国際研修活動
川崎大動脈センターは2003年設立以来、海外からの留学生、見学者の受け入れや国際学会への参加など、積極的な国際交流を行ってきました。
新型コロナウイルスの影響で2020年以降海外からの留学生の受け入れを中断していましたが、入国規制の変更に伴い2022年7月から同活動を再開しております。
2024年2月現在、フィリピン、タイ、台湾からの3名がclinical fellowとして手術技術の習得に励んでいます。
長期滞在のfellowに加え短期の見学・留学(個人、団体)も多く受け入れており、昨年はタイ、フランス、台湾、フィリピン、ベトナム、中国、ウクライナと言った多くの国から医師、看護師、臨床工学士が当センターに訪れ、
手術見学や周術期管理に関しての情報・意見交換を行いました。
さらに昨年は台湾Hualien Tzu Chi HospitalにてCadaver Trainingを指導、Taichung Veterans General Hospitalにて手術指導するといった現地活動も行っております。
2022年11月からKAS: Kawasaki Aortic Surgery conferenceと称し、毎週月曜日にonline conferenceを開始しました。当センターを中心に世界各国から参加する医師たちと積極的な症例検討・意見や知識の共有を行っています。
今後もこのような積極的な国際交流を継続し、世界の大動脈治療の発展に貢献したいと考えております。
2008年からの留学生
留学生からの感想
各国から来た医師の感想をご紹介します。
Thanit Kunanusont
(Joe)
Pranangklao Hospital
Thailand
Bernardo Pocholo Carlo Rivera
(POCH)
University of the Philippines, Manila and Philippine GeneralHospital
Philippines
多くの症例数、優秀なスタッフ、優れた設備、これらが揃った施設の手術成績は間違いなく素晴らしいものになるでしょう。川崎大動脈センター(以下:KAC)にはこれらが備わっており、大動脈チームで有能なスタッフたちが最善を尽くしています。これらは他の施設とは比較にならないほどの症例数と優れた施設が揃っているからこそ実現できています。
KACは、非常に有能なスタッフが協力して大動脈疾患に対する最高の治療を提供するために、高度に専門化されたセンターです。大動脈手術の技術的面だけでなく、患者の準備や術後ケアにも重点が置かれています。私が知っている中で、私たちの膨大な大動脈手術データベースはKACが盤石であることを示しています。KACは高度なレベルで複雑な大動脈手術を行ってきた長い実績を持っています。2000年代初めに開設され、最高の大動脈センターの一つとして開花しました。
私がここに来たのは、KAC流の大動脈手術を学びたいからです。ここにいる仲間はとてもフレンドリーで、いつでも専門知識を私に教えてくれます。また彼らは私が自宅から離れた生活に慣れるのを助けてくれました。また、私が議題を理解できるように、議論する際にはイラストや図式を作成してくれました。これらすべてに対して、私はとても感謝しています。
私の意見では開胸手術が大動脈疾患に対する最適な治療であると考えています。しかし大動脈手術は難易度の高い手術であり、 経験と専門のチームが必要です。私は自分で手術が行えるようになるために世界でも最も優れた施設である川崎大動脈センターに手術を学ぶためにやって来ました。
川崎大動脈センターのことはタイ胸部外科学会と2017年に協力関係を結んでいることや、大島医師がタイでプレゼンテーションをしているのを聞いて以前から知っていました。タイでの胸部心臓血管外科のトレーニングを終えて川崎大動脈センターで学ぶことを決めました。そしてそれは実現し、2023年の7月から12月まで川崎大動脈センターで働くことになりました。
川崎大動脈センターには様々な大動脈疾患の患者を治療するため、多くの経験と知識を得ることが出来ました。すべての患者に対して術前からカンファレンスを重ね手術計画が練られていました。とても有益なものの一つに毎週行われているオンラインケースカンファレンスがあります。
様々な国や病院から専門家が参加し経験を共有できる場であり、卒業してから学ぶことが難しい普通では見ないような難しい症例について学ぶことが出来ました。私は半年間で約150件の手術に携わり、実際に手術に参加した症例数も100件以上ありました。川崎大動脈センターの一員になれたことに心から感謝しています。