リハビリテーション科

特色

リハビリテーション(rehabilitation)の語源は「re」(再び)と「habilis」(適合する)からきています。すなわち、病気や手術によって低下した身体機能回復を目指すのみならず、これまで大切にしてきた患者さんの生活や、家庭や地域での役割なども考慮して社会生活を取り戻すための全てのプロセスです。

充実したセラピスト数

当科では2020年6月現在、リハビリテーションの専門職である理学療法士31名、作業療法士10名、言語聴覚士5名と急性期病院では充実した体制を整えています。

セラピスト数

*参考:日本リハビリテーション医学会;急性期リハビリテーション実態調査ワーキンググループ報告(2014年)

セラピスト経験年数

早期リハビリテーション

近年、病気の発症や手術後の可及的早期からリハビリテーションを開始することが、入院に伴う合併症の予防と早期の退院、社会復帰に重要であることが明らかとなっています。当科では、入院あるいは手術から3日以内に約90%の患者さんのリハビリテーションを開始しています。

早期リハビリテーション

理学療法
理学療法
理学療法

診療科別に全てのセラピストを常駐配置

各集中ケアユニットおよび病棟に全てのセラピストを常駐配置し、患者さんの入院生活の場である病棟で質、量ともに充実したリハビリテーションを提供しています。

診療科別に全てのセラピストを常駐配置
診療科別に全てのセラピストを常駐配置

理学療法 Physical Therapy:PT

理学療法士は、「体を起こして座る」「立つ」「歩く」などの基本的な運動機能と、呼吸機能や循環機能などのリハビリテーションを担当する専門職です。
当科では、各集中ケアユニットに専従の理学療法士を配置しており、病気の発症や手術後の超急性期から早期離床・リハビリテーションに取り組んでいます。 また人工呼吸器装着や肺炎などを合併したり、手術後に呼吸機能が低下している患者さんに対しては積極的に呼吸リハビリテーションをおこなっています。当科ではより専門性の高い理学療法をおこなうため、4チーム体制で理学療法を提供しています。

  • 大動脈センターチーム
  • 心臓病病センターチーム
  • 脳卒中チーム
  • がん・内科チーム
理学療法
理学療法

作業療法 Occupational Therapy:OT

作業療法士は生活をするうえで必要不可欠な、例えば「服を着替える」「お風呂に入る」「食事をする」など生活行為のリハビリテーションを担当する専門職です。
身体の機能が低下したことで、今までできていた生活行為ができなくなってしまいます。当科では自宅退院や社会生活への復帰にむけ病棟での生活機能訓練を重視し、発症早期から日常生活の再構築を支援しています。 「朝リハ」と称し起床から整容、トイレなどのセルフケアや、デイルームへ移動しての食事といった日常生活動作を、自宅での生活を患者さんとイメージしながら支援・指導をおこなっています。 また、安心して退院できるように実際にご自宅へ訪問させていただき、動作指導や介助指導、環境調整のお手伝いをいたします。

作業療法
作業療法

言語聴覚療法 Speech and language Therapy:ST

言語聴覚士は言語コミュニケーションと摂食嚥下のリハビリテーションを担当する専門職です。

言語リハビリテーション

脳卒中による言語障害の代表的なものに「失語症」と「運動性構音障害」があります。失語症は脳の言語中枢の損傷によって「話す」「聞く」「読む」「書く」といった言語機能が障害されます。運動性構音障害は舌や唇などの麻痺によりうまく話せなくなる症状です。また、大動脈瘤などの手術後には反回神経麻痺によって声がかすれる症状(嗄声)を生じることがありますが、当科では耳鼻咽喉科医師と連携して訓練、指導をおこなっています。

言語リハビリテーション
言語リハビリテーション

摂食嚥下リハビリテーション

高齢者や長期の人工呼吸器装着患者などでは嚥下障害が問題となりますが、当科では嚥下造影検査(VF:videofluorography)や嚥下内視鏡検査(VE:videoendoscopy)の実施件数も多く、全診療科から依頼を受け摂食機能訓練にも積極的に取り組んでおります。

摂食嚥下リハビリテーション
摂食嚥下リハビリテーション

疾患別リハビリテーション

心臓リハビリテーション

心臓リハビリテーションとは、心臓病などの患者さんが体力や自信を回復し、快適な家庭生活や社会生活に復帰するとともに、病気の再発防止にむけ医療スタッフの指導のもとで運動や生活習慣改善を行う一連のプログラムのことです。心筋梗塞や狭心症、心不全、心臓手術後の患者さんは心臓の働きが低下しているため、治療後もどの程度運動して大丈夫なのか、何に気をつけて生活すればよいか分からず不安もあります。さらに、心筋梗塞や狭心症、大動脈瘤などの原因となる動脈硬化の進行を防止することが大切で、そのためにも運動を継続し、生活習慣の改善に取り組むことが大切です。

当科では心臓リハビリテーション指導士をはじめ経験豊富なセラピストが、一人ひとりの患者さんに適した運動の方法を指導しています。心臓リハビリテーションの実施件数は日本国内ではトップクラスの実績であり、年間1,500人を超える患者さんの運動指導を行なっています。

主な対象疾患

急性大動脈解離、大動脈瘤手術、心臓外科手術、経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)、急性心筋梗塞、狭心症、心不全

主な対象疾患
主な対象疾患
主な対象疾患

脳卒中リハビリテーション

脳卒中リハビリテーション

脳卒中は「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」の総称です。脳の血管に何らかの異常が生じて、特定の領域への血流が減少することで手足の運動麻痺のように目に見える症状から、感覚障害や言語障害、記憶や思考といった高次脳機能障害など様々な症状が組み合わさって出現します。しかし、これらの症状は薬剤や手術などの治療ではあまり改善が期待できず、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士によるリハビリテーションが最も効果的な治療方法です。
脳卒中のリハビリテーションは治療の進行状況に合わせ急性期、回復期、維持期に分けられます。以前は病状が落ち着いた時期(回復期)から本格的に機能回復訓練を開始し、自宅への退院を目指すという考え方が一般的でした。しかし、最近の知見では「神経可塑性(かそせい)」と呼ばれる、損傷を受けた脳や神経が再編成されることで元の機能を代償しようとする働きは、発症から3ヶ月がもっとも活発であると言われています。そのため脳卒中発症早期の急性期リハビリテーションの重要性が認識されています。

脳卒中リハビリテーション

当院は「一次脳卒中センター」として認定されており、緊急手術が必要な重症例から軽症例まで多くの受け入れを行なっています。そのほぼ全例に急性期リハビリテーションを開始しており、医師、看護師、管理栄養士、医療ソーシャルワーカーなどの医療スタッフと協力して患者さんの回復を支援しています。ご自宅への退院も積極的に支援しています。

主な対象疾患

脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、急性硬膜下血腫、慢性硬膜下血腫

がんリハビリテーション

がんの療養におけるリハビリテーションは、患者さんの回復力を高め、残っている能力を維持・向上させ、可能な限り今までと変わらない生活を取り戻す支援をすることによって、患者さんの生活の質(QOL:Quality of Life)を大切にする考え方に基づいて行われます。がんそのものによる痛みや食欲低下、息苦しさによって寝たきりになったり、手術や化学療法などを受けることによって身体の機能が低下することがあります。このような状況になると「がんになったのだから仕方ない」と諦める人も多いかもしれませんし、日常生活に支障をきたし、家事や仕事への復帰も難しくなります。そうなるとQOLが著しく低下してしまいます。しかし、がんになっても、これまでの生活をできるだけ維持し、自分らしく過ごすことは可能です。そのために欠かせないのが「がんのリハビリテーション」です。

当科では理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の各部門のセラピストが専門性を発揮し、急性期治療から緩和ケアまで幅広い段階の患者さんのニーズに合わせた支援をおこなっています。また、第二川崎幸クリニックのリンパ浮腫看護外来と連携し、乳がんや婦人科疾患の手術後のリンパ浮腫管理・マッサージを、術前外来から手術後の入院期、退院後までシームレスにサポートする体制も整えています。

主な対象疾患

脳腫瘍、肺がん、食道がん、胃がん、大腸がん、胆肝膵がん、腎がん、前立腺がん、膀胱がん、乳がん、子宮がん

リハビリテーション施設基準

心大血管疾患リハビリテーションⅠ
脳血管疾患等リハビリテーションⅡ
廃用症候群リハビリテーションⅡ
運動器リハビリテーションⅠ
呼吸器リハビリテーションⅠ
がん患者リハビリテーション
摂食機能療法

スタッフ紹介

構成人数(2020年6月 現在)

  • 理学療法士:31名
  • 作業療法士:10名
  • 言語聴覚士:5名
スタッフ紹介

認定資格者(2016年4月 現在)

当科では下記のような認定を受けたスタッフが多く在籍しており、専門的で質の高いリハビリテーションを目指しています。
また、部署として資格取得に向けたサポートもしています。

  • 認定理学療法士(日本理学療法士協会)
  • 心臓リハビリテーション指導士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • がんのリハビリテーション研修終了
  • AHA BLSヘルスケアプロバイダー
  • 地域包括ケア推進リーダー(日本理学療法士協会)
  • 介護予防推進リーダー(日本理学療法士協会)
  • 福祉住環境コーディネーター
  • ロコモコーディネーター

科長紹介

リハビリテーション科 科長 浅田 浩明

浅田 浩明

リハビリテーション科 科長

略歴

  • 2009年4月 川崎幸病院入職

認定資格

  • 認定理学療法士(循環)
  • 心臓リハビリテーション指導士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • がんリハビリテーション研修終了

西田 友紀子

リハビリテーション科 主任/理学療法士

山根 圭視

リハビリテーション科 主任/理学療法士

飯田 由佳

リハビリテーション科 主任/理学療法士

石村 勇祐

リハビリテーション科 主任/理学療法士

相馬 憲男

リハビリテーション科 主任/理学療法士

池田 拓広

リハビリテーション科 主任/理学療法士

武本 知恵

リハビリテーション科 主任/理学療法士

実績

診療科別依頼件数(2019年4月~2020年3月)
診療科名 理学療法 作業療法 言語聴覚療法 全療法
脳神経外科 752 747 635 2134
大動脈外科 717 45 508 1270
心臓外科 313 18 38 369
循環器内科 459 18 54 531
関節外科* 333 43 11 387
整形外科* 228 0 0 228
外科 505 89 68 662
消化器内科 349 11 79 439
腎臓内科 168 12 31 211
泌尿器科 120 8 8 136
婦人科 41 2 2 45
形成外科 5 1 0 6
合計(件) 3,990 994 1,434 6,418

*2019年11月 関節外科・整形外科は、さいわい鶴見病院へ移転しました

部門別実績(2019年4月〜2020年3月)
部門名 実施患者数(人) 実施件数(件) 実施単位数(単位)
理学療法部門 3,990 62,602 100,736
作業療法部門 994 13,141 21,848
言語聴覚部門 1,434 11,599 17,049
合計 6,418 87,342 139,633