Q.動脈瘤は遺伝するのですか?
A.現時点では遺伝しないと考えられています。
A.動脈瘤と言っても、場所・大きさ・形態などさまざまです。手術が必要かどうかは動脈瘤の治療実績のある病院を再度受診して判断してもらう必要があります。
大動脈瘤の診断はCT検査によって行います。また、治療方針の決定(治療が必要かどうか? 治療が必要ならばどのような治療が可能か?)もCT検査の結果で解ります。いずれの場合にも、ひとりひとりの患者さんの状態を正確に診断して、ひとりひとりの患者さんの病態に合った最善の治療法を選択していきます。
一般の病院で「大動脈瘤です」という診断を受けても、必ず大動脈診療に実績のある大動脈センターを受診し、正確な診断を受けてください。はじめの病院で「手術が必要」と診断された患者さんが、実際は手術不要であったり、また逆に「だいじょうぶ」と言われていた患者さんが、すでに手術の時期を逸していたということが頻繁に見受けられます。違う病院での診察を受けることはセカンドオピニオンと言って一般に行われています。
ステロイド製剤は、長期間使用した場合は、免疫力の低下から感染症になりやすいと言われています。また、ステロイド製剤を中止した場合には、原疾患(ステロイドを必要とする疾患)が悪化することもあります。手術をする際には、これらのことを想定して、手術当日からステロイド剤の量を調節することにより、術後も特に大きな影響を与えないよう配慮します。
糖尿病により血糖値が高い方は、手術後に創部の治癒が遅れると言われておりますが、術後より厳密な血糖管理を行うことにより、手術創部は特に問題なく治癒していきます。
また、栄養面においても厳密なカロリー管理を行うことで、必要以上の血糖摂取を防ぎます。
喫煙歴がある場合や、過去に肺疾患を患ったことがある方は、術前の肺機能検査にて呼吸機能障害を呈している場合があります。術前の徹底した禁煙と、呼吸訓練により呼吸機能の改善を目指します。この場合でも、肺の画像所見等を含めて考慮し、手術を行っております。
大動脈瘤、大動脈解離は動脈硬化に起因することが多く、動脈硬化は全身の血管病変であるため、脳梗塞などの塞栓症を手術前より合併している患者さんは多数います。しかし、脳梗塞等の塞栓症があるからといって外科治療が不可能ということはなく、術前検査結果をもとに、手術術式にも様々な工夫を行うことにより、脳梗塞を合併している多くの患者さんに対して手術を行っております。
大動脈瘤、大動脈解離は、一般的に70歳以上の高齢者に発症しやすいと言われています。治療方針は、大動脈瘤の形、大きさ、自覚症状の有無により決定され、基本的には年齢制限はありません。よく、「高齢ですが、体力はもつでしょうか?」という質問があります。手術に耐えられる「体力」の医学的指標はありません。しかし、個々の臓器についてその機能を調べることにより、手術が可能であるかの大まかな判断を行います。