腎臓内科

主な対象疾患

  • 慢性腎臓病(CKD)[透析期も含む](腎機能の低下もしくは尿たんぱく陽性)
  • 急性腎障害(急激に腎機能が悪化する病態)
  • 慢性腎炎およびネフローゼ症候群(検尿異常、腎機能低下やむくみ)
  • 膠原病および類縁疾患(全身性エリトマトーデス、関節リウマチ、血管炎など)
  • 電解質異常(腎機能低下、内分泌疾患、尿細管障害によるものなど)

腎臓内科の特色

  • 腎臓内科では「尿たんぱくなどの検尿異常」から、国民病ともいえる「慢性腎臓病」まで広い範囲にわたる内科診療を日々行っています。腎臓内科外来は川崎幸クリニック川崎クリニックさいわい鹿島田クリニックで行っており、適宜当院に入院いただき精密検査や治療を行います。
  • 腎臓病をきたす疾患は慢性腎炎、高血圧、糖尿病や膠原病など多岐にわたりますが、私たちはそれぞれの疾患を正確に診断し、より適切な治療が行えるよう心がけています。
  • 残念ながら腎機能が低下し透析療法が必要になった場合は「血液透析」のみならず、「腹膜透析」の選択も可能です。両治療ともに退院後は川崎クリニックさいわい鹿島田クリニックに外来通院可能です。それ以外の腎不全治療法として「腎移植」が挙げられますが、適宜腎移植可能な専門病院に紹介させていただいています。
  • また当法人の特色として看護師による「療法選択外来」も積極的に行なっています.この外来は透析療法に至る事前の時期に、上に示した3種類の治療法それぞれの長所、短所に関し時間をかけて説明させていただくもので各患者さんの希望、病気や家庭の背景までを考慮しつつ、個々の特性に応じた最も適切と思われる治療法をお勧めしています。
  • 当法人では神奈川県内でも有数の血液透析および腹膜透析患者さんを診療していることから、このような患者さんの合併症治療も当院で行っています。中でもシャントや人工血管などのアクセストラブルにも他の透析施設に通院中の患者さんも含めて、随時対応しています。
  • 必要に応じ常染色体優性多発性嚢胞腎に対するトルバプタン投与や、頻回再発型もしくはステロイド依存性ネフローゼ症候群に対しリツキシマブ投与なども行います。
  • 健康診断で「eGFRが60(mL/min/1.73m2)未満」であったため受診される患者さんも近頃は多くいらっしゃいます。採血で「クレアチニン」を測定するのみならずもう一つの腎機能の目印である「シスタチンC」を測定することによりさらに精度の高い「本当の腎機能:GFR」を推定することが可能になります。

1. 初期の慢性腎臓病について

  • 近頃「慢性腎臓病(CKD)」という病名が一般に知られるようになってきました。
  • 腎臓は「沈黙の臓器」といわれる臓器の一つであり、腎機能がかなり悪くならないと自覚症状は出てきません。ですから自覚症状がなくても気がついたら腎機能がかなり落ちていた、ということも十分起こり得るのです。健康診断で、尿にタンパクを認めていたり、eGFR(推算GFR:GFRは「糸球体ろ過量(値)」を指し、「本当の腎機能」を表します)が60(mL/min/1.73m2)未満の状況が3か月以上続いている場合を「慢性腎臓病(CKD)」と呼びますが、そのような方は腎臓内科専門医の診療が必要です。腎機能の低下もこの程度の時点であれば、適切な診断と治療がなされるかぎりその後の腎臓機能の低下を最小限にすることができます。
  • 患者さんによっては5日間入院していただき腎生検という精密検査を行う場合があります。腎生検により正確な診断名をつけることによって、最も有効な治療を受けることが可能になります。
  • また慢性腎臓病に対する「教育入院」をしていただき、慢性腎臓病に関し時間をかけて指導させていただくこともあります。
  • 慢性腎臓病の初期の段階から心臓、脳血管、足の血管などに問題(心血管病)が生じている場合が比較的多いことが最近知られるようになりました。心血管病は命に直接かかわる病気であるため、心血管病があるかどうか、に関しても私たちは積極的に検査を行い、必要に応じ専門医(循環器内科、脳神経外科など)にも診療を依頼します。

2. 腎機能障害がある程度進行した慢性腎臓病について

  • 腎機能が低下していてもある時期までは、適切な降圧療法や食事療法で進行を抑制することが可能です。先に述べました心血管病をさらにきたしやすくなるためこちらにもさらなる注意が必要です。
  • さらに腎機能が低下しeGFRが30(mL/min/1.73m2)近くになると腎性貧血が認められことも多く、坂道や階段を上る際に息切れ症状が出るようになります。
  • さらに腎機能低下が進み、eGFRが5~10(mL/min/1.73m2)前後になると尿毒症症状(倦怠感や食欲不振など)が出てくるようになります。このような症状があれば、尿では出し切れなくなった老廃物を血液から取り除く治療法(腎代替療法:血液透析、腹膜透析)が必要になります。できればこのような症状の出る少し前の時点に「療法選択外来」を受診いただけると良いと思います。腎移植を含めた腎代替療法に関する説明をあらかじめ聞くことによりスムーズにこれらの治療法に進むことができるからです。
  • 血液透析を始めるには血管の手術、腹膜透析を始めるにはカテーテルといわれる管をおなかの中に入れる手術が必要になります。尿毒症の症状が出る前にあらかじめこれらの手術を受けておくと、いざ症状が出た時にすぐに血液透析や腹膜透析を始めることができるため入院期間を短くすることができます。

3. 透析療法について

  • 透析療法は大きく2種類に分けられます。血管を2か所点滴のように穿刺して機械(透析器)を用いて血液を直接きれいにする「血液透析」と、お腹の中に液を入れてそれを1日に数回交換することで血液を間接的にきれいにする「腹膜透析」です。
  • 血液透析は一般的に週3回透析施設に通い、1回あたり4時間前後の治療が必要です。
  • また腹膜透析は患者さん自らが毎日行う必要がありますが、外来通院は月に1~2回で透析前の外来通院の頻度とあまりかわりがありません。
  • 当院は神奈川県内でも有数の透析導入施設となっており、血液透析は当法人内の透析施設、もしくは患者さんにとりより通院がしやすい施設で治療が行われます。一方、腹膜透析は原則当法人内の外来に通院いただいています。
透析療法

■原疾患

導入患者 原疾患 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
腎硬化症 10 16 4 16 19
糖尿病性腎症 26 16 19 36 34
慢性糸球体腎炎 5 3 4 3 4
ANCA関連腎炎 1 0 0 1 0
IgA腎症 2 3 1 4 0
膜性腎症 1 2 0 1 1
膜性増殖性糸球体腎炎 0 0 0 1 0
巣状糸球体硬化症 0 1 1 2 0
急速進行性糸球体腎炎 0 0 0 1 0
慢性腎盂腎炎 0 0 0 0 0
多発性嚢胞腎 2 0 3 4 3
SLE腎炎 0 0 0 1 0
不詳 7 11 7 1 7
その他 8 8 19 5 5
合計 62 60 58 76 73

4. その他の血液浄化療法ついて

通常の血液浄化療法以外にも多くの血液浄化療法があり、それらにも私たちは密接にかかわっています。

  • ショック、術後の急性腎障害や多臓器不全の際に行う「持続的血液浄化療法」
  • 細菌感染にともなう敗血症では細菌に由来する毒素を吸着する「エンドトキシン吸着療法」
  • 自己免疫疾患に対する「血漿交換」や「免疫吸着療法」
  • 炎症性腸疾患に対する「顆粒球除去療法」

などがあります。当院では心臓や大動脈に関する手術が多いため、特に①はほぼ毎日複数の患者さんに対し行われています。

治療実績

■腎生検 施行数と病理診断名

腎生検 施行数と病理診断名 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
IgA腎症 15 12 11 5 6
半月体型生成腎炎 1 2 2 2 0
糖尿病性腎症 0 2 0 1 0
良性腎硬化症 1 0 1 1 1
膜性腎症 3 0 2 5 1
Minor glomerular abnormality 0 6 0 2 1
微小変化型 1 0 2 0 0
ループス腎炎 0 0 0 1 1
紫斑病性腎炎 2 0 0 0 0
肥満腎症 0 0 2 1 0
間質性腎炎 1 0 1 0 0
肉芽種性間質性腎炎   0 0 0 0
菲薄基底膜病 2 0 0 1 0
巣状糸球体糸球体硬化症 0 4 1 0 4
その他 3 3 2 1 1
合計 29 29 24 20 15

■手術・VAIVT実績

手術・VAIVT実績 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
バスキュラーアクセス造設術 58 64 63 81 62
経皮的シャント拡張術(VAIVT) 63 88 98 109 110
腹膜透析カテーテル挿入術 20 19 15 16 15
血液透析長期留置カテーテル留置術 11 16 14 12 26
合計 152 187 190 218 213

医師プロフィール

小向 大輔

小向 大輔

腎臓内科科長/腎臓内科部長

専門分野・得意とする手技

  • 腎臓内科一般
  • ネフローゼ症候群
  • 腹膜透析を含む維持透析管理
  • 膠原病内科一般

略歴

  • 1998年 昭和大学医学部卒
  • 1998年 昭和大学藤が丘病院 初期臨床研修医
  • 2002年 東芝林間病院 腎臓内科
  • 2006年 富士吉田市立病院 内科
  • 2006年 昭和大学藤が丘病院 内科腎臓
  • 2016年 川崎幸病院 腎臓内科

認定資格等

  • 日本内科学会認定医・総合内科専門医
  • 日本腎臓学会腎臓専門医
  • 日本透析医学会透析専門医
  • 厚生労働省認定臨床研修指導医
  • 日本医師会認定産業医

山崎 あい

腎臓内科医長

専門分野・得意とする手技

  • 透析療法

認定資格等

  • 日本内科学会認定医・総合内科専門医
  • 日本腎臓学会腎臓専門医
  • 日本透析医学会透析専門医
  • 日本アフェレシス学会認定血漿交換療法専門医

柏葉 裕

腎臓内科医長

略歴

  • 2015年 東北大学医学部卒
  • 2015年 川崎幸病院 初期臨床研修医
  • 2017年 川崎幸病院 腎臓内科

認定資格等

  • 日本内科学会内科専門医
  • 日本腎臓学会腎臓専門医

大城 賢太郎

腎臓内科医師

略歴

  • 2024年 川崎幸病院 腎臓内科

認定資格等

  • 日本内科学会内科専門医
  • 日本腎臓学会腎臓専門医
  • 日本透析医学会透析専門医

福﨑 由莉

腎臓内科医師

山口 哲朗

腎臓内科医師

略歴

  • 2022年 岩手医科大学医学部卒
  • 2022年 順天堂大学附属医学部静岡病院
  • 2024年 川崎幸病院 腎臓内科

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