医者の夜逃げ

最近、都内の病院に勤めている友人の医師から「医者の夜逃げ」の話しを聞いた。え、いまどき夜逃げ?辞書には「夜逃げ=夜のうちにこっそり逃げて、よその土地へ行くこと」とある。その病院に勤めていた某医師は、前日まで仕事をしていたにもかかわらず、次の日の朝、医局の机やロッカーの私物共々、跡形もなく消えていたそうである。まさに「夜逃げ」だ。だいたい、医師は自分の患者に対する責任があるため、最低でも数ヶ月の猶予を持って病院を退職することが義務づけられている。自分の患者を放り出して夜逃げするとは・・、よほどの事情でもあったのだろうか?

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深夜に多い大動脈解離の手術

大動脈解離の緊急手術は圧倒的に深夜が多いです。大動脈解離は眠っている間に発症することはあまりなく、日中(特に午後)が圧倒的に多いのです。仮に、夕方に発症したとします。突然の胸部痛、すぐに救急車を呼びます。近くの循環器専門病院に搬送されます。循環器領域の胸部痛の原因は、おおくが狭心症、心筋梗塞です。心電図、心臓超音波等の検査が行われ、場合によっては血管造影も行われます。そしてCT検査。この一連の検査等で1-2時間、診断確定までには3-4時間というのが一般的です。そして、大動脈解離の診断がつきます。大動脈解離の手術ができる病院は限られるので、循環器内科医はすぐに転送の手配をします。家族を呼び、病気の説明・転送の承諾を得て、救急車で転送となります。川崎大動脈センターに患者さんが到着するのは夜です。すぐに手術の準備を始め、手術開始となりますが、手術は数時間に及びますので終了は明け方・・、と言うわけで、大動脈解離の手術はいつも夜中です。

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手術中にトイレはいかない

よく質問を受けるのは、「何時間もの大動脈瘤の手術の間、トイレは行かないんですか?」というもの。答えは、「行きません」8時間くらいの手術ならOK、12時間でも平気です。なぜか?私も良くわかりません。泌尿器科の先生に聞いてみます。

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最近の大動脈解離手術

大動脈解離が発症すると、大動脈壁はセロファンの様にペラペラになります。このため、大動脈壁自体が破裂することがあります。もちろん、この破裂を防ぐためには手術で薄くなった大動脈を人工血管に取り替える必要があります。しかし、薄くなった血管は非常にもろいので、正確な吻合技術が必要です。かつてはこの吻合技術をマスターするのにはかなりの経験が必要でしたが、最近ではすぐれた血管壁固着剤が開発され、この手術もずいぶん楽になりました。

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大動脈解離とは

大動脈解離の症状は多彩です。最も多い症状は突然起こる胸部・背部の激痛です。
大動脈解離の病態は、大動脈が裂けて、大動脈の分枝血管に血流が無くなり、その先の臓器に血液が流れなくなります。
このため、心臓なら心筋梗塞、脳なら意識障害・マヒ、脊髄なら下半身のマヒ、腎臓なら腎不全、腸管であれば腸管壊死などが起こります。
この症状はどれを取っても非常に重篤なので、早急な治療が必要です。
以前は高齢者に多く発症していましたが、最近は30歳代、40歳代の方に多発しています。

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川崎大動脈センターBOOT CAMP

川崎大動脈センターの医師やコーディネーターのオフィスは、センター集中治療室の隣にある。いつでも集中治療室に駆けつけることができる仕組みだ。この医者のたむろするオフィスを未だに日本の病院ではどこでも「医局」と呼ぶ。カビくさい言葉で嫌いだ。ウチは医局と呼ばず「BC」と呼んでいる。その心はBOOT CAMP。医師は常に臨戦態勢で患者と向き合っている。

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大動脈解離は誰にでもおこる

大動脈解離は誰にでも、突然起こる病気です。特に最近は30歳代、40歳代のまったく健常な男性に多発しています。原因はまだ特定できていません。大動脈解離が発症すると胸部から背中にかけて激痛が起こります。この激痛は最低1-2時間持続します。大動脈解離は大動脈壁が裂ける病気で、死亡率が非常に高い重篤な病気です。現在のところ予防法はありません。とにかく、激しい胸部痛が起こったら、迷わず救急車を呼んで、大動脈解離の治療を行っている病院を受診することです。治療は手術です。このためにも、事前に大動脈瘤大動脈解離の治療実績のある病院をチェックしておくことも必要です。

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『救急・総合診療部』新設

川崎幸病院では今年9月より救急・総合診療部が始まりました。僕にも救急・総合診療部の当直が回ってきます(当院医師は全員が総合診療部所属です!)。
外科→心臓外科→大動脈瘤大動脈解離と専門性を突き詰め、その筋ではそれなりに有名になった僕(?)ですが、ここにきて総合診療という医師としてのスタートラインに引き戻されることになりました。
しかしです。いまさらなんで・・と考えれば苦痛ですが、新しいことを始めると考えれば、これもありです。
明日は、後輩が勧めてくれた内科レジデントマニュアルを買いに行こうと思います。

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医者の仕事。

医者の仕事は何年やっても同じことの繰り返しである。
患者のレントゲン写真や血液検査所見を見てからベッドサイドに行き、胸に聴診器を当て呼吸音・心音を聞き、脈を取って話しをする。患者の異常・変化を察知し対処を考え実行する。そしてそれを毎日毎日繰り返す。
政治を変えたり、ロケットを打ち上げたり、経済を動かしたりするような派手さは全くないが、その地味な仕事が好きである。

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大動脈瘤治療手法〜セカンドオピニオンのおすすめ〜

大動脈瘤治療の方法の一つであるステントグラフトは、開胸・開腹をせず、足の付け根の血管からカテーテルを使って人工血管を動脈瘤の内側に置いてくる方法です。体に対する負担が少ないと言われていますが、川崎大動脈センターの実績から比較すると合併症はむしろステントグラフトの方が多いものがあります。
ステントグラフト治療を選ぶか、手術治療を選ぶかという選択には高度な専門的知識が必要です。大動脈瘤治療の専門医を受診しセカンドオピニオンを受けるのが最良です。

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