尾﨑医師の現地レポート㉑inタイ

昨日、タイ南部の Maharaj Nakhon Si Thammarat Hospital にて 左開胸によるTAR(lt thoracotomy TAR) を行ってきました。
KAC卒業生のDr. Chor がチーフを務める施設です。
さらに、Chiang Mai、Yala、Hat Yai など遠方からも医師やperfusionistが手術に参加してくれました。
先日、タイ国内でperfusionistの学会があったそうですが、左開胸手術における心筋保護法としての systemic KがKAC式としてトピックになったとのことです。センターとして非常に誇らしいことだと思います。
perfusionistを含め、すべての面で行き届いた KAC の洗練さを日々実感しています。


川崎大動脈センターでは、2024年12月から新たな試みとして当センター医師を年単位でタイに派遣しKAS: Kawasaki Aortic Surgeryを普及するprojectを開始しています。
詳しくは国際研修活動ページをご覧ください。

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尾﨑医師の現地レポート⑳inタイ

昨日、台湾Buddhist Dalin Tzuchi Hospital の Dr. John が、現在私の所属している Siriraj Hospital に見学に来てくれました。
彼は昨年冬に KAC を見学に来てくれた先生です。
今回、Tzuchi Hospital と Siriraj Hospital のつながりを作ることもできました。
KAC をきっかけに、アジア各国が協力し合える関係を築いていけたら嬉しいです。


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尾﨑医師の現地レポート⑲inタイ

昨日、King Chulalongkorn Memorial Hospital にて、Kommerell’s diverticulum、右大動脈弓、左鎖骨下動脈起始異常に対して、DSR/DHCA+左鎖骨下動脈再建を行ってきました。
二週間前の訪問時には不在だったDr. Chanapornも、今回は会うことができました。
彼は旧病院でトレーニングを積んだ先生です。


来年4月ごろには、同院から医師・看護師・perfusionistを含むチームで、KAC への訪問が予定されています。
特に人工心肺操作に関して、冷却・復温の方法や、灌流量および血圧のコントロールについて、KAC のやり方を学びたいとのことでした。
このような、doctorだけにとどまらないチーム間の強い協力関係が、双方の発展につながればと思います。


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尾﨑医師の現地レポート⑱inタイ

昨日、King Chulalongkorn memorial hospitalにて1R/DHCAを行ってきました。
私が今在籍しているRiriraj hospitalの次に長い歴史があり、大学は最難関とされている病院です。
Chief Dr Juleは現在STST(Society of Thoracic Surgeons of Thailand)のsecretary であり、私のプロジェクトに際して色々と尽力してくれました。
一緒に手術をしたDr.Khiewは来年KACに勉強に来るようです。
最近のオファーはほとんどが左開胸です。難しいと”思っていた”手術でも安全に患者さんを助けられるということを知ってもらい、ますますKACで勉強したいと思えるようなクオリティを示していきたいと思います。


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尾﨑医師の現地レポート⑰inタイ

週末、レジデント向けのWorkshopをしてきました。
大動脈の吻合の基礎というテーマでしたが、普段やっていることを言語化して教えるのは自分自身の良い練習にもなりました。
レジデントは3学年合わせて15人ほどいましたが、レクチャーの後、hands-on practice中にもたくさんの質問を受けました。
積極的に学ぼうとする若者を見ると、さらに教えたくなりますし、自分もさらに精進せねばと良い刺激をもらえます。
教わる姿勢は教わるチャンスを作れます。
歳を重ねるとプライドが意地をはって、教えてもらうことに対して抵抗を覚える人が多いように思います。
若者を見て、自分も襟を正す良い機会になりました。


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「この出っ張り、何ですか?」-人工血管と再手術の現実

2-debranched TEVARを施行した患者さんの再手術は極めて困難です。
多重のステントグラフトはトリミングするだけでも苦労します。
さらに、ネックレス状に胸骨前面に留置された左右腋窩動脈バイパスは開胸を制限し、手術の難易度を高めるだけでなく、将来の治療選択肢を奪ってしまいます。

外来で患者さんが「この胸骨前の出っ張りは?」と、人工血管の盛り上がりを指差して聞かれると、十分な説明(再手術制限や動脈瘤再拡大リスクなど)があったのか疑問に思います。高リスクで開胸不可の患者ならともかく、若い方にこの手術は避けるべきだと強く感じます。

Reoperation after 2-debranched TEVAR is extremely challenging. Overlapping and trimming multiple stent graft layers is a real struggle. Plus, the bilateral axillary artery bypasses—placed like a necklace across the front of the sternum—limit sternotomy. This doesn’t just raise surgical difficulty; it robs future treatment options. In clinic, patients point to the bulge from the artificial graft and ask, “What’s this lump in front of my chest bone?” It makes me question: Were they fully explained about reoperation limits and aneurysm re-expansion risks? For high-risk patients where opening the chest is impossible, okay. But for younger ones? I strongly believe we should avoid this surgery. Prioritize options that preserve choices. Thoughts?

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川崎大動脈センターの治療戦略

全弓部置換+オープンステント後の食道瘻が先月だけで2件。
そして今日も一件他院から紹介。
オープンステントを急性大動脈解離や動脈瘤に全例挿入するのは食道瘻や人工血管感染が下行大動脈にまで及ぶ可能性があります。

川崎大動脈センターでの使用は必要最低限に抑えています。
我々は年間150例ほど弓部大動脈人工血管置換を行っていますが、これまで使用したオープンステントは8本。
それでも急性大動脈解離スタンフォードA型の在院死亡率は3%だし、予定手術の弓部大動脈人工血管置換の在院死亡率は2%を切っています。

In the past month alone, we encountered two cases of aorto-esophageal fistula following total arch replacement with open stent grafting, and today another case was referred from an outside hospital. Routine insertion of open stent grafts for all cases of acute aortic dissection or arch aneurysms carries a significant risk, as it can lead to esophageal fistula formation or prosthetic graft infection extending into the descending aorta. For this reason, indiscriminate use should be avoided. At the Kawasaki Aortic Center, we restrict the use of open stents to the minimum necessary. Although we perform approximately 150 total arch replacements annually, only eight cases have required an open stent graft. Despite this limited use, our in-hospital mortality remains low: 3% for acute Stanford type A dissection and under 2% for elective total arch replacement.

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尾﨑医師の現地レポート⑯inタイ

タイ南部Yala Hospitalにて炎症瘤のruptured TAAA3に対して3R+ICArをしてきました。KAC卒業生のDr.Totoがチーフをしているタイとマレーシア国境近くの病院です。
他院からも見学のdoctorが来たりと、KACのiconicな手術である胸腹部置換をシェアする非常に良い機会になりました。
Dr.Totoと久しぶりに長く話しましたが、手術において何が大切かといったphilosophyを共有できていることがわかり、とても嬉しかったです。
KACの卒業生がタイの将来を担うSurgeonの一人であることを誇りに思います。


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尾﨑医師の現地レポート⑮inタイ

タイ南部Hat YaiにあるSongklanagarind HospitalにてTAR+FETをしてきました。非常にキレイで洗練されたオペ室とミーティングルームが印象的で、doctor、staffはとても親切で意欲的なとても良いcenterでした。
比較的ベーシックなケースであり、いつも以上に一つずつdetailを説明しつつ手術ができたのが良いポイントでした。
脳保護の方法が確立され、世界中でシェアされているにも関わらず、施設によって脳梗塞の発症率に差があります。それは頸部分枝をダイレクトにつかまないといった細かいハンドリングや、丁寧なトリミングの仕方、flowの細かいcontrolなど、我々が当たり前にやっているけれど、教科書や論文には書かれていない部分の違いではないかと思います。まさにon-siteでKawasaki styleを広める意味はここにあるなと感じました。


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気温低下とともに増える大動脈解離。定期フォローアップが命を守ります

寒くなってきたためか、本日5台目のドクターカー要請が鳴りました。

大動脈解離3件、FET後の人工血管感染2件です。
昨日の夜中もA型の緊急オペでしたが、そのオペ中にもB型解離が2人運ばれて来ておりました。

大動脈解離の既往があるのに経過観察を自己中断されていた方の再解離や元々上行大動脈瘤のある方など原因は様々ですが、夏には全然来なかった解離の患者さんが突然増えており要注意だと思いました。

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