2026年4月 ― 川崎大動脈センター実績
30日間で62例の大動脈手術を施行しました。
- 胸部:42例 / 胸腹部:19例 / 腹部:1例
- 緊急手術:17例(急性A型解離 12例、破裂 5例)
- 再手術:25例(全体の40%)
川崎大動脈センター公式LINEでは、個別相談もお受けしています。
【ご相談の注意点】
ご相談内容から推測されることのみお答えしております。
診断、治療方針等は行っておりませんのでご注意下さい。
個人情報等の個人を特定可能な情報は入力しないで下さい。
【診察をご希望の方】

2026年4月 ― 川崎大動脈センター実績
30日間で62例の大動脈手術を施行しました。
川崎大動脈センター公式LINEでは、個別相談もお受けしています。
【ご相談の注意点】
ご相談内容から推測されることのみお答えしております。
診断、治療方針等は行っておりませんのでご注意下さい。
個人情報等の個人を特定可能な情報は入力しないで下さい。
【診察をご希望の方】

2026年4月、川崎大動脈センターは、台湾、タイ、フィリピン、そしてエチオピアから、短期フェローや見学の方々を含む計9名の国際的な医師・医療従事者を同時にお迎えしました。
私たちの日常的な診療、手術戦略、周術期管理、そして複雑な大動脈手術に対する哲学を、志を同じくする熱意溢れる仲間たちと共有することは、私たちチームにとっても大きな刺激となります。
この経験をより意義深いものにしているのは、彼らが自国に戻り、そこで多くの患者さんの命を救う一助となるという確信です。大動脈外科に国境はありません。知識、技術、そして情熱は、世界で共有されるべきものなのです。
In April, Kawasaki Aortic Center welcomed nine international doctors and medical professionals at the same time, including short-term fellows and visitors from Taiwan, Thailand, the Philippines, and Ethiopia. Sharing our daily practice, surgical strategies, perioperative care, and philosophy of complex aortic surgery with such motivated colleagues is a great source of inspiration for us. What makes this experience even more meaningful is knowing that they will return to their own countries and contribute to saving many patients there. Aortic surgery should not be confined by borders. Knowledge, skills, and passion should be shared internationally.
再手術、人工血管感染、AEF、TEVAR後合併症、広範囲胸腹部大動脈瘤。 4月も、治療判断が難しい大動脈疾患に対して、open surgeryを軸に手術を行いました。 「治療が難しい」と言われた症例でも、外科的再建の可能性が残されていることがあります。 複雑な大動脈疾患でお困りの場合は、ご相談ください。

Recently, we were able to support an international patient with a highly complex aortic condition through open surgical treatment, postoperative recovery, and safe return home. At Kawasaki Aortic Center, we evaluate complex aortic diseases, including redo cases, extensive thoracoabdominal aneurysms, post-TEVAR complications, and infected grafts. Even when treatment options seem limited, open surgical reconstruction may still be possible in carefully selected patients. We welcome collaboration and referral discussions from physicians overseas.
先週、台北栄民総医院を訪問し、Chen Tai-Wei教授と共に胸腹部大動脈置換術を執刀するという貴重な機会をいただきました。非常に刺激的で、素晴らしいコラボレーションとなりました。
手術の合間には、高雄や台南といった美しい都市を巡ることもできました。台湾は、いつ訪れても期待を裏切らない素晴らしい場所です。
川崎大動脈センターは、台湾血管外科学会をはじめ、台北栄民総医院、台中栄民総医院、そして花蓮慈済病院と活発なパートナーシップを維持しています。
こうした繋がりこそが、私たちが築こうとしている「アジアにおける、より強固で統合された大動脈外科コミュニティ」の礎です。私たちが共に成し遂げられることは、まだまだたくさんあります。
Last week, I had the privilege of visiting Taipei Veterans General Hospital to perform thoracoabdominal aortic replacement alongside Prof. Chen Tai-Wei — a truly inspiring collaboration. Between cases, I also explored the beautiful cities of Kaohsiung and Tainan. Taiwan never disappoints.
The Kawasaki Aortic Center maintains active partnerships with the Taiwan Vascular Society, Taipei Veterans General Hospital, Taichung Veterans General Hospital, and Hualien Tzu Chi Hospital. These connections are the foundation of what we’re building — a stronger, more unified aortic surgery community across Asia. There is still so much we can accomplish together.



チュラロンコン大学のJule教授、Chanapong先生、そしてチームの皆様を川崎大動脈センターにお迎えしました。
3日間にわたる集中的な研修の中で、皆様には6件の大動脈手術を見学していただきました。また、夕食会ではアジアにおける大動脈外科の未来について、非常に有意義な対話を交わすことができました。
タイ胸部外科学会(STST)との提携(MOU)に基づき、当センターでは定期的にアジア地域からの交換フェローを受け入れています。来月からは、チュラロンコン大学から新たな仲間が加わる予定で、今から楽しみでなりません!
私たちは共に、アジア全域における大動脈手術の質をさらなる高みへと引き上げていきます。
Honored to welcome Prof. Jule, Dr. Chanapong, and their team from Chulalongkorn University to the Kawasaki Aortic Center! Over 3 intensive days, they observed 6 aortic surgeries — and we shared great conversations over dinner about the future of aortic surgery in Asia.
Under our MOU with the Society of Thoracic Surgeons of Thailand, we regularly host exchange fellows from across the region. A new colleague from Chulalongkorn joins us next month — we couldn’t be more excited! Together, we are raising the bar for aortic surgery outcomes across Asia.


先日、当センター(KAC)にMorad教授をお招きしました。教授と共に症例を振り返る中で、私たちは改めて「患者さんにとっての真の利益」について深く考えさせられました。
– 「治った」はずなのに、なぜ?
先日、ある患者さんが運ばれてきました。 その方は以前、別の病院で「TEVAR(ステントグラフト内挿術)」治療を受け、「もう治りましたよ」と言われていたそうです。
しかし、現実は違いました。 大動脈瘤は80mmという破裂寸前の大きさにまで膨らんでおり、一刻を争う緊急の開胸手術が必要な状態だったのです。
– 技術が悪いわけではありません
ステントグラフトという治療自体は素晴らしいものです。体に負担が少なく、適切なケースで使えば非常に高い効果を発揮します。
問題は、デバイス(道具)の性能ではなく、
「その患者さんに、本当にその治療が合っていたのか」
という判断のプロセスにあります。
–「できる治療」と「すべき治療」は違う
特に若い患者さんや複雑な病状の方の場合、目先の「負担の少なさ(カテーテル治療)」だけで選んでしまうと、数年後に再発や悪化を招くリスクがあります。
医療の世界には、こんな言葉があります。 「できること(Can do)」が、必ずしも「すべきこと(Should do)」ではない。
カテーテルで「何とか治療できてしまう」からといって、それが「一生安心できるベストな選択」とは限らないのです。
私たち医師に求められるのは、自分の施設でできる治療を無理に勧めることではありません。
「この患者さんには、もっと確実な手術ができる専門センターでの治療が必要だ」と判断したとき、迷わずそこへ橋渡しをする「紹介する勇気」こそが、本当の「患者さん中心の医療」だと私は信じています。
私は年間600例もの大規模な外科手術(開胸手術)を通して、この教訓を何度も、痛いほど学んできました。
長身で指が細長く、強い近視や胸の変形がある…家族に若い頃の突然死があった… そんな方はマルファン症候群の可能性があります。
日本に約2万人。
大動脈が静かに弱くなり、20-30代で突然解離→死亡のリスク。
しかし早期発見で心エコー+薬+予防手術が可能。寿命はほぼ健常人と変わりません。
マルファン症候群の遺伝形式常染色体優性遺伝(親が保因者なら子に50%)。
家族性75%、新生変異25%。浸透率ほぼ100%ですが、表現度は家族ごとに大きく異なります。
-似た病気との違い
マルファンに似た病気もあります。
・Loeys-Dietz症候群:より激しく広範囲に大動脈が弱くなる
・血管型Ehlers-Danlos症候群:動脈や臓器が破れやすい
・先天性拘縮性蜘蛛指症:関節が固くなりやすい
・Shprintzen-Goldberg症候群:頭の形や知的面にも影響
・ホモシスチン尿症:治療できる血液の病気
正しい鑑別診断が命を守ります。
気になる方は、ご相談ください。 早期発見で予防手術や薬で、普通の生活が送れます。

働き盛りの40代・50代の皆様へ。
健康診断でコレステロールの高さを指摘され、お薬(スタチン)が出たものの、多忙や不規則な勤務から「つい飲み忘れる」「まあいいか」となっていませんか?
日々、手術現場で直接「動脈硬化の進んだ血管」を診ている外科医の立場から、この薬を
「毎日しっかり飲むべき本当の理由」
をお伝えします。
スタチン系薬剤(クレストールなど)は、単に検査数値を下げるだけではありません。最大の恩恵は「血管内の炎症を抑え、血管の壁に溜まったドロドロの脂の塊(プラーク)を、破れにくく丈夫な状態に安定させること」です。(専門的にはプレイオトロピック効果と呼びます)
薄い膜で覆われたプラークが破れると、血栓ができて血管が詰まります。
スタチンはこの表面の膜を分厚くし、心筋梗塞や脳卒中といった致命的な発作を未然に防ぐのです。
- 「1日飲み忘れたら一気に悪化する?」
と心配される方もいますが、現在主流の薬は体内に長く留まるため、直ちに深刻な事態が起きるわけではありません。
しかし、飲み忘れが常態化すると、せっかくの「血管保護バリア」が維持できなくなります。血中濃度を一定に保つことこそが、生活習慣病の悪循環を断ち切る最大のカギです。
- 薬の恩恵を最大限に受けるには
毎日規則正しく飲むこと(コンプライアンス)が圧倒的に有利です。
夜勤などで不規則な方は、無理に夜に飲もうとせず「朝のコーヒーの時」や「昼食後」など、1日の中で『絶対に忘れないタイミング』に固定してしまうのも有効です。
川崎大動脈センター(KAC)と台湾血管外科学会(TSVS)の間で、協力覚書(MOU)の調印式が執り行われました。本式典は、両組織の長年にわたる交流を祝すとともに、学会規模での新たなパートナーシップを確立するものです。
プレゼンテーションでは、KACの基本理念や豊富な手術実績、世界トップレベルの治療成績、そして国際協力への取り組みが紹介されました。両組織のリーダーは互いに敬意を表し、教育的交流や共同研究、長期的な協力体制を通じて大動脈外科を発展させていくという共通のビジョンを掲げました。
Ceremony marks the formal signing of a Memorandum of Understanding (MOU) between the Kawasaki Aortic Center (KAC) and the Taiwan Society for Vascular Surgery (TSVS). The event celebrated a long-standing relationship and established a new, society-wide partnership. Presentations highlighted KAC’s guiding philosophy, extensive surgical history, world-class outcomes, and commitment to international collaboration. Leaders from both organizations expressed mutual respect and outlined a shared vision for advancing aortic surgery through educational exchange, joint research, and long-term cooperation.



「川崎の方法に変えてから救命率が上がった」 この一言が、日々の手術の意味を再確認させてくれる。
タイ、イギリス、台湾…各国との交流は、我々の臨床判断を常にアップデートしてくれる貴重な機会。
彼らは年間10-20例の感染性大動脈瘤を執刀。
developing countriesならではの症例数。
我々が提案した治療戦略を導入後、成績が向上したとの報告。
国際交流の意義を実感―---。
我々が推奨する感染性大動脈瘤に対する二期的TEVAR戦略
第1期:TEVARで血管を緊急安定化
↓(約1週間)
第2期:ステントグラフト除去+開胸手術 「ブリッジング療法」として確立。
一期的TEVARのみでは死亡率が高く、感染制御が困難。
タイの先生がこの戦略を採用した結果、治療成績が向上。
「川崎の方法に変えてから救命率が上がった」
年間600件の実績から生まれた知見が、海外でも患者さんを救っている。これこそ国際交流の価値。