薬剤部

基本方針

患者さん中心の温かい医療提供と、チーム医療での薬剤師職能の発揮を目指します

① 医療安全の推進
② 質の高い薬剤師の育成
③ 病院経営への貢献
④ 地域医療への貢献

業務内容

薬剤部は、調剤室における調剤や疑義照会、がん化学療法レジメン管理や鑑査、抗がん剤・TPNのミキシング、医薬品情報の管理や周術期・手術室業務など、医薬品の適正使用と安全管理に貢献しています。 また、病棟においては患者さんやご家族への服薬指導、医師・看護師への医薬品情報提供、薬物血中濃度解析などの多岐にわたる業務を担っています。そしてICTやNSTなどの医療チームの一員としても幅広く活動を行っています。

《病棟業務部門》

一般病棟

患者さんへの適切で安全な医療の提供には、薬剤師が早期に介入し薬物治療の妥当性を評価することが必要と考えています。
私たちは、病棟薬剤師チームの環境を整えることで、ここ数年で服薬指導件数を約3倍に伸ばしてきました。当院はアクティビティが高い急性期病院であるにも関わらず、薬剤師も全患者へ介入しており、常に専門性を最大限に発揮するよう努めています。さらには、カンファレンス参加や積極的なプレアボイド報告を行うなど、チーム医療への貢献・薬学的管理の質の向上にも力を入れています。

ケアユニット

当薬剤部では、2021年7月にACU、CCU、SCU、HCUに担当薬剤師を配置し、病棟薬剤業務実施加算2の算定を開始しました。2022年7月からはICUにも薬剤師配置をしており、全患者への服薬指導介入を目指しています

当院は大動脈、心臓病、脳血管と消化器病の領域でセンター化し、それぞれに集中治療室を有しています。薬剤部では、全ての集中治療室に薬剤師が常駐できるよう体制づくりを進めています。
重症患者が入室する集中治療室では多職種の連携が特に重要で、薬剤師は患者の全身状態をアセスメントした上で薬学的に評価し、カンファレンスや薬物治療に参画することでチーム医療に貢献しています。患者介入した内容や取り組みについては、今後論文等にまとめて発信していきたいと考えています。

《チーム医療部門》

がん化学療法部門

抗がん剤の調製及びレジメン管理を通して、安全な抗がん剤治療の提供に貢献しています。副作用発現時の早期介入など患者さんが安心して治療継続できるよう、病棟薬剤師と情報共有を行います。また、第二川崎幸クリニックの化学療法室薬剤師とも人事交流含め連携を取っており、入院~外来まで患者さんをフォローできる体制を整えていることは当院独自の取り組みだと思います。
日々進歩する抗がん剤治療に対応するため、院外の勉強会へ積極的に参加したり、チームで知識の共有をしたりと自己研鑽にも励んでいます。今後は、がんに関連する資格取得者の増員も目標です。

感染制御部門

近年では薬剤師が感染制御チーム(ICT)や抗菌薬適正使用支援チーム(AST)の活動に参加する施設も増加しており、当院でも薬剤師が抗菌薬治療に重要な役割を担っています。
感染担当の薬剤師の主な業務は以下の内容になります。

・院内での抗菌薬の使用状況の確認
・薬物利用モニタリング(TDM)の支援
・培養結果、検査結果に基づく処方提案
・感染ラウンド/カンファレンス、感染対策委員会への参加

私たち薬剤師は薬の専門家として、最新のガイドラインや新規抗菌薬についてなど、常に知識をアップデートしていく必要があります。薬剤部全体が抗菌薬治療についての知識を深められるよう、勉強会を開催するなど感染制御部門として積極的に働きかけています。

NST(栄養サポートチーム)

当院では診療科ごとにNSTを結成しており、患者さんにきめ細やかなオーダーメイドの栄養療法を提供できるよう急性期から継続的に介入しています。当院NSTでは、各科の医師・看護師・管理栄養士・理学療法士・嚥下サポートチーム等が協働して週1回のカンファレンスを行っています。
薬剤師は薬学の知識に基づき、患者さんの病態や栄養状態に合わせた問題点の抽出、栄養療法の提案、栄養薬剤の選択・適正使用法の指導、患者さん・家族の方への栄養剤の説明・服薬指導、薬剤と栄養剤(食品を含む)との相互作用の確認などを担っています。

周術期・手術室部門

当院は300床規模ながら大動脈外科、心臓外科をはじめとした様々な診療科で年間5,000件以上の手術を実施しています。薬剤師は、麻薬等の適切な管理や術中使用薬剤のコスト管理などの医薬品管理の責務を担い、安全な手術室運営に貢献しています。
当薬剤部では、2022年度からは周術期患者管理にもより踏み込み、術前に、アレルギー・副作用や術前休止薬等の薬剤に関する患者情報を収集し、麻酔科医・手術室看護師へ情報提供を行っています。また術後には、術中使用薬などの患者情報を病棟薬剤師に提供する橋渡し役を担っています。
「周術期患者管理」と「医薬品管理」の二本柱で、業務のシステム化を図りながら、周術期における薬剤師職能を発揮していきたいと考えています。

《調剤業務部門》

調剤部門では入院患者さんに投与される内服・外用・注射薬について処方内容の確認や薬の調剤・鑑査を行っています。また、高カロリー輸液の調製や薬剤全般の在庫管理などを担っています。
私たちは、病棟担当薬剤師や他部門の薬剤師とも連携しながら、安全で正しい薬剤が速やかに患者さんの元に届くように日々業務に取り組んでいます。
現在、調剤室内の大型機器(錠剤分包機やアンプルピッカーなど)を最新機器へ更新するため、導入準備を進めています。

DI部門

●医薬品情報
医療スタッフからの質問に対し、医薬品情報を収集・評価・提供し、それらを管理しています。また、病院内への医療事故防止の注意喚起や最新の医薬品情報の提供を目的として、月1回「DIニュース」を発行し、その他にも、医薬品の適正使用・管理を行うための通知を随時行っています。
薬事委員会では事務局として資料作成などを担っており、有効性・安全性・経済面を総合して討議し、医薬品の採用・削除の評価に携わっています。

●医薬品管理
医薬品の使用状況と流通状況を把握し、診療に影響のないよう在庫の適正管理に努めています。

学術活動、認定・専門薬剤師

薬剤師は薬の専門家として知識のアップデートや継続した自己研鑽が求められます。また、薬剤師の認定・専門資格の取得や資格更新には学会への参加や発表が必要となることが少なくありません。当薬剤部では、学会参加費用の一部を補助することで学会への参加や発表を行える体制づくりに努めています。
当薬剤部からの学会報告はまだ限られたものですが、今後その数を増やせるよう刺激し合える環境づくりに取り組んでいます。

実績

2022年度実績

内服・外用剤調剤業務

外来処方箋枚数:3,714枚
入院処方箋枚数:98,654枚

注射剤調剤業務

入院注射処方箋枚数:104,137枚

持参薬

鑑別件数:7,256件

薬剤管理指導業務

薬剤管理指導料1:8,718件
薬剤管理指導料2:7,304件
退院時薬剤情報管理指導料:4,610件
麻薬指導加算:68件

無菌製剤業務

高カロリー輸液調剤:3,091件
抗悪性腫瘍剤調剤(閉鎖式):285件

その他

初期投与設計・TDM解析件数:953件

学会発表

2019年

2019.5.11~5.12 第3回日本老年薬学会学術大会
「服薬困難患者において、調剤方法が錠剤調剤から粉砕調剤へ移行した症例」
昆 真生

2020年

2020.10.24~11.1 日本医療薬学会年会
「変形性膝関節症術後の鎮痛薬の副作用モニタリングと制吐剤の継続について 」
谷前 朝海

2020.10.31~11.8 第50回日本病院薬剤師会 関東ブロック大会
「グリコペプチド系抗菌薬全使用症例に対する薬剤師介入とその成果について」
原田 恒介

2020.10.31~11.8 第50回日本病院薬剤師会関東ブロック大会
「感染性心内膜炎患者へのゲンタマイシン全使用症例に対する薬剤師介入とその成果について」
成木 展

2021年

2021.8.28~9.5 日本病院薬剤師会関東ブロック第51回学術大会
「当院におけるサクビトリルバルサルタン使用実態調査」
米内 洸

2021.8.28~9.5 日本病院薬剤師会関東ブロック第51回学術大会
「セフェピム投与による抗菌薬関連脳症が疑われた患者に対して薬剤師が介入した1例」
磯部 賢樹

論文・執筆等

2021.9.10 「救急・ICU重要薬クイックノート」 (照林社)
執筆・協力 大森俊和

スタッフ紹介

構成人数

  • 科長1名、主任4名、副主任5名を含む薬剤師37名
    (うち育休3名/非常勤2名/入院支援センターへ1名/第二川崎幸クリニックへ派遣1名含む)
  • 薬剤助手12名(非常勤)

部署構成

  • 調剤室部門/医薬品情報管理部門/病棟部門/チーム医療部門/手術室部門/
    入院支援外来部門
  • 夜勤業務薬剤師1名交代制にて実施

資格取得者

  • 日本病院薬剤師会生涯研修履修認定薬剤師:2名
  • 日本病院薬剤師会病院薬学認定薬剤師:5名
  • 日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師:3名
  • 日本薬剤師研修センター認定実務実習指導薬剤師:3名
  • 日本栄養代謝学会栄養サポートチーム専門療法士:2名
  • 日本臨床救急医学会救急認定薬剤師:1名
  • 日本臨床腫瘍薬学会外来がん治療認定薬剤師:1名
  • 日本循環器学会心不全療養士:4名
  • 日本糖尿病療養指導士:1名
  • 日本医療情報学会医療情報技師:1名
  • 日本服薬支援研究会簡易懸濁法認定薬剤師:1名
  • 日本アンチ・ドーピング機構公認スポーツファーマシスト:7名
  • ICLSプロバイダー:2名
  • FCCSプロバイダー:1名

科長紹介

樋口 愛子

薬剤部 科長

当院ではスキルアップのための学会発表、専門資格取得を奨励しています。
薬剤部員が一丸となり、より一層努力していきたいと考えています。

教育について

教育について

早期から急性期医療で活躍

当院ではケアユニットも含め各病棟に薬剤師を配置し、すべての入院患者さんに対して薬学的介入を行っています。
新人は1年目の冬から病棟研修を行い、2年目以降に病棟配属となります。早期に臨床現場を経験することで、患者さんの利益のために自ら考え行動できる薬剤師を目指します。
また、当院は急性期病院であり、救急領域・周術期・集中治療のスペシャリスト育成にも力を入れております。急性期から薬物治療を提案し、チーム医療に貢献できることが当院病棟薬剤師の醍醐味です。

プリセプターシップによる手厚い教育

当院では、新人薬剤師にプリセプターをマンツーマンで、業務習得の進捗確認や精神面のサポートを行っています。また、定期的に勉強会を実施し、不安なく業務を習得できるようにフォローしています。1年目は調剤業務の習得を中心に、無菌調製・化学療法ミキシング・手術室・TDMなどの特殊業務や病棟業務にも携わり、早期からチーム医療への参加や患者さんへの服薬指導を経験します。1年目から幅広い業務に関わることで視野を広げ、自分の薬剤師像について考える力を養っていくことができます。また、2年目薬剤師がプリセプターを務める屋根瓦式教育をとることで、2年目以降も「教え」「教えられる」ことを通して互いに成長していくことができます。

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新人教育チーム
プリセプターシップ
プリセプターシップ
左:プリセプター 右:新人
新人のことば

私の自慢のプリセプター

とにかく優しいです。いつも気にかけてくれ、どんな相談にも乗ってもらえる自慢のプリセプターです。毎日助けてもらっていますが、効率よく業務を進めるための工夫や考え方についてもアドバイスをくれるので、いつも参考にさせていただいています。

当院のプリセプターシップの良い点

少しでも気になることがあれば、すぐに相談できる先輩がいるのはとても心強く安心できます。おかげで就職してから悩んだことはありませんね。当院のプリセプターは1つ上の先輩が担当してくださるので、気軽に話し掛けることもでき、とても良い制度だと思います。

プリセプターのことば

プリセプターとして関わる時に、意識していること

まずは、わからないことがあった時にいつでも声を掛けてもらえるように、話しかけやすい雰囲気づくりを心がけています。自分自身もまだ2年目なので、新しい業務で手一杯になることもありますが、新人と関われる時間を少しでもつくれるようにしたいと思っています。

プリセプターを担当することで、成長できたこと

新人から質問を受けることで、自分自身も理解が足りていない点や自分の弱点に気づくことができ、それが自分の成長に繋がっていることが実感できています。

私の自慢の後輩

忙しい時でも変わらずに丁寧な対応ができるので、他部署と関わる業務も安心して任せることできます。自慢の後輩ですね。一緒に成長していける仲間が増えたと感じています。

スタッフインタビュー