診察をご希望の方へ

診療の流れ

まずは、お電話で川崎大動脈センターコーディネーターまでご連絡下さい(初めて受診される場合は、事前にご予約が必要です)

お電話による予約
初診外来のご案内、ご予約をいたします。
初診外来は毎週土曜のみ、第二川崎幸クリニックにて行っています。
約1週間
初診外来(1日)
画像診断・血液検査・呼吸機能検査等を行い、どのような治療が適切なのかを検討します。
担当医による面談では、治療方針等を説明します。
約1~2週間
検査入院(2泊3日)
初診外来で行わなかった検査等を行います。
手術内容やリスクを詳しく説明します。
約2~3週間
入院・手術 / リハビリテーション / 退院
約2~3週間
入院の翌日あるいは翌々日に手術となります。
手術後は当センター集中治療室(ACU)で集中治療を行い、その後は社会復帰に向けたリハビリテーションを行います。
退院後の定期検診
退院後の定期検診は、3か月後、(必要があれば6か月後、)1年後、その後毎年行います。

川崎大動脈センター外来を受診下さい

受診の注意点は下記の通りです。

  1. 外来は完全予約制です。コーディネーターまで御連絡下さい。コーディネーターが予約調整をおこないます。
  2. 外来では診断に必要な検査をおこない、その後担当医の診察・診断・治療説明をします。したがって、過去の資料を持参されなくても診察は可能です。
  3. 患者さん本人が受診できない場合は、ご家族によりCT等の画像(CD-ROM等)をお持ちいただければ、治療方針を検討いたします。

紹介状は?

紹介状は不要です。ただし、現在通院中の病院の資料をお持ちの方はご持参ください。

セカンドオピニオンは?

当センターでは、セカンドオピニオン外来を併設しています。セカンドオピニオン外来をご希望のかたも、コーディネーターにご連絡下さい。

外 来

外来では、検査や画像にもとづいた正確な動脈瘤の診断をおこないます。まず、初診時に血液検査、呼吸機能検査、CT検査(すでに他の医療機関でCTを撮影された方はおこなわない場合があります。)等の検査をおこないます。
その後、担当医による診察があります。全てのデータをもとに、大動脈瘤の有無、程度、治療方針などをお話します。手術が必要と診断された方は、ご家族・ご本人と相談のうえ、ご希望の入院日・手術日を決定します。また、担当医より手術方法や手術の危険性について説明をさせていただき、これについての質問にお答えします。
このすべてのプロセスを外来日一日でおこないます。外来に要する時間は、すべての検査が、およそ2時間、治療方針の説明(担当医との面談)が、一人あたりおよそ1時間です。

入 院

入院は原則として手術の2~3日前にしていただきます。手術に必要な検査はすべて外来時におこなっています。

手 術

手術当日は朝9時より手術がはじまります(一部の手術は午後から始まることがあります)。手術時間は目安として、腹部大動脈瘤が約1-2時間、上行・弓部大動脈瘤が約5~7時間、遠位弓部・下行大動脈瘤が約3~5時間、胸腹部大動脈瘤が約6~8時間です。 手術室では麻酔や準備の時間もありますので、手術が終了して患者さんが実際に手術室から戻る時刻は、腹部大動脈瘤が午前12時ころ、上行・弓部大動脈瘤が午後4~6時ころ、遠位弓部・下行大動脈瘤が午後2-4時ころ、胸腹部大動脈瘤が午後5~7時ころとなります。
手術が終了しましたら、担当医より御家族へ連絡します。

手術終了後は川崎大動脈センター集中治療室に戻ります

当センター集中治療室(ACU: Aortic Care Unit )は日本で唯一の大動脈疾患治療の専用ユニットです。全国より集まった大動脈疾患看護のエキスパートである専属看護師が担当します。手術の当日または翌日に人工呼吸器をとりはずします。したがって、翌日の面会時間には、ほとんどの患者さんはお話ができます。翌々日には食事とリハビリがはじまります。腹部大動脈瘤は約1週間、胸部大動脈瘤は約2週間、大動脈解離は約3週間の専門リハビリテーションをおこないます。

A:胸部大動脈手術の術後

胸部大動脈手術の術後入院期間は、およそ2~3週間です。はじめの1~2日間はベッドですごしますが、その後歩行リハビリテーションが開始になります。5日目にシャワー入浴をおこない、約2週間のリハビリテーションをおこないます。

当日

手術が終わってもすぐには目がさめません。心臓手術の麻酔は通常の麻酔よりも深いため、当日の夜遅くか、あるいは翌日に目がさめます。目がさめても、呼吸に必要なチューブが口に入っていて、人工呼吸器が接続されているため、話ができません。この時点では、無理に呼吸をしようとせず、体の力を抜いて、ゆっくり人工呼吸器にあわせるようにします。

1日目

目がさめると看護師が気管内の痰を吸引します。医師あるいは看護師が呼吸をするように指示したら、ゆっくり呼吸をしてください。十分な呼吸ができれば、口のチューブを抜去します。その後は、しっかりとした呼吸をこころがけ、自分で痰を出すように努力してください。

1~2日目

点滴や、体に入っているいろいろなチューブが抜けてゆきます。できるだけ、体を起こし、正しい姿勢で座るようにしてください。ベッドサイドで立ったり、少し歩くこともしていただきます。食事もこのころに始まりますが、はじめはうまく飲みこめませんから、気管に入らないように慎重に飲みこむようにしてください。

1~3日目

歩くのがやっとというところですが、頑張ってリハビリをすることにより、呼吸状態も安定して、全身の回復が促進されます。術後は肺に痰がたまり、これをうまく排出しないと肺炎をおこす可能性があります。これを防ぐためには、

  1. しっかりとした呼吸練習
  2. 確実な排痰
  3. 体をおこし座ること
  4. 起立歩行

が欠かせません。
抗生物質はあくまで補助的なもので、肺炎の予防は患者さんの心がけしだいということもできます。

リハビリが始まったら

リハビリが始まったからといって、安心は禁物です。呼吸練習、歩行練習をつづけ、早期退院を目指してください。大動脈・心臓の手術の後は、“大事をとって休養”と考えがちですが、日中もベッド上という生活は回復を遅らせることになります。昼間はできるだけイスに座るような生活を心がけてください。手術からの回復は直線的によくなっていくものではありません。たとえば、3日目まではよくなったのに4日目になったとたん、食欲はなくなるし、夜は眠れず、このままどんどん悪くなっていくような気がすることがありますが、それは回復過程ではしばしばあることです。それまでのリハビリを含めた生活を維持するようにしてください。1~2日で体調はよくなってきます。
自宅に退院した後も病院でおこなっていたリハビリを必ずつづけてください。一日リハビリを怠ると、それまでのリハビリが無意味となり、急に体調が悪くなることがあります。退院後の経過をみるために当センターの外来診察があります。それまではしっかりとリハビリに取りくんでください。

B:腹部大動脈手術の術後

腹部大動脈手術の術後入院期間は、およそ10日間です。手術創は自然に吸収される糸で縫合されていますので、抜糸の必要はありません。また、体をうごかしても手術で吻合した部分が問題となることはありません。できるだけ早く体をうごかし、リハビリを進めることで、体の回復が促進されます。

当日

手術室で目がさめます。呼吸のための口の管を抜き、一般病室にもどります。腹部の創はつよい痛みがあります。このため、呼吸が浅くなりがちですが、がんばって、大きな呼吸をして、痰をだすようにしてください。

1日目

点滴はほとんど抜けます。朝から、トイレ歩行を開始し、午後には歩行リハビリを開始します。昼または夕より、食事を開始します。傷の痛みや熱がありますが、けっしてベッドで休むことなく、体をおこし、正しい姿勢ですわるようにしてください。正しい姿勢ですわることが、肺炎を予防することになります。

手術が終わり7日目~14日目で退院となります

患者さんご自身には多少の不安があると思いますが、自信を持って、自宅でのリハビリをおこなってください。術後1週間を過ぎたら、入浴ができます。

退院後の生活

退院後は、それまで通院していた医院や病院で診療を続けていただき、投薬等を受けていただきます。

食事

食事に関しては大動脈の手術を受けたあとだからといって、特別なことはありません。つまり、食事が大動脈の手術に何らかの影響をおよぼすということは、まったくありません。したがって、手術の後だからという理由で、食事を制限したり、あるいは“これは、食べてはいけないのでは?”と心配する必要はありません。また、よくいわれる“塩分のとりすぎに注意”ということもあまり神経質に考える必要はありません。患者さんのご家族の中には、食事の塩分を過剰に制限したため、患者さん本人の食欲がなくなり食事がまったくとれないということも、しばしばおこっています。極端に塩からいもの、極端に脂っこいものはいけませんが、ご本人がおいしいと思われる食事を適度にとることが肝要です。 ただし、次のことは考える必要があります。

何らかの治療上の理由で、食事を制限されている場合

糖尿病、腎臓病などの疾患により食事制限を受けている方は、退院後も、それまでの食事療法を継続しておこなう必要があります。糖尿病の場合は、手術のあとは、それまでの糖尿病治療薬の量が少なくてすむことがあるので、主治医とよく相談をして、食事療法をおこなう必要があります。また、手術において、人工弁を体内に入れた患者さんはワーファリンを内服しているため、ワーファリンに対する食事制限があります。人工弁を使用した患者さんはワーファリン治療の説明を主治医あるいは看護師より受けてください。

将来に起こる可能性のある生活習慣病に対する予防

大動脈の疾患は動脈硬化に原因がある場合が多く、これは生活習慣(特に喫煙と食事)が原因になっている可能性があります。大動脈の手術を受けた後でも、その他の重要血管(脳や心臓)に動脈硬化の影響が出る可能性は十分あります。一般的な、動脈硬化を予防するといわれている生活習慣を実践することが肝要です。

喫煙

喫煙は呼吸機能を損ない、また動脈硬化の促進因子として非常に悪影響を及ぼします。従って、せっかく手術のために禁煙したのですから、その習慣を続けることは大きなメリットになります。しかし、患者さんの中には、ご高齢で“タバコが唯一の楽しみ”という方もいらっしゃいます。確かに喫煙は体に害を及ぼしますが、そのことが受けた手術に問題を起こすことはありません。従って喫煙に関しては、ご本人ご家族も含め十分お考えになり、喫煙するか、禁煙を続けるか決めていただく必要があります。

血圧

血圧の管理もあまり神経質になる必要はありません。血圧が高くなったからといって、手術した人工血管に影響がでることはありません。ただし、現在の高血圧は、収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg以上ということになっていますので、これ以上の血圧の方は、動脈硬化の予防という点から降圧治療を継続することが望ましいです。少なくとも一週間に一度、自宅や病院で血圧を測り、かかりつけの病院で適正な血圧を維持するような治療をすることが大切です。

運動

運動が手術に影響を与えることはまったくありません。ただし、骨(胸骨や肋骨)を切っていますので、骨が完全につくまでにはおよそ3ヶ月必要です。この期間はあまり過激な運動は避けてください。3ヶ月が過ぎれば、過激な運動も可能です。それまで、制限されていた水泳やゴルフ、柔道でも、可能です。

入浴

手術前におこなっていた、自分にあった入浴をしてください。入浴自体が手術に与える影響はありません。温泉も楽しんでいただいて結構です。