大動脈弁狭窄症の治療法「TAVI」
大動脈弁狭窄症と診断されたら
大動脈弁狭窄症の気になる症状
弁膜症になると、動悸や息切れ、胸の痛みなどの症状が出てきます。これらの症状はゆっくりと進行していくため、自身で以前より活動範囲を狭めてしまい症状に気がつかない場合があります。しかし無症状でも心臓には負担がかかっています。
重い症状には、めまいや失神などがありますが、最後まで症状が出ない場合もあるので、高齢者自身だけではなく家族など身近な人が気づいてあげることも大切です。
大動脈弁狭窄症の治療法「TAVI」
3つの治療法
カテーテルを使った治療法(TAVI=Transcatheter Aortic Valve Implantation)も選択肢の1つです。
大動脈弁狭窄症に対する治療法は症状の進行度合いによって変わってきます。
症状が軽い場合は、薬によって保存的治療が選択されますが、これは症状を和らげたり進行を抑制することを目的としており、狭窄した弁の根本的改善の治療というわけではありません。
よって、重症の狭窄に対する治療法は弁を取り換えることになります。
治療手順
カテーテルを使って心臓に新しい弁を留置する負担の少ない治療法です
経カテーテル生体弁
- 重症の大動脈弁狭窄症に対する治療法で、開胸することなく、また心臓も止めることなく、カテーテルを使って人工弁を患者さんの心臓に留置します。
- 低侵襲(治療のために患者さんの体を傷つける度合いが少ないこと)に加えて、人工心肺を使用しなくて済むことから、患者さんの体への負担が少なくて入院期間も短い※のが特徴です。
- TAVIは、高齢のために体力が低下し、またはその他の疾患などのリスクを持っているため、開胸手術を受けれない患者さんなど、手術が困難な患者さんが対象の治療法です。そのため治療に伴い、合併症が発生することもありますので、治療実績の判断には医師の診断が必要です。
※個々の患者さんの容態または施設によって異なります。
提供:エドワーズライフサイエンス(株)
「TAVI」の4つのアプローチ
4つの治療法比較
TAVI(経大腿アプローチ) | TAVI(経心尖アプローチ) | TAVI(経鎖骨下動脈アプローチ) | TAVI(経上行大動脈アプローチ) | |
---|---|---|---|---|
人工心肺 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 |
アプローチ経路 | 大腿動脈 | 心突部 | 左鎖骨下動脈 | 上行大動脈 |
侵襲度 | 低 | 中 | 低 | 中 |
平均治療時間 | 約1~2時間 | 約2時間 | 約1~2時間 | 約1~2時間 |
平均入院時間 | 約1週間 | 約1週間 | 約1週間 | 約1週間 |
TAVIのメリット
-
1
選択肢の拡大
ご高齢のため体力が低下している、もしくはその他の疾患などのリスクを持っているなど、開胸手術ができなかった患者さんにとって、
TAVIは治療の選択肢の1つです。 -
2
体への負担が少ない
開胸することなく、また心臓も止めることなく、カテーテルを使って人工弁を患者さんの心臓に留置しますので、
患者さんへの体の負担が少ないのが特徴です。 -
3
QOL(生活の質)が向上
手術時間と入院時間が短いため、患者さんの比較的早い社会復帰が期待できます。