手術適応の根拠
以下の死亡率が手術を行うかどうかの根拠となっています
死亡率 | 保存治療 | 手術治療 |
---|---|---|
急性A型大動脈解離 | 55.9% | 26.6% |
急性B型大動脈解離 | 9.6% | 32.1% |
※つまり、保存療法(手術をしない)場合と手術治療を行った場合との死亡率を比較した場合、急性A型大動脈解離では手術治療の方が死亡率が低い(26.6%<55.9%)ので、手術治療となります。また、急性B型大動脈解離では保存治療の方が死亡率が低い(9.6%<32.1%)ので、保存治療となります。
以下の死亡率が手術を行うかどうかの根拠となっています
死亡率 | 保存治療 | 手術治療 |
---|---|---|
急性A型大動脈解離 | 55.9% | 26.6% |
急性B型大動脈解離 | 9.6% | 32.1% |
※つまり、保存療法(手術をしない)場合と手術治療を行った場合との死亡率を比較した場合、急性A型大動脈解離では手術治療の方が死亡率が低い(26.6%<55.9%)ので、手術治療となります。また、急性B型大動脈解離では保存治療の方が死亡率が低い(9.6%<32.1%)ので、保存治療となります。
時期と病型により治療方針が決まります。
手術が必要な状態とは以下のような場合です。
急性A型大動脈解離 | 緊急手術 |
---|---|
急性B型大動脈解離 | 瘤径が5cm以上・分枝の血流障害・切迫破 |
慢性A型大動脈解離 | 瘤径が5cm以上 |
慢性B型大動脈解離 | 瘤径が5cm以上※ |
瘤径が5cm以下の慢性大動脈解離は、発症後、3ヶ月、6ヶ月、1年、1年6ヶ月、2年、以降は1年毎にCTによる経過観察をおこないます。大動脈最大径が50mm以上となったら手術を考えます。
約70%~80%に胸背部痛があります。
手術を行わない場合(未治療の場合)の急性大動脈解離での合併症は発生率は以下のとおりです。
狭心症・心筋梗塞 | 3-7% |
---|---|
脳虚血 | 3~7% |
上肢虚血 | 2~15% |
下肢麻痺 | 4% |
腸管虚血 | 2~7% |
腎障害 | 7% |
下肢虚血 | 7~18% |
A型急性大動脈解離 | 手術をおこなわなかった場合の死亡率は、発症より24時間以内が20%、48時間で30%、1週間で40%、1ヶ月で50%が死亡する。 解離の偽腔は将来瘤化する可能性がある。 遠位側の偽腔が閉塞する率は、10%以下。 |
---|---|
B型急性大動脈解離 | 手術をおこなわなかった場合の死亡率は、1ヶ月で10%以下。 |
B型慢性大動脈解離 | 大動脈瘤拡大の因子は、1:動脈径40mm以上、2:偽腔に血流が存在。 |
大動脈解離は、大動脈内膜に生じた亀裂から血液が内膜に流入し、外層と内層に解離させていく疾患。Stanford A型と Stanford B型に分類されます。
この度、川崎大動脈センターでは、2015年8月17日に
胸部大動脈手術が3000例を突破いたしました。
10月10日には、3000例を記念し川崎日航ホテルにて祝賀会が行われました。
今後も患者さんのために最善の治療を行って参ります。
実際に移植する人工血管の長さはおよそ10~15cmです。人工心肺装置は使用しません。輸血もほとんどの場合必要ありません。手術時間はおよそ1時間半から3時間です。
小切開手術は腸管を移動させることが無いため、術後腸管の動きが悪くなることがほとんど無く、すぐに食事を開始することができます。実際の手術は、全身麻酔下で腎動脈の遠位側で腹部大動脈を遮断し、大動脈瘤を切除した後、その部分に人工血管を移植します。
川崎大動脈センターでは、小切開(10cm以下)による手術をおこなっています。これまでの腹部大動脈瘤の手術は、腹部を20cmほど切開し、腸管を圧迫(あるいは移動)する手術をおこなっていたため、術後、腸管の動きが悪くなり、食事の開始までに数日を要していました。