尾﨑医師の現地レポート⑧inタイ

Nakhon pathom hospitalという病院で基部弓部置換後の基部感染性仮性瘤に対してredo基部置換をしてきました。呼んでくれたDr Bomは7年前にKACに見学に来ており、今は上記病院でChiefとなっています。

彼は大動脈手術に時間がかかってしまうことを悩んでいると言っていましたが

「手術は運転と似ている。無理に飛ばせば事故る、正しい道を行き目的地に着くのが一番大切だし、それを続けていれば、クオリティを伴って時間も早くなりますよ」

と話しました。道の行き方を広めるのが我々の使命の一つだなと思っています。


川崎大動脈センターでは、2024年12月から新たな試みとして当センター医師を年単位でタイに派遣しKAS: Kawasaki Aortic Surgeryを普及するprojectを開始しています。
詳しくは国際研修活動ページをご覧ください。

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忙しさの代償は命の危機・・?

若い頃から大動脈瘤のある方。
当センターへの紹介状を去年もらっていたものの、本人曰く、ブラック企業に勤めたために休みが取れず、外来診療に来ることが出来なかったとのこと。

結局破裂してから緊急手術。

緊急手術のリスクは予定手術の10倍。

大動脈瘤や解離のフォローはとても大切。

破裂は前触れなく起こる。 患者さんにとって手術は本当に辛いですが、30年前に比べれば格段に手術成績は良くなっています。
予定手術であれば、その後の社会復帰も問題ありません。
胸骨正中切開後、ベンチプレスをやっている方もいます。

過去に大動脈瘤を指摘されたり、
大動脈手術をしたことがある方の中で、
忙しくてフォローを忘れてしまっている方は、
手術した病院にフォローを再度依頼するか、
転居などで難しければ当センターでもフォロー受け付けておりますので、お問い合わせ下さい。


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マルファン症候群

FBN1遺伝子異常により発症する結合織疾患であるマルファン症候群。
大動脈基部の拡張や水晶体偏位、側彎症、高身長、長い手指などが特徴だが、一番命の危険となるのが

大動脈基部拡大。

大動脈基部が拡大すると大動脈解離を引き起こし、結合織疾患の方では多くの場合、全身の大動脈に波及する。
こうなると例え緊急手術で救命出来たとしても、解離した大動脈は動脈瘤になりやすく、その後何度も手術が必要になる。
大動脈基部拡大は通常の健康診断では発見するのが難しく、心臓エコー検査で分かる。
近親者で大動脈の手術をした方がおり(または心臓の手術と言われている場合も多い)、上記のような身体的特徴があれば若くても一度は心臓エコー検査をして欲しい。

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尾﨑医師の現地レポート⑦inタイ

CCIT: Central Chest Institution 主催のconferenceに招待されました。
病院主催のconferenceですが、23年の歴史があるようです。
CCITは今月前半にKACに見学に来た施設です。昨日はpre congressとして左開胸TARを行い、本日はcontentionalのmedian-sternotomy TARの発表でした。ChiefのProf Chaiwutとは今後の協力関係の確認をしました。
KACのpresenceをより示せるように、より国際的にも貢献できるように残り4ヶ月、頑張ります。


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尾﨑医師の現地レポート⑥inタイ

昨日Somdech Phranangchao SiriKit hospitalという海軍の病院にて2R/DHCA+stent抜去をしてきました。
皆いいdoctor、staff達でしたが、特に印象的だったのは麻酔科の先生でした。
必要以上に主張するわけでもなく、術者が必要だと思うような情報を伝えてくれ、さらにこちらのオーダーに淡々と対応してくれました。
色々な病院で手術をしていると、”一方通行ではない”コミュニケーションの大切さを痛感します。


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尾﨑医師の現地レポート⑤inタイ

3-5月に滞在したBuddhachinnaraj hospitalにてDSR/DHCA(下行大動脈置換術/低体温循環停止法)をしてきました。食道と大動脈周辺を剥離している際、perfusionistが麻酔科の先生が経食道エコーを動かそうとしているのを見て、「今剥離中なので動かすなら術者に確認してください」と言っていました。

彼女はよく質問してきて、私の滞在3ヶ月中にもどんどん成長していました。
手術で今何をしているか理解し、私が何度も言っていたことを覚えていて、自分から患者の安全のために行動したことに感動しました。響く人がいると、伝える甲斐があります。


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尾﨑医師の現地レポート④inタイ

Royal College of Surgeons of Thailandという外科全体の学会に参加してきました。
外科系ではタイで最も長い歴史がある学会だそうです。
発表のトピックは対麻痺予防とステント抜去の2つでした。
普段はCVT surgeonとの学会がほとんどですが、今回はVascular surgeon(血管外科医)も多く参加しており、胸腹部〜AAA(腹部)というオーパーラップする分野で良い議論が出来ました。
今在籍するSiriraj病院のProf WorawongがQ&A timeで突然「若い医者は皆うちに来て彼の手術を見るべきだ。もしくは川崎に行きなさい」と言ってくれました。
正しい方法であればopen(開胸・開腹手術)でここまで出来るということを広められるように、さらに精進します。


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尾﨑医師の現地レポート③inタイ

KAC名物「マスクのテープ目張り」ですが、私がやっているのを見て、ついにタイでも自発的に真似する先生が現れました。(ちょっとテープが細くて弱めですが)

これは術中に

喋る、咳き込むなどによる飛沫を考慮し、とにかく感染をさせない

ということで、10年以上前から大島先生が始めたものです。
患者さんのためにやれることは全てやる、ということだと思います。
技術もそうですが、哲学が伝わっていくことがとても嬉しいです。

マスクのテープ目張り

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セカンドオピニオンのすすめ~納得できる治療を受けるために~

当センターでは、下図に描かれているような複雑な症例を数多く受け入れています。いずれも非常に困難な手術を要し、特に結合組織疾患、大動脈解離、若年患者へのステントグラフト留置術は、その例です。
これらの処置は、外科医や心臓専門医だけでなく、患者様とそのご家族にも理解していただくために、細心の注意を払う必要があります。
そのためセカンドオピニオンを求めることを強くお勧めします。患者様とそのご家族の皆様、ご自身の治療について、様々な医師の見解をためらわずに検討してください。ご自身の健康に関する決断は、非常に重要です。

Our center receives many complex cases, like the intricate ones depicted in this drawing. Both required incredibly challenging surgeries, especially those involving connective tissue diseases, aortic dissection, and stent graft placement in younger patients. These procedures demand utmost caution—not just for surgeons and cardiologists, but for patients and their families to understand too. I strongly encourage seeking second opinions! Patients and loved ones, don’t hesitate to explore various doctors’ perspectives on your treatment—your health decisions are too important.


川崎大動脈センターではセカンドオピニオンを
積極的にお受けしています。

セカンドオピニオンという概念は一般的になりましたが、まだまだ「自分の患者さん」が、他の医師の意見を求めることに抵抗を覚える医師はすくなくありません。 しかし大動脈瘤は治療の選択を誤れば死につながる病気です。かかりつけ医に紹介状を依頼しにくい場合もあります。当センターでの受診には紹介状は必須ではありません。 CT写真を持参できない患者さんについては当センターで、受診日にCT検査をおこないます。

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尾﨑医師の現地レポート②inタイ

Chiengmai大学にて2件のステント抜去の胸腹部をやってきました。
ステントを入れた血管外科の先生も参加したいということで、一緒に手術をしました。
胸腹部を含む左開胸アプローチはステントのリカバリーショットとして必須のテクニックだと思います。
多くの施設では左開胸に自信がなく、ステント後の再拡大や感染に対して経過観察するしかない、治療が遅れて状況がさらに悪くなるということが多いように思います。
適正な治療適応のためには、治療の選択肢を十分に持っていることが前提だと再確認しました。
我々にはさらにKawasaki Aortic Surgeryを広める使命があるようです。


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