2026.02 27 金曜日 お役立ち
お役立ち

【看護師/リンパ浮腫セラピストが伝える】上肢リンパ浮腫の予防…

手術の際のリンパ節郭清(がん細胞が転移している可能性のあるリンパ節も一緒に切除)により部分的にリンパ管が途切れたり、放射線治療によるリンパ管の破損などにより、リンパ管を通るはずだった老廃物や水分が皮膚の下にたまってむくみが生じる状態がリンパ浮腫です。
治療後、何年経過してもリンパ浮腫になる可能性があり、負担の積み重ね・炎症・誤ったケアなどをきっかけに5~10年以上経過してから発症する方もいます。

<部位>

手術した側の腕(上腕~指先まで)
脇の下、 胸、 背中

<原因>

腋窩リンパ節郭清
センチネルリンパ節生検
(※1 リンパ節にがんが転移していないか調べる検査)
放射線治療
皮膚トラブル

(※1)

<特徴的な症状>

手術した側の腕が浮腫む
両側乳がん手術後でも、片側にだけ浮腫みがでることがある

□ 手術側の腕がだるい、疲れやすい
□ 肩や背中が腫れぼったい、肩が凝る
□ ブラジャーの跡が残る(左右差がある)
□ 指輪や腕時計、上着の袖口がきつく感じる
□ 手指を握ったり開いたりするとき違和感がある
□物を落としやすくなった
□手の甲のしわが見えにくくなった
□朝、起きても重だるさが取れない

日常生活でのポイント

①鎖骨を大きくゆっくり動かすようにして、肩の後ろ回し10回を1日に何度か行いましょう。
②お腹の太いリンパ管の運動を促進させる腹式呼吸5回を、1日に何度か行いましょう。
③背筋を伸ばして大きく手を動かして歩くことで、全身のリンパの流れも活性化されます。
 適度な散歩をしましょう。

①爪は深爪にならないように切り、ささくれや甘皮は保湿クリームなどで手当てしましょう。
②水虫や湿疹、アトピー性皮膚炎など、皮膚の疾患は皮膚科に受診して治療しましょう。
③ペットに噛まれたり引っ掻かれた傷は、よく洗い流し、ひどい時は皮膚科に受診しましょう。
④虫に刺された時は、掻かずにかゆみ止めを使いましょう。
⑤ムダ毛の処理はカミソリを使わず、電動式の物を使用しましょう。

皮膚が傷つくと炎症が起き、発疹ができたり全体に赤くなったりします。
また、38℃以上の発熱や痛みを伴うこともあります。
炎症をきっかけにリンパ浮腫を発症したり、浮腫が悪化することがあります。
①皮膚を傷つけてしまったら、すぐ洗い、傷の周りが腫れていないか確かめましょう。
②腫れがひかない場合は、できるだけ早く皮膚科に受診しましょう。

①腕のリンパ浮腫が心配な人は、無理をして重い荷物を持たないようにしましょう。
②温熱カイロや温湿布、ホットカーペットなどの火傷に気を付けましょう。火傷をしてしまったら、
 すぐに冷水で冷やし、水ぶくれや皮膚がむけてしまった場合は皮膚科に受診しましょう。

①負担の大きい家事によってリンパ浮腫が起きることを家族に理解してもらいましょう。
②アイロンがけや調理による火傷に気を付けましょう。
③買い物袋は、腕にかけるとうっ滞が起こるので肩にかけましょう。
④季節ごとの家事で負担が大きい重労働は、家族が手伝ってくれる日に行いましょう。

①テニスやゴルフは、遠心力により腕の血液が心臓に戻りにくくなるので気をつけましょう。
②筋力トレーニングは有効ですが、腕を酷使するまでは行わないようにしましょう。
③腕が腫れたり、翌日まで疲れが残るような運動は避けましょう。
④運動後はシャワーなどで汗を流して着替え、皮膚の清潔を心がけましょう。

①肥満になるとリンパ液の流れを阻害するので、 標準体重を目安に体重管理しましょう。
②生活習慣病予防と同様、野菜不足に気を付けた栄養バランスの良い食事を心がけましょう。

①飛行機や電車などで長時間移動のときは、こまめに体を動かしましょう。
②車での移動は、運転する場合も同乗する場合も、こまめに休憩しましょう。
③バックはリュックに変えて腕の負担を軽くしましょう。
④温泉など熱い湯での長湯、高温のサウナ、 岩盤浴はむくみを誘発するので注意しましょう。

①疲れがむくみの原因になるので、十分な休息と睡眠で疲れを残さないように心がけましょう。
②手先を心臓より10㎝くらい高くするとリンパ液の流れが促進されるので、敷布団の上にクッションや 
 座布団など2枚を少しずらして重ねて傾斜を作り、睡眠中でも腋窩リンパ節を切除した方の腕を挙上し 
 ましょう。高く上げ過ぎるとリンパ液の流れを妨げてしまうので注意しましょう。
③腋窩リンパ節を切除した方の腕が下になり、その腕に体重がのるような寝方は避けましょう。
④ストレスも大敵なので、気分転換によりコントロールしてリンパ浮腫の予防に役立てましょう。

受診の目安

①手術や放射線治療を受けた医療機関で、リンパ浮腫の起こる可能性、注意事項、発症した時の対処法などを聞いておきましょう。
②リンパ浮腫は、他の病気がきっかけでも生じることを覚えておきましょう。
③朝、起きても重だるさが取れない場合やむくみが残るようになってきた場合は、早めに受診しましょう。

印刷可能なPDFもご利用ください

監修

第二川崎幸クリニック

看護師/リンパ浮腫セラピスト 
中山くみ子、渕辺有紀

参考:イラストでわかるリンパ浮腫-リンパ浮腫の予防・生活・セルフケア-、監修 廣田彰男、発行者 東島俊一、発行所 株式会社法研、2013年2月26日発行

\フォローしてね/

神奈川地区

埼玉地区