放射線治療とは?

放射線治療とは

放射線治療とは

放射線療法は手術と同じく、がんとその周辺のみを治療する局所治療です。手術と異なるところは、開腹してがんに冒された臓器を摘出する必要がなく、臓器をもとのまま温存することができます。そのため治療前とほとんど変わらない生活をすることが期待できる治療法です。
放射線が、がん治療の手段として使われはじめてから100年以上経ちますが、放射線療法は、高精度な治療に向けての医療機器の開発とコンピュータ技術の進歩を背景に、これまで以上に正常な組織や臓器への影響を減らし、効果的にがん病巣部へ照射できるようになっています。

放射線ががんを死滅させることができる理由

放射線療法とは放射線を照射することにより、がん細胞内のDNAにダメージを与え、がん細胞を死滅させる治療です。放射線はがん細胞のような細胞分裂の活発な細胞ほど殺傷しやすい性質があるため、正常な細胞にはあまり影響を与えずにがん細胞を殺傷することができます。
また正常な細胞は放射線によるダメージからの回復ががん細胞よりも大きいため、放射線の量を小分けにして照射することで正常細胞を回復させつつ、がん細胞をたたいていきます。

放射線ががんに効く理由
  1. 放射線は分裂がさかんな細胞により大きな損傷を与える性質を持つ
  2. がんは正常な細胞と比べて分裂が盛んであるため、DNAに傷がつきやすい
  3. 正常細胞は放射線によって受けたダメージを修復する能力を持つが、がん細胞は修復する能力が低い

以上の理由により、放射線は効果的にがん細胞を死滅させることができるのです。
また、正常な細胞も放射線によって損傷を受けますが、この損傷を出来るだけ少なくし、がん細胞だけに最大の効果を発揮できるように照射法の工夫がなされております。

放射線治療が果たす役割

放射線は治すことを目的としての治療から、症状を和らげるための治療まで幅広い役割を担うことができる治療です。

1. 治癒させることが目的の治療(根治治療)

臓器の形態や機能を温存することが可能な治療です。頭頸部がん、悪性リンパ腫、子宮頸がん、肺がん、食道がん、前立腺がん、皮膚がんなどで行われています。

2. 手術の前、または後の治療(術前、術後治療)

がんをできるだけ小さくして手術をしやすくしたりするために手術前に放射線の治療をすることがあります。手術後には手術で切除しきれずに残ったがん細胞を殺してしまい、再発の可能性を下げるために治療をすることがあります。乳がん(温存療法、乳房切除術後)、頭頸部がん、骨軟部腫瘍、食道がん、肺がんなどで行われています。

3. 手術後の再発に対する治療

手術をした部位から再発した食道がん、肺がん、頭頸部がん、乳がんなどでは、遠隔転移がなければ放射線治療で治癒する可能性があります。抗がん剤と併用して治療することもあります。

4. がんによっておこっている症状を和らげるための治療(緩和治療)

骨転移による痛み、脳転移による神経症状、がん組織による気管、血管、神経などの圧迫による症状を和らげます。がんの苦しみを緩和するための治療です。