・再手術・再々手術等の困難症例に対する手術
過去に心臓手術や大動脈手術を受けた患者さんに対する大動脈の再手術、あるいは再々手術にも対応しています。
主な診療対象は大動脈瘤・大動脈解離であり、特に、これまでの心臓外科施設では手術成績が不良であった胸部大動脈瘤、胸腹部大動脈瘤、急性大動脈解離を中心とし、また、高齢者や臓器合併症を合わせ持つ重症症例を積極的に扱い、良好な成績を上げています。緊急症例に対しても、迅速な対応ができるシステムをとっており、24時間、患者受け入れおよび緊急手術に対応しております。
手術終了後は川崎大動脈センター集中治療室に戻ります
当センター集中治療室(ACU: Aortic Care Unit )は日本で唯一の大動脈疾患治療の専用ユニットです。全国より集まった大動脈疾患看護のエキスパートである専属看護師が担当します。手術の当日または翌日に人工呼吸器をとりはずします。したがって、翌日の面会時間には、ほとんどの患者さんはお話ができます。翌々日には食事とリハビリがはじまります。腹部大動脈瘤は約1週間、胸部大動脈瘤は約2週間、大動脈解離は約3週間の専門リハビリテーションをおこないます。
手術当日は朝9時より手術がはじまります(一部の手術は午後から始まることがあります)。手術中は御家族の方は患者家族控え室でお待ちいただきます。手術時間は目安として、腹部大動脈瘤が約1-2時間、上行・弓部大動脈瘤が約5~7時間、遠位弓部・下行大動脈瘤が約3~5時間、胸腹部大動脈瘤が約6~8時間です。手術室では麻酔や準備の時間もありますので、手術が終了して患者さんが実際に手術室から戻る時刻は、腹部大動脈瘤が午前12時ころ、上行・弓部大動脈瘤が午後4~6時ころ、遠位弓部・下行大動脈瘤が午後2-4時ころ、胸腹部大動脈瘤が午後5~7時ころとなります。
手術が終了しましたら、担当医より手術内容についての説明をさせていただき、その後、面会をしていただきます。
入院は原則として手術の2~3日前にしていただきます。手術に必要な検査はすべて外来時におこなっています。手術の当日に担当医より、もう一度、手術についての説明をいたします。
外来では、検査や画像にもとづいた正確な動脈瘤の診断をおこないます。まず、初診時に血液検査、呼吸機能検査、CT検査(すでに他の医療機関でCTを撮影された方はおこなわない場合があります。)等の検査をおこないます。
その後、担当医による診察があります。全てのデータをもとに、大動脈瘤の有無、程度、治療方針などをお話します。手術が必要と診断された方は、ご家族・ご本人と相談のうえ、ご希望の入院日・手術日を決定します。また、担当医より手術方法や手術の危険性について説明をさせていただき、これについての質問にお答えします。
このすべてのプロセスを外来日一日でおこないます。外来に要する時間は、すべての検査が、およそ2時間、治療方針の説明(担当医との面談)が、一人あたりおよそ1時間です。