胸腹部大動脈瘤 ~治療法①~

胸腹部大動脈瘤人工血管置換手術(おもにⅡ型の方法を記載します)

胸腹部大動脈瘤(下行大動脈から腹部大動脈全長に渡る動脈瘤)に対する手術です。 下行大動脈瘤と同様に左開胸(左の脇の下に30cmほどの皮膚切開をおき、左側の上から5番目の肋骨の間を開いておこなう)でおこないますが、さらに開腹をおこない、胸部から腹部までの大動脈を同時に置換する手術です。

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胸腹部大動脈瘤 ~治療方針②~

病型分類 治療方針
Ⅰ型 体外循環装置を使用し、肋間動脈(8番目から12番目の3~4対)の再建と、場合によって腹部4分枝血管の再建をおこないます。
Ⅱ型 体外循環装置を使用し、肋間動脈(8番目から12番目の3~4対)の再建と、腹部4分枝血管の再建をおこないます。ひきつづき、腹部大動脈の再建をおこないます。
Ⅲ型 体外循環装置を使用し、腹部4分枝血管の再建をおこないます。ひきつづき、腹部大動脈の再建をおこないます。
Ⅳ型 体外循環装置を使用せず、腹部4分枝血管の再建をおこないます。つづき、腹部大動脈の再建をおこないます。

 

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胸腹部大動脈瘤 ~治療方針①~

最大径50mm以上※(ガイドラインでは60mm以上)を手術適応としています。50mmに満たない場合も、半年から1年毎にCT撮影をおこない、経過を観察します。手術は大動脈の直径が50mm以上の部分を中心に切除し、人工血管に置換します。手術方法は、病型分類により異なります。

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胸腹部大動脈瘤 ~症状~

胸部大動脈瘤、腹部大動脈瘤と同様にほとんどが無症状です。

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胸腹部大動脈瘤 ~破裂頻度と統計~

胸部大動脈瘤の年間破裂率に準じます。

大動脈の直径 破裂率
40mm未満 0%
40mm~49mm 0%~1.4%
50mm~59mm 4.3%~16%
60mm以上 10%~19%

 

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胸腹部大動脈瘤 ~定義・分類~

胸部から腹部にわたる大動脈瘤。一般的に大動脈瘤の存在する場所によって4つのタイプに分類します。手術方法に関しても、この4つのタイプによってそれぞれ置換範囲や体外循環の方法が異なります。

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治療成績

全国(2003年-2004年※) 川崎幸病院(2003年~2007年※)
死亡率 手術総数 死亡率 手術総数
上行大動脈手術 2.9% 2386
弓部大動脈手術 5.0% 2830 1.2% 232
下行大動脈手術 3.9% 1395 1.5% 126
ステント治療 5.7% 262

※待機手術のみ

 

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合併症予防③~腎障害~

手術中にできるだけ血液浄化をおこない、術後も尿量の維持をおこないます。適切な血圧管理と、体液量の管理をおこなうことにより、また近年の体外循環時間の短縮や手術時間の短縮により、大幅に腎臓障害を減らすことに成功しています。

 

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合併症予防②~呼吸障害~

高齢者や喫煙暦のある方は手術中や術後に呼吸器合併症を起す場合があります。この合併症の予防には、
1) 徹底した術前の禁煙と呼吸練習
2) 適切な体外循環法の選択
3) 術後早期離床と呼吸リハビリテーション
が欠かせません。
当センターでは、外来での呼吸練習指導、呼吸機能に応じた補助循環の変更、術後の看護師・理学療法士による徹底した呼吸リハビリテーションにより、高度呼吸機能障害を持つ患者さんの手術においても術後の呼吸器合併症が格段に減少しました。

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合併症予防①~脳障害~

かつては胸部大動脈手術で問題になる合併症でした。しかし、近年脳障害の予防法が確立し、この合併症は非常にまれなものになりました。脳障害がまれになった理由は、
1) 脳保護法の進歩
2) 手術技術の改良
があげられます。
脳保護法は、超低体温法(体温を人工心肺装置を使って25-20℃くらいまで低下させる方法)と選択的脳潅流(低温の血液を脳に直接送る方法)あるいは逆行性脳潅流(静脈から逆行性に血液を脳に送る方法)を組みあわせることにより脳血管を吻合している間の脳保護が安全なものとなりました。また、脳障害の多くは、脳血管内の動脈硬化のカスが吻合操作中に脳に詰まることが原因でした。吻合操作を改良し細心の注意をはらうことにより、この合併症は大幅に減少しました。

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