令和5年度 川崎幸病院 病院情報の公表

病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

医療の質指標

  1. リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
  2. 血液培養2セット実施率
  3. 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 - 16 146 336 865 1450 1667 2910 2417 544
当院は地域医療支援病院であり、質の高い医療を幅広い年齢層の患者様に提供しています。全体で見ると高齢化の影響で60歳以上の患者様の頻度が多く、全体のおよそ73%を占めています。これらの傷病を見てみますと、50代を過ぎると大動脈解離・大動脈瘤、虚血性心疾患、脳血管疾患が多くなっています。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 486 3.48 4.26 0.41 72.90
050070xx01x0xx 頻脈性不整脈 401 3.57 4.57 0.25 68.08
050050xx9910x0 狭心症、慢性虚血性心疾患 280 3.06 3.05 0.36 66.96
050070xx99000x 頻脈性不整脈 154 3.44 5.98 0.65 78.58
050080xx97000x 弁膜症(連合弁膜症を含む。) 123 12.15 12.46 2.44 84.51
循環器内科の上位を占めるのは、狭心症です。最も多い症例は、狭心症に対する心臓カテーテル治療のための入院、次に心房細動に対するアブレーション治療となります。アブレーション治療は、心房細動だけでなく、上室性頻拍や、心室頻拍に対しても行います。3番目に多い症例は、心臓カテーテル検査のための入院です。狭心症は動脈硬化によって心臓を養う血管が狭くなる病気です。場合によっては、心筋梗塞の原因になってしまいます。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) 121 2.80 4.55 1.65 68.24
060335xx02000x 胆嚢炎等 110 5.55 6.87 1.82 63.42
090010xx010xxx 乳房の悪性腫瘍 82 7.48 9.88 0.00 59.32
060150xx03xxxx 虫垂炎 70 3.81 5.29 0.00 43.59
090010xx02xxxx 乳房の悪性腫瘍 65 3.94 5.64 0.00 61.63
外科は、食道外科、消化管外科、肝胆膵外科、乳腺外科を柱としています。2023年度の診断群別入院患者数では、例年通り鼠径ヘルニア、胆嚢炎及び乳房の悪性腫瘍がTOP3でした。次いで例年通り腹部救急疾患でしたが、虫垂炎の方が多い状況でした。また、例年と変わらず、すべての診断群において、平均在院日数は全国平均より短くなっています。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 64 16.59 19.09 56.25 65.86
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 64 9.53 9.88 14.06 80.06
010070xx9910xx 脳血管障害 55 2.13 3.12 0.00 69.24
070341xx020xxx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 頸部 55 13.69 19.32 7.27 67.51
010030xx9910xx 未破裂脳動脈瘤 50 2.10 2.95 2.00 63.44
脳神経外科では脳卒中(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血)を中心とした医療を行っています。開頭手術だけではなくカテーテル治療も積極的に行っているため、よりリスクの低い治療方法を提案することができます。また2021年度から低侵襲脊椎脊髄センターを立ち上げ頚椎症、腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄以外にも骨粗しょう症に由来する圧迫骨折や原因の分からない腰痛にも対応してます。急性期の状態を脱した患者さんは、地域の医療機関と連携し、他院でリハビリ等の継続治療を行う場合もあるため転院率が高くなっています。
心臓血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050161xx97x1xx 大動脈解離 382 24.24 28.09 6.28 63.99
050163xx9910xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 175 3.15 4.30 0.00 74.30
050163xx01x1xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 150 24.25 27.58 5.33 74.13
050163xx03x0xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 139 8.93 10.42 1.44 79.47
050080xx0101xx 弁膜症(連合弁膜症を含む。) 106 17.88 21.53 2.83 65.59
当院では心臓大動脈疾患の治療を大動脈センターと心臓病センターの2本柱で行っています。大動脈外科は、大動脈瘤・大動脈解離の手術を専門に行い、「国内最多」の手術症例数と治療実績をもつ、「国内唯一」の大動脈疾患治療の専門施設です。患者数で最も多い症例は大動脈解離、次いで非破裂性大動脈瘤です。これらの平均在院日数は、いずれも全国平均を大きく下回っています。24時間の緊急手術対応はもとより、超高齢者や臓器合併症を持つハイリスクの患者さんに対しても、豊富な経験にもとづいた安全な手術により良好な治療成績をあげています。心臓病センターでは弁膜症の精度の高い診断と長期予後を重視した治療を行っています。大動脈弁・僧帽弁・三尖弁閉鎖不全症に対する弁形成術・弁置換術を数多く行い、低侵襲心臓手術(MICS)も積極的に取り組んでいます。若年者で弁形成困難な大動脈弁弁膜症に対してはロス手術も行っています。
婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120060xx02xxxx 子宮の良性腫瘍 207 5.60 5.93 0.00 44.98
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍 83 5.60 6.00 0.00 39.88
12002xxx02x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 43 2.91 2.96 0.00 37.72
120100xx02xxxx 子宮内膜症 42 5.67 6.47 0.00 39.02
12002xxx01x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 40 8.73 10.10 0.00 54.80
手術は、婦人科手術全般を対象に行っています。婦人科良性疾患(卵巣腫瘍や子宮筋腫)であれば、巨大なものでも日本産科婦人科内視鏡手術認定医が安全に内視鏡手術(傷が小さいので、美容的な面は勿論のこと、手術後の痛みが少なく、社会復帰が早い低侵襲な手術)を行っています。婦人科悪性手術に対しても日本婦人科腫瘍専門医が根治性の高い手術を提供しています。
腎臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx03x0xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 76 2.76 4.51 1.32 71.75
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 49 13.86 11.49 10.2 69.47
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 39 6.36 7.57 2.56 70.90
110280xx9901xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 28 13.50 13.81 7.14 66.25
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 20 12.35 13.52 0.00 76.75
腎臓内科は、慢性腎不全を多く診療しています。腎臓病をきたす疾患は慢性腎炎、高血圧、糖尿病や膠原病など多岐にわたり総合的かつ集約的な治療を行っています。 透析療法は、血液透析のみならず腹膜透析にも積極的に取り組んでいます。
消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 649 2.22 2.61 0.00 64.79
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 163 7.74 8.75 1.84 73.67
060020xx04xxxx 胃の悪性腫瘍 60 7.87 7.61 0.00 74.60
060102xx99xxxx 穿孔又は膿瘍を伴わない憩室性疾患 58 8.43 7.58 3.45 67.47
060140xx97x0xx 胃十二指腸潰瘍、胃憩室症、幽門狭窄(穿孔を伴わないもの) 51 9.18 10.92 7.84 73.61
消化器内科は、内視鏡検査・治療を中心に診療しています。食道や胃や大腸に生じた腫瘍に対する内視鏡的切除術(EMR、ESD)や総胆管結石に対する内視鏡的結石除去術、消化管出血に対する内視鏡的止血術等多くの内視鏡治療を行っています。消化器内科は、高度専門医療の提供と消化器急性疾患に対する24時間対応を2本柱として診療を行っています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 69 10 16 17 - - 1 8
大腸癌 48 55 52 40 - - 2 8
乳癌 54 58 - - - - 1 8
肺癌 47 10 18 20 - - 1 8
肝癌 - 11 - - - - 2 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
癌の5大癌と呼ばれる、胃癌、大腸癌、乳癌、肺癌、肝癌の患者さんの人数を初発のUICC病期(ステージ)分類別、および再発に分けて集計しました。
【UICCとは】
国際対がん連合(UICC)によって定められた、原発巣の大きさと進展度(T)、所属リンパ節への転移状況(N)、遠隔転移の有無(M)の要素によって各癌を0期~Ⅳ期の5病期(ステージ)に分類するものです。
【解説】
当院では、消化器内科・外科・呼吸器外科にて上記癌患者さんを診療しています。その中でも大腸癌の患者さんが最も多く、次いで胃癌となっています。癌は早期発見が重要であり、人間ドックや検診を受けることで早期発見に繋がります。当院では身体的負担が少ない内視鏡的手術・腹腔鏡手術を中心に、抗がん剤治療、放射線治療など患者さんに合わせた治療法を行っています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 - 16.33 52.00
中等症 14 13.29 80.29
重症 - 15.00 81.67
超重症 11 27.64 77.09
不明 - - -
成人市中肺炎の患者さんの人数を重症度別に集計しました。重症度は、成人市中肺炎診療ガイドライン(日本呼吸器学会)による重症度分類システム(A-DROP)を用いて分類しました。

【市中肺炎とは】
普段の生活の中で成人が羅患した肺炎のことです。

【解説】
患者数が最も多いのは「中等症」の患者さんです。これらの平均年齢を見てみますと、80歳、平均在院日数はおよそ13日です。また、「重症」以上の患者数も多く、その平均年齢は80歳前後であり、平均在院日数はおよそ19日となっており、成人市中肺炎は高齢者に多いことがわかります。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 286 18.64 75.60 35.02
その他 31 14.71 74.71 3.47
脳梗塞の病型別の患者数、平均在院日数、平均年齢、転院率を集計しました。

脳梗塞(I63$)は発症して早期に入院される患者さんが多く、その平均年齢は75歳で、高齢者の方が多くなっています。平均在院日数は約19日間で、治療とリハビリを行い、およそ7割の方が自宅もしくは施設に帰られ、およそ3割の患者さんが継続リハビリのために連携病院などに転院されています。
当院では毎日脳神経外科の当直医を配置し、急性期の脳血管障害を主体に、365日24時間体制で診療を行っており、超急性期の脳梗塞に対する血栓溶解療法(t-PA投与)及び血管内治療も積極的に行っています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 386 1.66 2.64 1.04 73.59
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺、心外膜アプローチ) 364 1.69 3.45 0.55 69.27
K555-22 経カテーテル弁置換術(経皮的大動脈弁置換術) 204 5.44 10.07 7.84 85.00
K5481 経皮的冠動脈形成術(高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテル) 78 2.45 3.40 1.28 76.40
K5944ハ 不整脈手術(左心耳閉鎖術)(経カテーテル的手術) 71 4.94 3.14 2.82 78.83
循環器内科は、狭心症、心筋梗塞治療に対する経皮的冠動脈ステント留置術や経皮的冠動脈形成術(心臓カテーテル治療)、不整脈治療に有効である経皮的カテーテル心筋焼灼術(アブレーション治療)を多数行っています。心臓カテーテル治療は、足の付け根、手首、ひじなどにある動脈から、カテーテルを心臓の近くまで挿入し、心臓の筋肉に血液を供給している冠動脈という動脈を映し出し、狭くなった冠動脈に対し、風船(バルーン)やステント(金属でできた網目模様の筒)を用いて拡張することで病変を治療します。アブレーション治療は、心臓の拍動リズムに異常を来して脈拍数が多くなる、「頻脈性不整脈」という病気に対し行われる治療法です。足の付け根などの太い血管からカテーテルを入れて、心臓内部の不整脈の原因となっている部分を小さく高周波電流で焼灼すること不整脈を起こさなくします。大動脈弁狭窄症に対して、主に動脈より弁植込み(TAVI)を行っています。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 158 0.99 4.00 1.27 63.23
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 98 0.60 1.06 1.02 68.28
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 73 3.42 10.89 6.85 70.23
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) 71 0.52 2.44 0.00 43.89
K4762 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 65 1.00 1.94 0.00 61.63
外科は食道外科、消化管外科、肝胆膵外科、乳腺外科を柱としています。2023年の手術総件数は1202件で緊急手術は320件と例年より増加しています。腹腔鏡による低侵襲手術は例年通り半数以上を占めており、手術患者数TOP4は腹腔鏡手術となっています。胆嚢摘出術、鼠径ヘルニア手術、結腸悪性腫瘍切除術、虫垂切除術、乳腺悪性腫瘍手術が例年通り多く、TOP5となっています。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 92 0.30 7.74 13.04 78.24
K178-4 経皮的脳血栓回収術 75 0.11 21.03 48.00 78.55
K1421 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(前方椎体固定) 48 1.92 7.96 2.08 63.81
K1643 頭蓋内血腫除去術(開頭)(脳内) 41 2.20 33.93 85.37 64.12
K142-4 経皮的椎体形成術 37 5.41 12.84 16.22 81.68
近年、切らずに治療する脳血管内治療の発展に伴い、治療件数が増加しています。特に急性期脳梗塞においては、早期に血流を再開させることで良好な結果が得られるため急速に治療件数が増えています。また、高齢化に伴い、脳の表面に血が溜まる慢性硬膜下血腫の治療件数が増えてきています。当院では廃用や認知症が進行しないように、迅速に治療を行い早期退院を目指します。低侵襲脊椎脊髄センターでは、内視鏡による低浸潤な手術を基本コンセプトに専門性の高い高度な治療を各個人に応じた最適な治療法をご提供してます。
心臓血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5603ニ 大動脈瘤切除術(上行・弓部同時)(その他) 170 1.42 26.9 13.53 72.09
K5612ロ ステントグラフト内挿術(腹部大動脈) 96 1.72 6.68 1.04 79.58
K5601ニ 大動脈瘤切除術(上行)(その他) 94 0.60 26.71 9.57 68.57
K552-22 冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺不使用)(2吻合以上) 88 4.29 17.17 5.26 67.72
K5605 大動脈瘤切除術(胸腹部大動脈) 83 2.80 27.38 7.41 67.43
当院では心臓大動脈疾患の治療を大動脈センターと心臓病センターの2本柱で行っています。大動脈外科は、大動脈瘤・大動脈解離の手術を専門に行い、「国内最多」の手術症例数と治療実績をもつ、「国内唯一」の大動脈疾患治療の専門施設です。手術の方法は、人工血管置換術のほかステントグラフト内挿術を行っています。急性大動脈解離、大動脈瘤破裂等の重症救急患者に対しては、24時間体制で手術対応しています。各手術成績において死亡率、主要合併症発生率ともに全国平均より下回っています。当センターでは開設当初より緊急患者を絶対に断らないという方針で治療を続けて参りました。ハイリスク患者が増える中、緊急、待機的手術共に治療成績も年々向上しています。さらに後期高齢患者に対しても安定した手術の提供と積極的リハビリテーションの導入により治療成績は改善しています。
※人工血管置換術は、上記以外にも大動脈弓部72件、基部(上行大動脈)71件行っています。
※ステントグラフト内挿術は治療部位により名称が異なります。上記以外に胸部41名、腸骨51名の患者さんに対して行っています。
心臓病センターでは虚血性心疾患に対する人工心肺を使用しないオフポンプ冠動脈バイパス術を行い、特色としては、通常のバイパス吻合では血行再建が困難なびまん性狭窄病変に対するオンレイパッチ吻合、動脈硬化内膜摘除術であり、高いオフポンプ完遂率、バイパス開存率を維持しています。
婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K877-2 腹腔鏡下腟式子宮全摘術 159 1.00 3.70 0.00 47.21
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) 98 0.89 4.02 1.02 40.78
K872-2 腹腔鏡下子宮筋腫摘出(核出)術 51 0.98 3.98 0.00 39.55
K867 子宮頸部(腟部)切除術 44 1.00 0.89 0.00 37.77
K861 子宮内膜掻爬術 37 1.00 0.70 0.00 56.49
手術は、婦人科手術全般を対象に行っています。婦人科良性疾患(卵巣腫瘍や子宮筋腫)であれば、巨大なものでも日本産科婦人科内視鏡手術認定医が安全に内視鏡手術(傷が小さいので、美容的な面は勿論のこと、手術後の痛みが少なく、社会復帰が早い低侵襲な手術)を行っています。婦人科悪性手術に対しても日本婦人科腫瘍専門医が根治性の高い手術を提供しています。
腎臓内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K616-41 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(初回) 74 1.09 2.22 2.70 70.92
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)(単純) 69 5.39 9.10 5.80 70.30
K616-42 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(1の実施後3月以内に実施) 12 0.75 0.58 0.00 76.33
K635-3 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術 12 4.08 17.17 8.33 65.92
腎臓内科は、血液透析治療に利用する内シャントを設置する手術を行っています。また、当院では、人工透析のほか腹膜透析の症例も多く、腹膜灌流用カテーテル留置術も積極的に行っています。さらに、シャント(バスキュラーアクセス)のトラブルにも緊急対応しています。
消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 575 0.05 1.01 0.00 64.99
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 131 0.92 11.92 3.82 75.02
K7212 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm以上) 76 0.38 2.07 0.00 63.47
K654 内視鏡的消化管止血術 73 0.75 8.71 6.85 73.45
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍胃粘膜) 56 1.21 6.20 0.00 74.80
消化器内科は、内視鏡的大腸ポリープ切除術を、入院、外来合わせると、2023年度は1202件と非常に多く行っています。早期大腸癌を疑う病変に対しては、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を行っていて2023年度は34件行っています。早期食道癌や早期胃癌に対してもESDを行っていますが、2023年度は早期食道癌14件、早期胃癌57件行っています。また、消化管出血に対する内視鏡的消化管止血術や急性胆管炎に対する内視鏡的胆道ステント留置術など緊急性を要する内視鏡治療も多数行っています。当院では、24時間緊急内視鏡検査が行える体制が整っています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - 0.09
異なる - 0.07
180010 敗血症 同一 24 0.23
異なる 13 0.13
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - 0.01
180040 手術・処置等の合併症 同一 17 0.16
異なる - -
播種性血管内凝固、敗血症、真菌症、手術・処置などの合併症の患者数と発症率を集計しました。

DPC病名と入院契機が「同一」か「異なる」に分類して集計しています。
「同一」はある病気の診療目的で入院し、その病気の治療を行なったということを表し、「異なる」はある病気の診療目的で入院したが、併発していた、もしくは入院中に違う病気が発症したことにより、その治療が主となってしまった場合を表します。
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率ファイルをダウンロード
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
1514 1134 74.9
当院では、肺血栓塞栓症の予防を積極的に行っています。具体的な予防策としては、以下のような方法が推奨されています。
1.適度な運動: 長時間の座位や寝たきりを避け、定期的に体を動かすことが重要です。
2.弾性ストッキングの着用: 血流を促進し、血栓の形成を防ぐために使用されます。
3.生活習慣の改善: 健康的な食事や禁煙など、全体的な健康状態を向上させることが予防に繋がります。
4.リハビリテーション:手術後のリハビリや予防体操、適切な体位交換が行われます。
血液培養2セット実施率ファイルをダウンロード
血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
血液培養2セット実施率
3190 2393 75.02
血液培養は2セット実施することで1セットのみの実施より感染症の原因菌を検出しやすくなることがわかっています。また、血液から検出された菌が真の感染症の原因菌なのか、血液採取時に体表の菌が混入したものか判断がしやすくなるため2セット実施することが求められます。
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率ファイルをダウンロード
広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
713 604 84.71
広域スペクトラムの抗菌薬は薬剤耐性菌の原因となるため可能な限り短期間の使用とすることが必要です。広域抗菌薬を使用する前に細菌培養を実施することで感染症の原因菌が明らかになり、広域抗菌薬から原因菌に対象を絞った抗菌薬への切り替えが可能となります。当院では広域抗菌薬使用前に細菌培養を実施し、広域抗菌から原因菌に対象を絞った狭域抗菌薬への切り替えを積極的に取り組んでいます。
更新履歴
2024/10/1