臨床指標データ

日本病院会QIプロジェクト

QI(Quality Indicator)とは、“医療の質の目安となる指標”です。

川崎幸病院は、日本病院会QIプロジェクト に参加しています。

日本病院会QIプロジェクトは、各々の病院が測定した患者満足度や死亡退院患者率などの自院のデータを経時的に公表しながら、向上のためのあらゆる努力をし、結果として医療の質を改善することを目的とした事業です。
自院でQIの数値を時系列的に追いながら、取り組み(科ごと、医師ごと、病棟ごとのパフォーマンス)を数値で可視化(見える化)することが改善の原動力になります。

臨床指標データ

患者満足度(外来患者)満足

計算方法

分子 「とても満足」「満足」と回答した外来患者数
分母 外来患者への満足度調査項目「この病院について総合的にはどう思われますか?」の設問有効回答数
除外 未記入患者

指標の説明・定義

受けた治療の結果、安全な治療に対する患者の満足度をみることは、医療の質を測るうえで直接的な評価指標の重要な一つです。
当院の患者満足度調査において「総合的な印象」という設問に対し、5段階評価(とても満足、満足、普通、不満足、かなり不満足)中、上位2つの評価に該当する回答をした外来患者数。
なお、日本病院会の指標の5段階評価は(満足、やや満足、どちらでもない、やや不満、不満)となります。
※2020年度の調査は、昨今のコロナ感染拡大状況を考慮し、外来患者の調査は中止としております。

指標の種類・値の解釈

アウトカム
より高い値が望ましい

患者満足度(入院患者)満足

計算方法

分子 「とても満足」「満足」と回答した入院患者数
分母 入院患者への満足度調査項目「この病院について総合的にはどう思われますか?」の設問有効回答数
除外 未記入患者

指標の説明・定義

受けた治療の結果、入院期間、安全な治療に対する患者の満足度をみることは、医療の質を測るうえで直接的な評価指標の重要な一つです。
当院の患者満足度調査において「総合的な印象」という設問に対し、5段階評価(とても満足、満足、普通、不満足、かなり不満足)中、上位2つの評価に該当する回答をした入院患者数。
なお、日本病院会の指標の5段階評価は(満足、やや満足、どちらでもない、やや不満、不満)となります。

指標の種類・値の解釈

アウトカム
より高い値が望ましい

死亡退院患者率

計算方法

分子 死亡退院患者数
分母 退院患者数
除外 DPCで様式1に含まれる「救急患者として受け入れた患者が、処置室、手術室等において死亡した場合で、当該保険医療機関が救急医療を担う施設として確保することとされている専用病床に入院したものとみなされるもの(死亡時の1日分の入院料等を算定するもの)。」
緩和ケア等退院患者(診療報酬の算定を認可された病棟のみではなく、同様の病棟を設置している場合も含む)

指標の説明・定義

どの病院でも、死亡退院患者率を把握できますが、病院単位での医療アウトカムを客観的に把握するシステムは存在しません。医療施設の特徴(職員数、病床数、救命救急センターや集中治療室、緩和ケア病棟の有無、平均在院日数、地域の特性など)、入院患者のプロフィール(年齢、性別、疾患の種類と重症度など)が異なるため、この死亡退院患者率から直接医療の質を比較できるものではありません。
分母を退院患者数、分子を死亡退院患者数としています。死亡率に大きく影響すると考えられた緩和ケア等退院患者と「救急患者として受け入れた患者が、処置室、手術室等において死亡した場合で、当該保険医療機関が救急医療を担う施設として確保することとされている専用病床に入院したものとみなされるもの(死亡時の1 日分の入院料等を算定するもの)」を分母、分子から除外しています。

指標の種類・値の解釈

アウトカム
より低い値が望ましい

入院患者の転倒・転落発生率

計算方法

分子 医療安全管理部門へインシデント・アクシデント報告が提出された入院中の転倒・転落件数を分子
分母 入院患者延べ数

指標の説明・定義

入院中の患者の転倒やベッドからの転落は少なくありません。原因としては、入院という環境の変化によるものや疾患そのもの、治療・手術などによる身体的なものなどさまざまなものがあります。
転倒・転落の指標としては、転倒・転落によって患者に傷害が発生した損傷発生率と、患者への傷害に至らなかった転倒・転落事例の発生率との両者を指標とすることに意味があります。転倒・転落による傷害発生事例の件数は少なくても、それより多く発生している傷害に至らなかった事例もあわせて報告して発生件数を追跡するとともに、それらの事例を分析することで、より転倒・転落発生要因を特定しやすくなります。こうした事例分析から導かれた予防策を実施して転倒・転落発生リスクを低減していく取り組みが、転倒による傷害予防につながります。
転倒・転落の損傷レベルについてはThe Joint Commission の定義を使用しています。

指標の種類・値の解釈

アウトカム
より低い値が望ましい

損傷レベル

レベル 説明
1 なし 患者さんに損傷はなかった
2 軽度 帯、氷、創傷洗浄、四肢の拳上、局所薬が必要となった。またはあざ・擦り傷を招いた
3 中軽度 縫合、ステリー・皮膚接着剤、副子が必要となった。または筋肉・関節の挫傷を招いた
4 重度 手術、ギプス、牽引、骨折を招いた・必要となった。または神経損傷・身体内部の損傷の診察が必要となった
5 死亡 転倒による損傷の結果、患者さんが死亡した
6 UTD 記録からは判定不可能

入院患者の転倒・転落による損傷発生率(損傷レベル2以上)

計算方法

分子 医療安全管理部門へインシデント・アクシデント報告が提出された入院中の転倒・転落件数を分子
分母 入院患者延べ数

指標の説明・定義

入院中の患者の転倒やベッドからの転落は少なくありません。原因としては、入院という環境の変化によるものや疾患そのもの、治療・手術などによる身体的なものなどさまざまなものがあります。
転倒・転落の指標としては、転倒・転落によって患者に傷害が発生した損傷発生率と、患者への傷害に至らなかった転倒・転落事例の発生率との両者を指標とすることに意味があります。転倒・転落による傷害発生事例の件数は少なくても、それより多く発生している傷害に至らなかった事例もあわせて報告して発生件数を追跡するとともに、それらの事例を分析することで、より転倒・転落発生要因を特定しやすくなります。こうした事例分析から導かれた予防策を実施して転倒・転落発生リスクを低減していく取り組みが、転倒による傷害予防につながります。
転倒・転落の損傷レベルについてはThe Joint Commission の定義を使用しています。

指標の種類・値の解釈

アウトカム
より低い値が望ましい

損傷レベル

レベル 説明
1 なし 患者さんに損傷はなかった
2 軽度 包帯、氷、創傷洗浄、四肢の拳上、局所薬が必要となった。またはあざ・擦り傷を招いた
3 中軽度 縫合、ステリー・皮膚接着剤、副子が必要となった。または筋肉・関節の挫傷を招いた
4 重度 手術、ギプス、牽引、骨折を招いた・必要となった。または神経損傷・身体内部の損傷の診察が必要となった
5 死亡 転倒による損傷の結果、患者さんが死亡した
6 UTD 記録からは判定不可能

入院患者の転倒・転落による損傷発生率(損傷レベル4以上)

計算方法

分子 医療安全管理部門へインシデント・アクシデント報告が提出された入院中の転倒・転落件数を分子
分母 入院患者延べ数

指標の説明・定義

入院中の患者の転倒やベッドからの転落は少なくありません。原因としては、入院という環境の変化によるものや疾患そのもの、治療・手術などによる身体的なものなどさまざまなものがあります。
転倒・転落の指標としては、転倒・転落によって患者に傷害が発生した損傷発生率と、患者への傷害に至らなかった転倒・転落事例の発生率との両者を指標とすることに意味があります。転倒・転落による傷害発生事例の件数は少なくても、それより多く発生している傷害に至らなかった事例もあわせて報告して発生件数を追跡するとともに、それらの事例を分析することで、より転倒・転落発生要因を特定しやすくなります。こうした事例分析から導かれた予防策を実施して転倒・転落発生リスクを低減していく取り組みが、転倒による傷害予防につながります。
転倒・転落の損傷レベルについてはThe Joint Commission の定義を使用しています。

指標の種類・値の解釈

アウトカム
より低い値が望ましい

損傷レベル

レベル 説明
1 なし 患者さんに損傷はなかった
2 軽度 包帯、氷、創傷洗浄、四肢の拳上、局所薬が必要となった。またはあざ・擦り傷を招いた
3 中軽度 縫合、ステリー・皮膚接着剤、副子が必要となった。または筋肉・関節の挫傷を招いた
4 重度 手術、ギプス、牽引、骨折を招いた・必要となった。または神経損傷・身体内部の損傷の診察が必要となった
5 死亡 転倒による損傷の結果、患者さんが死亡した
6 UTD 記録からは判定不可能

褥瘡発生率

計算方法

分子 d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡の院内新規発生患者数
分母 入院患者延べ数
除外 日帰り入院患者、同日入退院患者、褥瘡持込患者、調査月間以前の院内新規褥瘡発生患者

指標の説明・定義

褥瘡は、看護ケアの質評価の重要な指標の1つとなっています。褥瘡は患者のQOL の低下をきたすとともに、感染を引き起こすなど治癒が長期に及ぶことによって、結果的に在院日数の長期化や医療費の増大にもつながります。そのため、褥瘡予防対策は、提供する医療の重要な項目の1 つにとらえられ、1998 年からは診療報酬にも反映されています。
褥瘡の深さについては、日本褥瘡学会のDESIGN-R(2008 年改訂版褥瘡経過評価用)とInternational NPUAP-EPUAP Pressure Ulcer Guidelines を用いています。DESIGN-Rの評価項目のうち、深さがd2以上に至ったものを褥瘡発生と捉えています。

指標の種類・値の解釈

アウトカム
より低い値が望ましい

Depth(深さ)

レベル 内容
d0 皮膚損傷・発赤なし
d1 持続する発赤
d2 真皮までの損傷
d3 皮下組織までの損傷
d4 皮下組織をこえる損傷
d5 関節腔、体腔に至る損傷
DU 深さ判定が不能の場合

紹介率

計算方法

分子 紹介初診患者数
分母 初診患者数-(休日・夜間以外の初診救急車搬送患者数+休日・夜間の初診救急患者数)

指標の説明・定義

紹介率とは、初診患者に対し、他の医療機関から紹介されて来院した患者の割合です。一方、逆紹介率とは、初診患者に対し、他の医療機関へ紹介した患者の割合です。高度な医療を提供する医療機関にだけ患者が集中することを避け、症状が軽い場合は「かかりつけ医」を受診し、そこで必要性があると判断された場合に高い機能を持つ病院を紹介受診する、そして治療を終え症状が落ち着いたら、「かかりつけ医」へ紹介し、治療を継続または経過を観察する、これを地域全体として行うことで、地域の医療連携を強化し、切れ間のない医療の提供を行います。つまり、紹介率・逆紹介率の数値は、地域の医療機関との連携の度合いを示す指標です。
2020年度は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により下降傾向にあります。

指標の種類・値の解釈

プロセス

逆紹介率

計算方法

分子 逆紹介患者数
分母 初診患者数-(休日・夜間以外の初診救急車搬送患者数+休日・夜間の初診救急患者数)

指標の説明・定義

紹介率とは、初診患者に対し、他の医療機関から紹介されて来院した患者の割合です。一方、逆紹介率とは、初診患者に対し、他の医療機関へ紹介した患者の割合です。高度な医療を提供する医療機関にだけ患者が集中することを避け、症状が軽い場合は「かかりつけ医」を受診し、そこで必要性があると判断された場合に高い機能を持つ病院を紹介受診する、そして治療を終え症状が落ち着いたら、「かかりつけ医」へ紹介し、治療を継続または経過を観察する、これを地域全体として行うことで、地域の医療連携を強化し、切れ間のない医療の提供を行います。つまり、紹介率・逆紹介率の数値は、地域の医療機関との連携の度合いを示す指標です。

指標の種類・値の解釈

プロセス

尿道留置カテーテル使用率

計算方法

分子 尿道留置カテーテルが挿入されている患者延べ数
分母 入院患者延べ数
除外 恥骨上膀胱留置カテーテル、コンドーム型カテーテル、間欠的な導尿目的のカテーテル挿入、洗浄目的で挿入された尿道留置カテーテル

指標の説明・定義

尿路感染症は医療関連感染の中でも最も多く、約40%を占め、その80%が尿道留置カテーテルによるもの、すなわちCAUTI(catheter-associated urinary tract infection)です。医療機関で起こる血流感染の15%はCAUTIの合併症であると推計されており、その寄与死亡率は15%を超えます。CAUTI のリスクは医療機関、部署、患者の特性に左右されますが、エビデンスレベルが高い予防策の実施により、CAUTI の65%‐70%は予防可能と推計されています。

指標の種類・値の解釈

プロセス

救急車・ホットラインの応需率

計算方法

分子 救急車で来院した患者数
分母 救急車受け入れ要請人数

指標の説明・定義

救急医療の機能を測る指標であり、救急車受け入れ要請のうち、何台受け入れができたのかを表しています。
本指標の向上は、救命救急センターに関連する部署だけの努力では改善できません。救急診療を担当する医療者の人数、診療の効率化、入院を受け入れる病棟看護師や各診療科の協力など、さまざまな要素がかかわります。
2020年度の低下の傾向は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による受け入れ機関の制限も影響しているのではないかと思われます。

指標の種類・値の解釈

プロセス
より高い値が望ましい

特定術式における手術開始1時間以内の予防的抗菌薬投与率

計算方法

分子 手術開始前1時間以内に予防的抗菌薬が投与開始された手術件数
分母 特定術式の手術件数(冠動脈バイパス手術、その他の心臓手術、股関節人工骨頭置換術、膝関節置換術、血管手術、大腸手術、子宮全摘除術)
除外 入院時年齢が18 歳未満の患者
在院日数が120 日以上の患者
帝王切開手術施行患者
臨床試験・治験を実施している患者
術前に感染が明記されている患者
全身/脊椎/硬膜外麻酔で行われた手術・手技が、主たる術式の前後3 日(主たる術式が冠動脈バイパス手術またはその他の心臓手術の場合は4 日)に行われた患者(日数計算は麻酔開始日/麻酔終了日を基点とする)
手術開始日時の24 時間前に抗菌薬を投与されている患者(大腸手術でフラジールおよびカナマイシンを投与されている場合は除外の必要なし)
外来手術施行患者

指標の説明・定義

手術後に、手術部位感染(Surgical Site Infection : SSI)が発生すると、入院期間が延長し、入院医療費が有意に増大します。SSI を予防する対策の一つとして、手術前後の抗菌薬投与があり、手術開始から終了後2~3 時間まで、血中および組織中の抗菌薬濃度を適切に保つことで、SSI を予防できる可能性が高くなります。このため手術執刀開始の1 時間以内に、適切な抗菌薬を静注することで、SSI を予防し、入院期間の延長や医療費の増大を抑えることができると考えられています。

指標の種類・値の解釈

プロセス
より高い値が望ましい

特定術式における術後24時間*以内の予防的抗菌薬投与停止率

計算方法

分子 術後24時間以内に予防的抗菌薬投与が停止された手術件数(冠動脈バイパス手術またはそのほかの心臓手術の場合48時間以内)
分母 特定術式の手術件数(冠動脈バイパス手術、その他の心臓手術、股関節人工骨頭置換術、膝関節置換術、血管手術、大腸手術、子宮全摘除術)
※2019年度より股関節人工骨頭置換術、膝関節置換術、血管手術は対象外へ指標変更。
除外 入院時年齢が18 歳未満の患者
在院日数が120 日以上の患者
帝王切開手術施行患者
臨床試験・治験を実施している患者
術前に感染が明記されている患者
全身/脊椎/硬膜外麻酔で行われた手術・手技が、主たる術式の前後3 日(主たる術式が冠動脈バイパス手術またはその他の心臓手術の場合は4 日)に行われた患者(日数計算は麻酔開始日/麻酔終了日を基点とする)
手術開始日時の24 時間前に抗菌薬を投与されている患者(大腸手術でフラジールおよびカナマイシンを投与されている場合は除外の必要なし)
外来手術施行患者

指標の説明・定義

手術後に、手術部位感染(Surgical Site Infection : SSI)が発生すると、入院期間が延長し、入院医療費が有意に増大します。SSI を予防する対策の一つとして、手術前後の抗菌薬投与があり、手術開始から終了後2~3 時間まで、血中および組織中の抗菌薬濃度を適切に保つことで、SSI を予防できる可能性が高くなります。このため手術執刀開始の1 時間以内に、適切な抗菌薬を静注することで、SSI を予防し、入院期間の延長や医療費の増大を抑えることができると考えられています。

指標の種類・値の解釈

プロセス
より高い値が望ましい