じて初期研修医の身近で面倒を見る上級医です。
各診療科のローテーションでは、それぞれの診療科で指導医がつきます。指導医は、研修医に対する指導の熱意がある上級医が選ばれます。各初期研修医は指導医の下で症例を担当し、医療面接・問診・身体診察の方法、臨床推論、手技、検査および処方(治療)、診療録の記載方法を学びます。また、プレゼンテーションの方法についても研修します。

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コース紹介

① 総合研修コース

総合研修コースは、初期臨床研修制度の主目的である総合的な診療能力を身に着けたい研修医に最適のコースです。プライマリ・ケアから高度医療まで幅広い症例を経験することで、全人的医療を実践できる能力を身につけます。救急科(ER)研修ではファーストタッチを数多く経験することを通じて、問診・フィジカルアセスメント、各種検査結果の解釈、初期治療など広範な疾患への対応力を養い、ERカンファランスや放射線診断勉強会を通じて、救急科専門医や放射線科専門医からのフィードバックを受ける機会があります。各診療科での研修を通じて高度医療を支える基礎的診療能力と基本技術を習得します。

下記のルールに沿って、必修科と選択科で2年間、計104週の初期臨床研修を行います。
必修科:計64週間を当院では必修科の研修期間に定めています。
内科系24週間、外科系8週間、救急12週間、麻酔、地域医療・小児(他施設)・産婦(他施設)・精神(他施設)はそれぞれ4週間

  • 内科系24週間:循環器内科、消化器内科、腎臓内科から選択し、院内で研修。総合内科(8週間)は外部研修として必修
  • 外科系8週間:外科、呼吸器外科、心臓外科、大動脈外科から選択し、院内でローテート。
*必修研修の一般外来については、地域医療による並行研修とします。

選択科は当院の診療科から選択し、指導医と相談の上決定します。
研修プログラムについては、研修の進捗を考慮し、プログラム責任者と話し合いのうえ決定します。

総合研修コース 総合研修コース

② 大動脈外科コース

川崎大動脈センターでは、人工心肺確立や大伏在静脈採取など一般的な心臓血管外科手技の基本を学ぶ機会を提供すると同時に、大動脈治療に特化しています。 そのため、あらゆる病態の大動脈瘤に対する治療法を集中的に学ぶことができます。年間約600例の胸部大動脈手術、70例の腹部大動脈瘤に対する開腹手術、200例の腹部ステントグラフト内挿術、約70例の胸部ステントグラフト内挿術の経験を積むことができます。 また、大動脈解離A型200例、大動脈解離B型80例の治療実績もあり、大動脈緊急症に対する手法も学ぶことができます。年間約100例の胸腹部大動脈人工血管置換術を行っており、一般的に治療困難とされている広範囲の大動脈瘤に対する治療経験も豊富です。4年も経てば未経験の大動脈瘤に遭遇する可能性はほぼないと言えるほど、知識を深めることができるでしょう。また、国際交流も積極的に行っており、常時3名の留学生が参加しており、国際的な視野を広げることができます。

③ 脳神経外科コース

脳神経外科コースでは、一般的な研修に加えて脳神経外科の専門的な知識や技術を学ぶためのコースです。入職直後の基礎臨床研修(4、5月)は、脳神経外科で実施します。診療の基本から病棟管理、画像診断、基本手技を手取り足取り教えます。働き始めは不安の多い時期ですが、チーム全体でサポートします。2年目は2~4ヶ月の期間(期間は本人の希望を踏まえ、相談の上決定)で、脳神経外科で研修を行います。この研修中は中心静脈カテーテル挿入、腰椎穿刺、気管内挿管等の基本手技を習得することを目標とします。さらに穿頭手術の術者を経験してもらいます。また学会発表、論文執筆も積極的に行ってもらいます。

脳神経外科では開頭手術、血管内治療、脊椎脊髄手術を中心に幅広い分野の手術を行っています。研修中はこれら全ての分野に関わることができるため、早い段階から多くの知識や技術を習得することができます。2年間の研修中は、内科、外科を中心に多くの診療科の研修も行うため、医師として必要な総合的な能力も身につけることができます。
下記のルールに沿って、必修科と選択科で2年間、計104週の初期臨床研修を行います。
必修科:計64週間を当院では必修科の研修期間に定めています。
内科系24週間、外科系8週間、救急12週間、麻酔、地域医療・小児(他施設)・産婦(他施設)・精神(他施設)はそれぞれ4週間

  • 内科系24週間:循環器内科、消化器内科、腎臓内科から選択し、院内で研修。総合内科(8週間)は外部研修として必修
  • 外科系8週間:外科、呼吸器外科、心臓外科、大動脈外科から選択し、院内でローテート。
*必修研修の一般外来については、地域医療による並行研修とします。

選択科は当院の診療科から選択し、脳神経外科の研修期間と合わせ、指導医と相談の上決定します。

脳神経外科コース 脳神経外科コース

川崎幸病院
初 期 研 修
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カンファレンス紹介

カンファレンス紹介

ERカンファ

ERカンファレンスは毎週月曜日の15-16時に救急科主体で開催されており、初期研修医は出席が義務付けられています。このカンファレンスでは、Emergency Generalistに近づけるよう、救急専門医や総合内科指導医がER診療に必要な知識や技術のインプットを行い、実際に経験した症例についてのディスカッションや先輩医師による屋根瓦式のレクチャーを実施しています。カンファレンスで得た知識や技術を実際の救急診療で即座に実践し、その実践からのフィードバックを基にディスカッションを行い、さらに知識のインプットを繰り返すことでPDCAサイクルを実現します。これにより、どの診療科に進んでも役立つ教育を提供し、心に残るカンファレンスを目指しています。

<ERカンファ年間スケジュール>
4・5月:バイタルサインの見方やカルテの書き方など、ER診療の基本を1年目研修医向けにレクチャーします。
6-9月:症例をベースにしたディスカッション形式のレクチャーを行い、実践的な対応力を養います。
10月以降:内科救急の各論や外傷、災害医療の知識、マイナー疾患の救急対応などを学びます。

放射線診断勉強会

放射線診断勉強会は第2、第4火曜日に放射線科主体で開催されており、出席は任意です。この勉強会では放射線科医の講義と研修医の発表を交互に行っています。
講義では特にERで見逃せない緊急性の高い疾患のCT所見に焦点を当てています。放射線科医の講義の後、研修医が過去の症例画像を読影し、実際の救急画像に慣れることを目標としています。
研修医の発表では、救急で遭遇した疾患の画像所見を復習したり、興味のある疾患の画像所見を発表したりして、画像診断の考え方に親しむことを目指しています。
過去の研修医も、この勉強会で得た知識を活かし、実際の臨床の場で活躍しています。

Saiwai Journal Club(SJC)

Saiwai Journal Club (SJC)は毎週1回、曜日不定で30分程度、各診療科の先生を講師として開催されており、初期研修医には出席が義務付けられています。
SJCでは毎回2名の初期研修医が指定された医学論文を事前に読み、その内容をまとめて発表します。
医学的な知識は日進月歩であり、数年前に正しいと思われていた「常識」が覆されることは珍しくありません。SJCを通じて、多くの医学論文から自分にとって必要な情報を見つけ、その情報の確からしさを確認し、それを目の前の患者の診療にどう活かすかを判断する力を養います。