放射線治療の流れ

臓器ごとのがん治療 前立腺がん

前立腺と前立腺がん

前立腺は男性だけにある生殖器の1つで、膀胱の真下にある臓器です。

前立腺がんとは

前立腺がんは前立腺にできるがんのことで、高齢者に多く、40歳代からみられ50歳以上で多くなります。また、食生活の欧米化、高齢化に伴う男性ホルモンの影響などにより、日本人に増えているがんの1つです。

前立腺がんの症状

前立腺がんの症状としては、排尿障害のほか、排尿痛、血尿、膀胱刺激症状などがありますが、自覚症状が現れるようになった時にはすでにがんが進行していることが少なくありません。

早期発見が大切です

前立腺がんは早期に治療すれば約90%の人が完治するといわれています。しかし、自覚症状がないため、早期発見が難しいがんです。そのため、PSA検査による早期発見が大切です。

なぜ放射線でがんが治るのか?

放射線治療とは放射線を照射することにより、がん細胞内のDNAにダメージを与え、がん細胞を死滅させる治療です。放射線はがん細胞のような細胞分裂の活発な細胞ほど殺傷しやすい性質があるため、正常な細胞にはあまり影響を与えずにがん細胞を死滅させることができます。

放射線の精度が治療のポイント

がんを効果的にたたくためには、正常な細胞に放射線をあてずに、がんだけに集中的に強い放射線を照射することが理想です。

今までの放射線治療装置では・・・

がんだけに放射線を正確に照射する技術がなかったため、正常な組織にも放射線があたり副作用が生じたり、十分な放射線をがんに集中してあてることができず治療効果がなかなか上がりませんでした。
放射線の精度を高めていくことが放射線治療の課題でした。

コンピューターの技術の発展により放射線治療装置は年々進歩してきました。

治療装置

川崎幸病院は、2012年7月に放射線治療を開始するにあたり、最新の治療装置であるエレクタシナジーを導入し、がんへの理想的な照射が可能になりました。

川崎幸病院前立腺がん治療の5つのポイント

IMRT (アイエムアールティ)画期的な照射技術

今までの放射線照射技術では・・・

従来の治療ビームは、ビーム内の放射線の強度が均一であったため、正常細胞にも放射線は照射されてしまいました。そのため、副作用を抑えるために、がんに強い放射線を照射することができませんでした。

治療ビーム

IMRTは、赤い部分に治療ビームを集中させ、
前立腺がんだけをくりぬくような照射が可能です。

IMRTでは

最新のコンピューター技術を用いて、がんのかたちや位置に合わせて、ビーム内の放射線の強度や形状を変化(変調)させて照射することができます。この照射技術をIMRT(強度変調放射線治療)といいます。

治療装置

治療ビームのわずかなズレも補正

放射線治療では、治療前にCT画像でがんのかたちと位置を把握し、照射の計画をつくります。効果的にがんをたたくためには、その計画どおりにビームを照射することが必要です。

エレクタシナジー

エレクタシナジーは、従来の3軸方向にさらに回転方向が
加わった6軸補正法でより精密な補正が可能です。

エレクタシナジーはわずかな誤差も補正

エレクタシナジーにはCTが装備されています。このCTを用いて、治療(ビーム照射)直前にCT画像でがんの位置を再度確認し、照射計画とのわずかなズレを補正してから治療することができます。
この照射技術をIGRT(画像誘導放射線治療)といいます。

治療時間が短いVMAT法

より進歩した治療法 VMAT法

当院のIMRTは、治療ビームの形状と強度を変化させながら、かつ、身体の周りを回転させながら連続的に照射するというVMAT法を採用しているため、短時間に照射を終えることができます。

従来のIMRTでは

待たずにすぐ治療開始できます

IMRTなどの複雑な放射線治療では、治療計画の作成や検証作業に時間がかかるため、病院によっては、初診から治療開始まで数か月待つことが多いようです。
川崎幸病院放射線治療センターでは、放射線治療医2名と専任の医学物理士たちが治療にあたっており、短期間でスムーズに治療が開始できます。
病気の進み具合にもよりますが、大半の前立腺がんではホルモン療法を先行したのちの放射線治療の方が効果が高いことがわかっています。従って大半の前立腺がん患者さんは、まずはホルモン療法を数か月間受けていただき、そののちに放射線治療開始となります。

専門スタッフによる高品質な放射線治療

当院の放射線治療センターでは、確かな技術と豊富な経験をもった多くの職種の専門スタッフによるチーム医療で、最新の治療を提供しています。

専門スタッフ

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PSA検査 ~PSA検査は前立腺がんの早期発見に有効な検査です~

PSAとは

前立腺から分泌されるたんぱく質の一種で、前立腺がんや前立腺肥大症など前立腺に異常があると大量のPSAが血液中に流れ出します。そのため、血液検査によりPSA値を測定することで、前立腺の異常を早期発見することが期待できます。

簡単な検査です

採血のみの検査ですので、身体の負担なく手軽に行えます。

40歳になったら検査を

一般的に50歳以上の男性が対象ですが、ご家族で前立腺がんにかかった方がいらっしゃる方については、40歳になったらPSA検査を受けることが推奨されています。

PSA基準値について

基準値 4.0ng/mL以下

1.0ng/mL以下では3年に一度検査を、1.0ng/mL~基準値ですと1年に一度の検査が推奨されています。基準値以上の場合、専門医の受診が必要になってきます。「PSAが高い」といわれたら、前立腺がんの可能性があるので、泌尿器科専門医を受診していただくことを勧めています。

PSA検査をご希望の方へ

川崎幸病院では、外来施設である第二川崎幸クリニックにてPSA検査を実施しています。

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