尾﨑医師の現地レポート㉘inタイ(現地レポート最終回)

昨日、KACとSiriraj HospitalのMOU締結、KACとSTST(The Society of Thoracic Surgeons of Thailand)とのMOU更新、さらに私の一年間の滞在に対するセレモニーが行われました。

山本先生にはKACの始まりの歴史をご紹介いただき、大島先生からはKACの概要および成績についてご講演いただきました。
また、LIVEケースではre-3R(腎動脈上での吻合)を施行し、普段は見学に来られないドクターにもKACの手術を共有する機会となりました。
すべてのセレモニーが滞りなく終了し、今後の協力関係をこれまで以上に強固なものにできたと感じています。
お互いに良い点を学び合いながら、アジア、そして世界の大動脈治療に貢献できると強く実感した時間でした。
我々の一つ一つの取り組みが、確かに歴史をつくっているのだと思います。


不安もありましたが、タイのドクターやスタッフとの協力、そして何よりKACからのサポートに支えられ、勇気づけられ、この一年を走り抜くことができました。本当にありがとうございました。


川崎大動脈センターでは、2024年12月から新たな試みとして当センター医師を年単位でタイに派遣しKAS: Kawasaki Aortic Surgeryを普及するprojectを開始しています。
詳しくは国際研修活動ページをご覧ください。

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尾﨑医師の現地レポート㉗inタイ

Saraburi Hospital にて 1R を行いました。
同院への訪問は、前回の TAR に続き今回が 2 回目となります。
挿管チューブがシングルルーメンであったことや、下肢の A ラインが左側に入っていたことなど、準備段階で修正すべき点があり、対応を要しましたが、手術は無事に終了し、対麻痺も認めませんでした。


「わからないことを曖昧にしないこと」

「万全の準備で手術に臨むこと」

は、患者さんに対する当然の礼儀であると、スタッフ全員に指導しました。
知識、技術の準備には、その心構えがスタートラインになると思います。
日々の業務にどれだけ追われていても、絶対におろそかにしてはならないことがあります。今回の経験は、私自身にとっても改めて自戒する良い機会となりました。

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尾﨑医師の現地レポート㉖inタイ

King Chulalongkorn Memorial Hospital にて left thoracotomy TAR を行いました。
これまで同院では4件の手術を行ってきましたが、招いてくれた Dr. Khiew は毎回テーマを持って手術に臨んでくれます。

「この術野展開を学びたい」

「どこが止血の pitfall なのか知りたい」

といったように、手術の中でどこに焦点を置くかを明確にしながら取り組んでいました。
手術ではもちろん全てのステップが重要ですが、向上したいという姿勢は、必ず行動に表れるものです。
その前向きな姿勢に大いに刺激を受け、私自身も非常にポジティブなマインドになる良いきっかけをもらいました。

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尾﨑医師の現地レポート㉕inタイ

昨日はSiriraj Hospitalにて 2R/DHCA+ステントグラフト抜去 を施行しましたが、ポンプアップ後の酸素化が不良で、明らかに右肺の無気肺が原因でした。
低酸素は対麻痺につながるため、麻酔科の先生にリクルートメントを依頼しましたが、うまく行えないとのことでした。
そこで、止血をレジデントに任せ、麻酔科医の許可を得て自ら麻酔器側に回り、リクルートメントおよび呼吸管理を行った結果、酸素化は改善し、術後に対麻痺も認めませんでした。
常にすべてがうまくいくとは限りませんが、目的に対して諦めることなく方法を探り、実行することで結果は応えてくれる―そのことを改めて実感した症例でした。

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難症例から学ぶ:大動脈手術の成功を支える要因

マニラで開催されるATCSA 2025でプレゼンテーションを行いました。
今回の発表では、いくつかの難しい症例に関する知見をまとめました。
中心となるメッセージは、研究の結論を示すものであり、複雑な大動脈手術が確実に実施可能であることを確認するものです。

データからは、綿密な計画と厳格な標準化がアウトカムを大きく改善し、高リスクの再手術であっても成功を現実のものにすることが示されています。

I had the opportunity to present at ATCSA 2025 in Manila.
Our presentation summarized findings on several difficult cases. The central message, which aligns with defining the research conclusion, confirms that complex aortic surgeries are achievable with reliability.

Data indicates that meticulous planning and rigorous standardization significantly improve outcomes, making success attainable even in high-risk revision procedures.

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台中で広上先生が語った破裂性腹部大動脈瘤治療

ATCSAと同じタイミングで、広上先生が台中栄民総医院で開催されたカンファレンスにて、破裂性腹部大動脈瘤に対する私たちのアプローチを紹介しました。
この同時発表が実現したことは、アジアの学術コミュニティにおける強い絆と協力体制の証だと感じています。

We were pleased that, concurrently with ATCSA, our colleague Dr. Hirokami presented our approach to Ruptured Abdominal Aortic Aneurysms at a conference organized in Taichung Veterans General Hosputal. This successful simultaneous presentation reflects the strength of our collaborative ties across the Asian academic community.

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【広上医師参加】国際カンファレンスレポートin台湾

タイやフィリピンに続き、台湾からもレポートが届きました!

“International Summit on Diagnosis and Treatment of CV Disease-2025”という、台中榮民病院主催のカンファレンスに参加しています。
今日はTsai先生、Huang先生中心としたチームのDSR/DHCA +ステント抜去に入り意見交換をしてきました。明日、明後日と本格的なプレゼンテーションになります。
手術では、2022年に我々を訪ねてくれた沢山のscrub nurseやperfusionist、麻酔科医もいました。あの訪問以来ドレーピングをKACスタイルにしたり、KACのリトラクターが order madeで作られてあったり色々とbrush upされて印象的でした。今後もコミュニケーションを綿密に続けて協力していこうと話しました。

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尾﨑医師の現地レポート㉔inタイ

昨日・今日と、タイ北東部にある Sakonnakhon Hospital にて、右大動脈弓 Kommerell に対する DSR/DHCA+aberrant lt SCAr、および 4R を行ってきました。
同院は、KAC卒業生である Dr. Joe の奥様 Dr. Nok がチーフを務める病院で、今回は Dr. Joe ご夫妻との手術となりました。
わずか二日間ではありましたが、その間にもscrub nurse、perfusionist、麻酔科医との連携が確実に向上していることを実感しました。
スタッフ全員が手術を理解し、自分のものにしようとする熱意、そしてそれを可能にするための積極的なコミュニケーションの重要性を改めて認識しました。

病院は湖のほとりに位置しており、窓からの景色が非常に美しく、心が洗われるようでした。
タイでの滞在も残すところ一週間となりました。最後まで、謙虚に、そして全力で取り組んでいきたいと思います。


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尾﨑医師の現地レポート㉓inタイ

昨日、KAC卒業生である Dr. Kong がチーフを務める Anantamahidol Hospital にて TAR を行ってきました。
同院は、タイで最初の陸軍病院として知られる歴史ある施設です。
若手医師やperfusionistも見学に訪れ、大動脈手術の fundamental を共有する大変良い機会となりました。

また、持田先生 が杏林大学救急外傷チームとともに、タイ北東部の Khon Kaen University に外傷手術の見学に向かわれるとのことで、トランジットでバンコクに立ち寄ってくれました。
タイでは交通外傷が多く、同領域の手術経験が非常に豊富であるとのことです。
今年3月に同院で手術を行った縁から、今回持田先生と同院との新たなつながりを築くことができました。
12年前に同期として入職した持田先生、そして同時期に研修していた Dr. Kong と同じ日に会うことができ、大変感慨深い一日となりました。


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尾﨑医師の現地レポート㉒inタイ

以前滞在していた CMU(Chiang Mai University)にて、2R/DHCA(Loeys–Dietz症候群)と 2R+ステントグラフト除去(FEVAR) の2件を行ってきました。
2R/DHCAでは、中枢吻合以降を KAC卒業生の Dr. Pan に任せ、細かいポイントを説明しながら彼の成長を確認できる、とても良い機会となりました。
また、すべてのスタッフとコミュニケーションをとる中で、「術前から手術は始まっている」「術中から術後管理は始まっている」という認識が徐々に共有されてきていると実感しました。
さらに、来年から STST の学会長に就任される Dr. Surinと、今後の継続的な協力関係に向けた話し合い・確認も行うことができました。
さらなる発展のために、お互い日々の仕事をコツコツ積み上げていければと思います。


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