患者さんのサポート体制
患者さんのサポート体制
ご病気によるお身体の苦痛、治療やご病気に対しての不安や悩み、さらには、治療費のこと、お仕事のことやご家庭のことなど、患者さん・ご家族は多岐にわたる不安や悩みを抱えていらっしゃると思います。
川崎幸病院では、入院中の患者さん・ご家族の不安や悩みに対してそれぞれの専門スタッフがお話を聞かせていただき、患者さん・ご家族と一緒に、最善の方法を見つけていきたいと考えています。
また、退院後の生活や介護についてのご相談や、緩和ケア病棟などへの転院の手続きの調整などにも対応いたします。
患者さん・ご家族のご希望を伺いながら、連携病院、地域のかかりつけ医の先生、訪問看護ステーション、介護事業所と情報共有・連携をしながら、退院に向けて支援をしています。
まずは、あなたとご家族の不安や悩みを遠慮せずにわたしたちにお伝えください。
あなたとご家族がお考えになっていらっしゃることを伺うことで、私たち医療スタッフはより良い解決方法を見つけやすくなります。
あなたとご家族の「声」が、最善の治療やケアにつながるのです。
患者さん・ご家族の不安 | 川崎幸病院のサポート体制 |
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退院に向けたサポート体制
入院治療が終わり、状態が安定しましたら医師の判断により退院となります。
退院後の生活や療養についても各専門スタッフがサポートを致します。
経過観察/通院治療
治療後5年間は再発や転移を防ぐためにも、経過観察をしていく必要があります。(乳がんについては10年間の経過観察)
また、病状によっては、抗がん剤の内服や点滴による抗がん剤投与を行うこともあります。
そのため、退院後も当院の関連施設もしくはかかりつけの病院に通院をしていただくこととなります。
通院先の病院とも充分に連携いたしますので、安心して通院治療を受けることができます。
診療記録手帳について
退院時には、診療記録手帳をお渡しします。この手帳には経過観察中の検査や診察の予定表やあなたのご病状の記載、 また、定期受診の記録を記載する手帳です。この手帳をご使用いただくことで、医師が患者さんのご病状を把握でき、 患者さんはどの医療機関を受診してもスムーズに診療を受けることができます。
在宅療養
退院後ご自宅で療養されるにあたり、訪問看護や介護サービスが必要な場合には、 関連施設や地域の訪問看護ステーション・介護サービス事業所と連携をとり、患者さんに必要な医療・介護サービスのご調整を致します。
緩和病棟などへのご転院
療養病院や緩和病棟へのご入院を希望される場合は、当院のスタッフが調整させていただきます。
退院後も緊急を要する場合には、すぐに川崎幸病院で必要な診療を行いますのでご連絡ください。
化学療法説明・相談外来
化学療法(抗がん剤治療)をはじめると言われたら
抗がん剤治療は髪の毛が抜けたり、吐き気や下痢などの副作用がつらいのではと誰もが不安に感じると思います。
抗がん剤治療を開始される患者さんの不安を少しでも和らげ、治療内容を充分にご理解いただき安心して治療に専念していただけるように、
治療開始前に専門スタッフによる事前面談(化学療法説明・相談外来)を行っています。
化学療法説明・相談外来、外来化学療法は第二川崎幸クリニックおよび川崎幸病院で行います。
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医師から説明
抗がん剤治療を開始するときには、まず担当医から治療内容について説明を致します。
・お薬の種類・効果・治療費について
・お薬の投与方法(飲み薬または点滴での投与)について -
化学療法説明・相談外来
担当医からの説明を受けられた後に、患者さん・ご家族と面談日程を調整し化学療法説明・相談外来を受けていただきます。
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化学療法開始
化学療法説明・相談外来の面談内容
面談時間:30分~1時間程度
患者さん・ご家族の不安な気持ちを、できる限り受け止めさせていただきたいと考えています。
お時間の許す限りじっくりとお話を聴かせていただきたいと思いますので、少しでも不安に感じることがあればぜひご相談ください。
面談内容:
がん化学療法看護認定看護師・薬剤師・社会福祉士が面談させていただきます。
薬剤師の面談内容 |
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社会福祉士の面談内容 |
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認定看護師の面談内容 |
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化学療法開始
- 治療開始当日は、抗がん剤投与前にもう一度投与スケジュールとお薬の副作用について説明させていただきます。
- 抗がん剤投与の翌日には、当院から患者さんにお電話をさせていただき、お身体の状態を確認するようにしています。
気になる症状がございましたらお伝えください。
治療中も気になる体調の変化があれば当院にご連絡ください
抗がん剤の副作用は早期に対処することが大切です。どんな些細な変化でも構いませんので、 気になることがあればすぐに当院にご連絡ください。患者さんの症状によっては、早期に専門スタッフによる適切な処置やケアができるように調整させていただきます。
医療相談
病気になると健康な時には思いもしなかった生活上の様々なことが心配になります。
患者支援センターでは、医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)が患者さん、ご家族のお話を伺い一緒に考え、問題を解決する支援をしています。
例えば、医療費の相談、社会保障制度や介護保険サービスについて、施設や療養病院・緩和ケア病棟について、がんと言われてこれからの治療費や仕事について相談したい、医師ともっと話したいけど言いにくいなど様々な相談に応じております。
治療と平行しながら、介護指導、介護体制を整える準備のお手伝い、かかりつけ医との連携、訪問看護、ケアマネジャー、地域包括支援センター、介護施設等と十分に情報交換をして患者様さん・ご家族を支える地域ネットワークの構築に勤めています。
患者支援センターは2階フロアにあります。ご相談はいつでも気軽にお声掛け下さい。
主な相談内容
経済的なご相談
- 医療費のお支払いや今後の生活費が心配
- 健康保険に入っていない
- 連絡できるご家族がいない
社会保障制度・福祉制度の利用の相談
- 疾病によって障害を抱えてしまった
- 心臓の手術・透析導入・ストマ増設
- 障害年金の申請/難病の申請
- 介護保険について知りたい
社会保障制度・福祉制度の利用の相談
- 退院に向けての相談
- 在宅での介護が心配
- 転院や施設入所を考えている
退院支援
患者さんが、住み慣れた場所で安心して療養できるように
退院後は自宅など住み慣れた場所ですごしたいと希望される患者さん・ご家族は多いと思います。
しかし、多くの患者さん・ご家族が退院後の生活について不安や心配ごとを抱えていらっしゃいます。
当院では、退院調整看護師と医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)が患者さん・ご家族の退院後の生活に対する不安や心配ごとを伺い、一緒に考え、問題が解決ができるように退院支援しています。
患者さん・ご家族の不安や要望
- 退院後の生活に向けて、何を準備したらいいかわからない。
- 退院後は自宅ですごしたいと考えているが、緊急時に家族だけで対応ができるのか不安も大きい。
- 訪問診療や訪問看護を受けたいがどうすればよいのか。
- 緩和ケア病棟への入院を希望しているが手続きがよくわからない。
- 介護保険施設への入所や介護サービスを利用したい。
退院後に医療的な処置や訪問診療・訪問看護が必要となる場合もございます。また、一人暮らし・高齢世帯などで介護サービスを受ける必要がある場合もあります。
入院、ご病気によって生活のスタイルが変わってしまったことへの不安や、さまざまな相談に応え、患者さんが住み慣れた場所で安心して療養できるように支援していきます。
- 退院後、医療的な処置が必要になった場合などには、地域の医療機関と連携・情報共有をし、往診を受けることができるように訪問診療・訪問歯科・訪問看護・訪問薬局などの調整をします。
- 介護が必要となった場合には、地域のケアマネジャーと連携・情報共有をし、訪問介護・訪通所介護などの必要な介護サービスを調整します。
- 緩和ケア病棟への入院や療養型病院への転院を希望される場合には、その調整をします。
- 特別養護老人ホーム・グループホームなどの介護施設への入所の調整をします。
- 医療費のお支払いや今後の生活費に不安をお持ちの場合は、社会保障制度・福祉制度の利用についての相談にもお応えします。
リハビリテーション
がんのリハビリテーションとは
「がんのリハビリテーション」とは、がんそのものによる障害やがん治療による後遺症を軽減し、日常生活動作の改善
を目的とするリハビリテーションです。がん医療ではこれまで、手術や抗がん剤、放射線といった治療に力点が置かれていましたが、
今、リハビリテーションを通して治療効果をより高め、早期の社会復帰をめざす取組みが行われております。
がんのリハビリテーションは、患者さんの回復力を高めたり、残っている能力を維持・向上させ、
今までと変わらない生活を取り戻すことを支援することによって、患者さんの生活の質を大切にしようとする
考え方に基づいて行われます。がんと診断されたときから、障害の予防や緩和、あるいは能力の回復や維持を目的に、あらゆる状況に応じてサポート致します。
リハビリテーションスタッフの役割
理学療法士(PT) | がんの発症や治療に伴い、生活に支障をきたしている患者さんに対して基本的動作能力(起き上がる、座る、立つ、歩くなど)の回復や維持および障害の悪化の予防を行います。 |
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作業療法士(OT) | 上肢機能訓練、「食事」「排泄」「更衣」などの応用的な動作訓練、仕事・学校生活などの社会的能力の訓練やリンパ浮腫への対応を行います。 |
言語聴覚士(ST) | 声がでない、発音ができない、言葉が出ない等のコミュニケーション能力に問題を抱えた患者さんや、食べ物をうまく飲み込むことが できない患者さんに対して、評価・訓練や様々なツールの紹介を行います。 |
病期別のがんのリハビリテーション
治療の時期に合わせてサポートします
予防的
がんと診断されてから早い時期(手術、抗がん剤治療、放射線治療の前、あるいは治療直後)から開始するリハビリテーションです。
この段階ではまだ機能障害は起こっておらず、その予防を目的とします。
例)手術前に行う全身運動、呼吸リハビリテーションなど
回復的
がんの治療後、機能障害、筋力・体力の低下、様々な後遺症に対して、残存する機能や能力の最大限の回復を図るリハビリテーションです。 例)筋力訓練、歩行訓練、上肢機能訓練、日常生活動作訓練、嚥下訓練、発声訓練など
維持的
がんの再発・転移、腫瘍の増大がみられるものの、まだ治療が行われ、がんと共存する時期のリハビリテーションです。 自助具の使用、動作のコツ等を指導し、機能障害が進行しつつある患者さんのセルフケア能力、運動能力の維持・改善を目指します。 関節の拘縮、筋力低下、褥瘡などの廃用症候群の予防も含まれます。 例)関節可動域訓練、筋力訓練、歩行訓練、日常生活動作訓練、介助方法指導、生活環境整備、嚥下訓練など
緩和的
終末期の患者さんに対して、患者さんの要望を尊重しながら、身体的、精神的、社会的にも生活の質を高く保てるように援助するリハビリテーションです。 例)リラクセーション、マッサージ、疼痛緩和、姿勢調節、呼吸リハビリテーション、精神的サポート、生活環境整備など
がんのリハビリテーションは、あらゆる時期に合わせてサポートいたします。
当院では主に、予防的・回復的リハビリテーションを行っておりますが、維持的・緩和的リハビリテーションにも対応いたします
治療の方法に合わせてサポートします
・手術
治療に伴う合併症、後遺症を予防し、スムーズな術後の回復を図ります。
・抗がん剤治療(化学療法)、放射線治療
治療中、治療後の体力低下の予防や、倦怠感などの副作用・合併症の軽減を図ります。
・緩和ケア
最後まで自分らしさを保つために、できる限り苦痛を取り除いていきます。
事例紹介 ※実際に当院で行われたがんのリハビリテーションです
予防的リハビリテーション |
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概要 | 30代 女性 乳がん |
症状 | 手術に伴うリンパ浮腫、肩関節の関節可動域制限 リハビリテーション:リンパマッサージ、関節可動域訓練、日常生活動作訓練、セルフケア指導 |
回復的リハビリテーション |
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概要 | 40代 男性 腎臓がん |
症状 | がんの転移に伴う両下肢の運動麻痺 リハビリテーション:関節可動域訓練、筋力維持・増強訓練、日常生活動作訓練、福祉用具調整、在宅環境調整、セルフケア指導、介助・介護指導 |
維持的リハビリテーション |
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概要 | 70代 女性 食道がん |
症状 | 抗がん剤治療・放射線治療に伴う倦怠感、筋力・体力低下、日常生活動作能力低下 リハビリテーション:関節可動域訓練、筋力維持・増強訓練、全身持久力訓練、歩行訓練、セルフケア指導、介助・介護指導 |
緩和的リハビリテーション |
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概要 | 80代 男性 膵臓がん |
症状 | がんの進行に伴う筋力・体力低下、呼吸困難、倦怠感、疼痛、うつ リハビリテーション:関節可動域訓練、筋力維持・増強訓練、呼吸リハビリテーション、歩行訓練、疼痛緩和(リラクセーション、マッサージ、姿勢調節)、 精神的サポート、グリーフケア(ご家族に対する精神的サポート) |
臨床心理士
臨床心理士とは、臨床心理学にもとづく知識や技術を用いて、悩みや不安など人間の心の問題にアプローチする専門スタッフです。
川崎幸病院では、必要に応じて、患者さん・ご家族の抱える不安や悩みなどを臨床心理士がお伺いし、精神面でのサポートをしています。
がんと診断されてショックを受けない方はいないでしょう。今後への不安、治療への不安、ご家族への想いなど常に不安や悩みを抱えていらっしゃることでしょう。
わたしたち臨床心理士は、患者さん・ご家族の不安な気持ちやお悩みを時間をかけてじっくりと伺い、想いを受け止め、患者さん・ご家族の理解者となるようにつとめることで、
不安を少しでも和らげ、ポジティブな気持ちで治療を受けられるようにサポートしていきたいと考えています。
心理相談(臨床心理士との面談)を希望する場合は
まず、病棟の看護師にお伝えください。
看護師から連絡を受け、私たち臨床心理士が患者さんのベッドサイドに伺います。
心理相談について
面談時間・面談回数について
1回の面談時間は最低でも30分は設けるようにしています。
患者さん・ご家族の抱えている不安や悩みを受け止め、想いを充分に伺うためには、最低でも30分は必要だと考えているからです。
もちろん、患者さんの体調や精神状態を見ながら、面談時間の調整はしておりますが、時間の許す限り、患者さん・ご家族のお話に傾聴するように心がけています。
また、1回の面談でお話を伺いつくすことはできません。患者さん・ご家族と調整しながら、面談の場を複数回設け、お話を充分に伺いたいと思います。
心理相談の目的
患者さん・ご家族の不安や悩みに対して明確な結論を出すことが心理相談の目的ではございません。
患者さんご家族が抱えている想いをすべてわたくしたちにお話していただくことが心理相談の大きな目的になります。
わたくしたちに話していただくことで、自分自身の想いや考えを整理することができ、焦りや後悔や怒りなどの感情が少しずつ落ち着き、“今の自分”を受け入れることができるようなったとおっしゃる患者さん・ご家族が多くいらっしゃいます。
わたくしたちの役割は、患者さん・ご家族の理解者として接し、想いを受け止め、ともに考えを整理していくことであると考えております。
退院後も継続して心理相談を行っています
退院後も必要に応じて、通院にて心理相談を行っています。
お気軽にご相談ください。
患者さん・ご家族のみなさまへ
誰にも想いを伝えることができずに一人で悩んでしまわれたり、また、誰かに想いを伝えても仕方がないとあきらめてしまう方が多いと思います。
一人で悩まれずに、わたくしたちにご相談ください。
抱えている想いをわたくしたちにお話いただき、ゆっくりと自分自身のことを振り返り、考えを整理することで、焦りや不安な気持ちが和らいでくることもあると思います。
どうぞわたくしたちに声を掛けていただき、お気軽に心理相談を利用ください。
薬剤師
お薬をしっかりと正しく使用していただけるようにサポートします
抗がん剤治療(化学療法)を開始される患者さんは副作用などに対して多くの不安を感じていらっしゃると思います。
薬剤師は患者さんの不安を少しでも軽減し安心して治療に専念していただけるように、抗がん剤治療開始前に、患者さんとご家族と面談し、お薬についての説明をさせていただいております。
患者さんにお薬をしっかりと正しく使用していただけるようにサポートいたします。
薬剤師の面談内容
①投与スケジュールについて
抗がん剤治療には、主に錠剤などお薬を飲んでいただく方法と、点滴や注射などで直接お薬を注入する方法があります。
薬剤師からは、お薬をいつ飲む(注入する)のか、どのくらいの量のお薬を飲む(注入する)のか、などお薬の投与スケジュールについてご説明させていただきます。
抗がん剤は、決められた量をスケジュール通りに投与することで、最大限の効果が期待できます。
患者さんご家族に投与スケジュールを正しくご理解いただけるように、薬剤師が充分に説明させていただきます。
説明時には、お薬ごとにわかりやすい説明パンフレットもお渡ししています。
②お薬の作用について
抗がん剤を投与することでどのような治療効果が期待できるかを説明させていただきます。
③予測される副作用について
抗がん剤治療を受ける上で、患者さん、ご家族がもっとも不安に感じていることの一つに副作用があります。
髪の毛が抜けたり吐き気や下痢などの副作用がつらいのではと不安に感じていらっしゃることと思います。抗がん剤を投与することでどのような副作用が予測されるか?また副作用に対してどのように対処していけば良いのかご説明いたします。
また、吐き気を抑えるお薬など副作用を予防するお薬やがんの痛みを緩和するためのお薬についてもご説明いたします。
※副作用を抑えるお薬の服用について
副作用を抑えるためのお薬は副作用を予防するためのお薬です。副作用の症状があらわれていない場合でも、決められた服用量をお飲みください。
④お薬の飲み合わせ
患者さんが現在服用されているお薬と抗がん剤の飲み合わせによって、現在服用されているお薬の効果が強くなったり弱くなったりすることがあります。
患者さんが使用されているお薬手帳を拝見し、どのようなお薬を服用されているかを把握した上で、お薬の飲み合わせについてご説明をさせていただきます。
⑤薬局のご案内
外来では飲み薬の抗がん剤や副作用を抑えるためのお薬は、ご近所の薬局で調剤していただくことができます。調剤薬局さんとも連携をとっています。
⑥その他お薬に関してのご相談
化学療法中のお薬に関してのご相談についても、医師・看護師と連携して対応させていただいております。
副作用の症状がつらい、お薬を飲み忘れてしまったなどご相談されたいことがございましたら、まずは担当の薬剤師・看護師にお伝えください。
薬剤師の役割
化学療法開始前、治療中の患者さん・ご家族のサポートをさせていただく他に、薬剤師は下記のような役割を担っています。
・レジメンの管理
抗がん剤治療の治療計画のことを「レジメン」といいます。お薬の種類ごとにこの「レジメン」が定められており、抗がん剤治療は、レジメンに沿って行われます。
薬剤師はこのレジメンの管理を担当し、副作用の強弱によっては、医師の指示のもと抗がん剤の投与量の調整などをしています。
薬剤師が科学的根拠に基づいてレジメンを管理することで、患者さんは安全な抗がん剤治療を受けることができます。
・抗がん剤の無菌調製
点滴で使用する抗がん剤は薬剤師が院内で調製をしています。抗がん剤の調製は無菌の状態で行います。
点滴の抗がん剤は患者さんのお身体に直接投与するお薬です。無菌の状況下でお薬を調製することで、感染のリスクを下げ、安全にお薬を投与することができます。
管理栄養士
抗がん剤治療中の食事のトラブルをサポートします
抗がん剤治療中は、お薬の種類によっては副作用として食欲不振・吐き気・口内炎・味覚異常・口の中の乾燥などが起こることが予測されます。このような症状が現れるとお食事をおいしく食べることができなくなってしまいます。
食事の摂取量の低下や摂取する食品が偏ると、必要な栄養素を取ることができず、結果として体力・免疫力の低下を引き起こすこともあります。
当院では、患者さんが必要な栄養素をしっかり摂れるように、また食事を少しでもおいしく召し上がっていただけるように、管理栄養士が食事のトラブルに対してサポートをしています。
管理栄養士が患者さんのベッドサイトに伺います
当院では、管理栄養士が入院中の患者さんのベッドサイドにお伺いし、お食事がしっかり摂れているか、お食事をおいしくいただけているかお話を聞かせていただいております。
お食事が摂れていなかったり、おいしくいただけていない場合は、患者さんにお話を伺い、まずおいしく食べられない原因を見つけていきます。
口内炎がひどくて食べづらいのか、吐き気が強くて食べられないのか、または味覚が変化してしまい食事がおいしく感じないのか、食べられない原因を見つけその原因に応じた対応をしていきます。
- 食事を充分に摂取できない
- 患者さんにお話を伺い、原因を見つけます
- ・精神的な動揺やストレスが原因なのか?
- ・抗がん剤治療の副作用が原因なのか?
(吐き気・口内炎・味覚異常・口の中の乾燥など) - 原因に応じ食事の工夫をしていきます
口内炎がひどい | 味付けが濃いもの(甘味・塩味・酸味・苦味)、冷たすぎる食品、熱い食事、 水気の少ない食事は口内が刺激され痛みが増しますので、刺激の少ない口あたり良くさっぱりとした食事を工夫します。 |
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食欲がない | 患者さんが食べたいと感じる食事を、少しずつ召し上がっていただくことが大切ですので、 食事の献立を選べるようにします。また少量しか召し上がれない場合には、ゼリー状の高カロリー食品や高カロリードリンクなどをご用意します。 |
味覚異常 | 味覚の変化には個人差があります。人間の味覚には甘味、酸味、塩味、苦味、 うま味の5つがありますが、どの味覚に異常があるかにより、味の感じ方が変わってきます。 患者さんにどのような味覚異常が現れているかを伺い、食事の味付けの調整をしていきます。 |
退院後の食生活のサポートをします
管理栄養士は退院後の食生活に対してのサポートも行っています。
吐き気が強いときにはどのような食事が良いのか?味覚に異常が現れたときはどのような味付けにすれば良いのか?など、患者さんの症状ごとに食べ方の工夫、味付けの工夫など食事についてのアドバイスをまとめたパンフレットをお渡しし、退院後の食生活のご相談にお応えしています。
また、退院後も当院に通院中の患者さん・ご家族からの食事に関するご相談をうけたまわっています。管理栄養士による栄養相談を希望される際には、お気軽に当院スタッフにお申し付けください。
摂食・嚥下障害認定看護師
患者さんのお口のトラブルに対応します
抗がん剤治療は、がん細胞を破壊するだけでなく、正常な細胞にもダメージを与えるため、さまざまな副作用が起こります。具体的には、口腔粘膜炎(口内炎)ができたり、唾液の量が減って口が乾燥したり、味覚が変化したりします。特に口腔粘膜炎の症状は、ひどくなると痛みによって食事がとれなくなったり、会話が難しくなったりして、治療だけでなく生活にも支障をきたすようになります。
当院では、これらのトラブルに対応できるように「口腔機能管理表」というチェック表を用いて、すべての患者さんの口の中の状態を確認しています。そして、必要に応じたケアを行い、患者さんの生活や治療を支えるサポートをしています。
症状が出たら看護師に相談を!
口腔粘膜炎の症状は、抗がん剤投与開始後7日目あたりから出始めます。そうすると口の粘膜が赤く腫れぼったくなり、一部の粘膜がはがれてしまうこともあります。程度によりますが、治るのに数週間かかることもあります。
早期対応できるように下記のような症状が出始めたら、担当の看護師にお申し付けください。
- 口の中に痛みがある
- 口の中がよく出血する
- 食べ物がしみる
- 口が乾燥する
- 口の中が赤く腫れている
- 口が動かしにくい
- ものが飲み込みにくい
- 味がかわった
お口のケアのポイントは、「清潔の保持」と「保湿」
口腔粘膜炎を完全に予防することは難しいですが、患者さんご自身の健康管理と口の状態に合わせた適切なケアによって重症化を防ぐことができます。
- 清潔の保持
口の中をよく観察し、歯みがきをして食べカスや歯垢をしっかりと取り除きましょう。口腔粘膜炎の症状が出始めると歯みがきが辛くなります。 しかし、歯みがきをしなくなるとさらに口腔環境が悪化し、細菌感染等により口腔粘膜炎が重症化しやすくなります。粘膜を傷つけないように 正しい歯磨きを続けることが大切です。そのために、歯みがきの方法を一緒に確認したり、口の状態に合わせて歯ブラシや歯磨き粉の選択の アドバイスをしたりするなどのサポートをさせていただきます。
- 保湿
抗がん剤治療を行うと、口が乾燥しやすくなります。乾燥していると、粘膜が傷つきやすくなり、 細菌も増殖しやすくなるため、口腔粘膜炎が重症化します。口腔乾燥を防ぐためには、 うがいをよくすることが大切です。また、保湿することで口の痛みを軽減することもできます。 2時間おきくらいの頻度が理想ですが、少なくとも1日3回以上は行いましょう。水道水がしみる場合には、 刺激が少ないうがい薬などの提案をさせていただきます。
口腔粘膜炎の痛みのコントロールもサポートします
口腔粘膜炎の痛みは、食事や会話を困難にするだけでなく、栄養状態の悪化や体力の低下を招き、治療の延期や中止の原因となる場合があります。
さらに精神的な苦痛も大きいため、患者さんの負担は相当なものです。
口腔粘膜炎の痛みに関しては、程度が軽ければうがいだけでも十分痛みを和らげることができます。それでも痛みのコントロールができない場合には、
うがいだけでなく、口腔内の保湿ジェルを使用したり、解熱鎮痛剤を使用したりして痛みを和らげることもできます。上手に口腔粘膜炎の
痛みをコントロールして気持ちよく治療を受けられるようなサポートもしています。
一緒に口の中を清潔に保ち、適切な治療を受けられるようにサポートさせていただけると幸いです。 また、退院後も当院に通院中の患者さんの口のトラブルに関するご相談を承っています。お気軽に担当の看護師にお申し付けください。
皮膚・排泄ケア認定看護師
ストーマと上手に生活できる様に継続してサポートします
ストーマ(人工肛門・人工膀胱)とは?
直腸がんで肛門に近いところにがんができた、肛門にがんができた、膀胱がんで膀胱と尿道の一部を手術で切除する必要があるなど、手術でがんを切除することで手術前のような通常の排泄が困難になる場合があります。
このような場合には、お腹に排泄物の出口をつくる必要があります。この排泄口をストーマ(人工肛門・人工膀胱)といいます。
ストーマは、腸や尿管をお腹の外に引き出してつくります。ストーマには神経がなく痛みを感じません。また括約筋という排泄を調節するための筋肉がないため、自分の意志で排泄をコントロールすることはできません。
そのため、ストーマを造設すると日常的にストーマのケアをしていく必要が生じます。
誰もがストーマをつくることに抵抗を感じます
「がんを治療するためにストーマをつくる必要がある」と医師から説明を受けても、誰もが容易には受け入れることはできないでしょう。排泄経路が変わり、自分で排泄の処理をしなければならないことへの不安、ストーマと付き合いながら日常生活を送ることへの心配や恐れ、将来に対しての不安など、ストーマをつくることに誰もが抵抗感を感じます。
わたしたちストーマケアチームは、ストーマをつくることに対しての不安や悩みに、患者さん・ご家族と一緒に向き合い、患者さん、ご家族がストーマをつくることを少しずつ受け入れることができるように、時間をかけながらお話し、サポートしていきたいと考えています。
また、わたしたちは、患者さん、ご家族が日常生活の中でストーマと上手に付き合っていけるようになるためには、かなりの年月が必要だと考えています。そのためには、退院後の継続的なサポートがなによりも大切だと考えています。日常生活の中で、ストーマと上手に付き合っていけるように継続してサポートします。
患者さん、ご家族へのサポート体制
- 外来にて医師・看護師から説明
- 治療のためにストーマ造設が必要と診断した場合、まず外来にて医師、看護師から治療内容とストーマ造設の説明をさせていただきます。
- 川崎幸病院に入院
- ストーマケアチームによる面談
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入院後、ストーマケアチームが、患者さん、ご家族と面談いたします。
面談内容
・オリエンテーション
患者さん、ご家族がストーマと付き合いながら日常生活を送ることへのイメージを持っていただくために、まずストーマとはどういったものなのかを説明いたします。・ストーマケアについて
退院後の日常生活の中での排泄の処理やストーマのケアの方法や流れについて、ストーマの装具やストーマケアに使用する物品など実物を手に取っていただきながら説明いたします。・ストーマの位置決め(マーキング)
ストーマをつくる場所を決めることをマーキングといいます。できる限り日常生活に支障がでないように、患者さんの日常の生活パターンや、日頃よく着用する衣類や服装などについてしっかりとお話を聞かせていただきながら、患者さんと一緒にストーマの位置を決めていきます。・金銭面でのご相談
ストーマの装具やストーマケアに必要な物品を購入するためにお金がかかりますが、身体障害者手帳を申請することで、自治体からストーマ装具等の購入費の給付をはじめ、さまざまな支援を受けることができます。ストーマをお持ちの方が受けることができる社会的サービス、福祉サービスについて社会福祉士が説明いたします。ストーマをつくることには誰もが抵抗を感じますし、なかなか受け入れることは難しいと思います。
そのため1回の面談ですべてを説明するのではなく、患者さんとご家族の精神状態を見ながら、時には時間をおいて、患者さん、ご家族ともに落ち着いた状態でわたしたちとお話しができるように、複数回にわけて面談させていただくこともございます。
入院から手術までの限られた時間ではございますが、可能な限り、患者さんご家族との対話の時間を設けるように心がけています。 - 手術・ストーマ造設
- 手術後
- 日常生活にできるかぎり支障がなく、ストーマと負担なく上手に付き合っていけるように、排泄の処理の流れやストーマの取り扱い方、 ストーマのケアの方法をストーマケアチームが患者さん・ご家族のお話を伺いながら、ベストな方法を一緒に考えていきます。
- 退院
- ストーマ外来を定期受診
- 日常生活にできるかぎり支障がなく、ストーマと負担なく上手に付き合っていけるように、排泄の処理の流れやストーマの取り扱い方、 ストーマのケアの方法をストーマケアチームが患者さん・ご家族のお話を伺いながら、ベストな方法を一緒に考えていきます。
日常生活の中でストーマと上手に付き合っていけるようになるためにはかなりの年月が必要です。
そのためには、退院後の継続的なサポートが一番大切なことだと考えています。
退院後も充分なサポートができるように、川崎幸病院と第二川崎幸クリニックのスタッフ間ではしっかりと情報共有をし、チームで患者さんとご家族を支援していきたいと思います。
緩和ケア認定看護師
緩和ケアはがんと診断されたときから・・
緩和ケアとは重い病を抱える患者やその家族一人、一人の身体や心などの様々なつらさを和らげ、より豊かな人生を送ることができるように支えていくケアのことです。
がん治療の様々な過程で起こる身体のつらさ(痛み、息苦しさ、だるさなど)や心のつらさ(不安や不眠など)を和らげ安心して治療を受けられるように支援しています。また治療後に至っても苦痛となる症状の緩和と日常生活への支障を最小限に、患者様やご家族の望まれる療養環境を共に考え切れ目のない緩和ケアの提供に努めています。
緩和ケアチームでは外科医師を中心に麻酔科医、看護師、栄養管理士、臨床心理士、医療ソーシャルワーカー、薬剤師、リハビリテーション科などの種々の職種がチームとなって支援しています。
主な支援内容
① がんによる痛みに対しては、痛みについての理解や自己管理に向けた支援を行っています。適切な医療用麻薬の使用方法や副作用の対処の仕方、また薬剤以外での痛みのやわらげ方や日常生活の工夫などを共に考えていきます。
② がん診断時からの不安や気持ちの落ち込みなど、お話を聴きながら気持ちの整理や気分転換、リラックスの方法などを支援しています。
③ ご家族については不安や悲しみ、患者さんへどのように対処をしたら良いのかなどを支援しています。
④ 治療や療養先の相談については、病状や治療についての理解を助けながら、患者様やご家族が治療や療養先について考え、決められるように支援しています。